8月27日の米国マーケットサマリー:円は全面高、株は続落
8月27日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3389 1.3368 ドル/円 97.11 98.51 ユーロ/円 130.02 131.69 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 14,776.13 -170.33 -1.1% S&P500種 1,630.48 -26.30 -1.6% ナスダック総合指数 3,578.52 -79.05 -2.2% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .36% -.01 米国債10年物 2.71% -.07 米国債30年物 3.70% -.07 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金 (ドル/オンス) 1,420.20 +27.10 +1.95% 原油先物 (ドル/バレル) 108.82 +2.90 +2.74%◎NY外為市場
27日のニューヨーク外国為替市場では円が対ユーロで約8週間ぶりの大幅高。新興市場国通貨が下落し、安全性を求める動きが活発になった。
円は対主要16通貨すべてに対して上昇。スイス・フランは円を除くすべての主要通貨に対して上昇した。ボラティリティーを示す指数が2カ月ぶりの高水準をつけると、ユーロは対ドルでの下げから上昇に転じた。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は、「政治的なニュースが市場を支配し、リスク回避の動きが強まっているため、G10通貨の中では円やスイス・フランが最も買われている」と述べ、新興市場からの「本格的な資金流出が再開されている兆しがある」と指摘した。
ニューヨーク時間午後3時18分現在、円は対ユーロで1.3%上昇して1ユーロ=129円94銭。値上がり率は一時、日中ベースで7月3日以来で最大となる1.4%に達した。円は対ドルで1.5%上昇して1ドル=97円07銭。7月10日以来の大幅高となった。ドルは対ユーロで0.2%下げて1ユーロ=1.3388ドル。一時は0.3%上昇していた。
◎米国株式市場米株式 相場は続落。S&P500種株価指数は6月20日以来の大幅安となった。シリアへの軍事攻撃の可能性が高まっていることを嫌気して売りが膨らんだ。8月の米消費者信頼感指数が予想外に上昇したものの、あまり材料視されなかった。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前日比1.6%安の1630.48と、終値ベースでは7月3日以来の安値となった。ダウ工業株30種平均は170.33ドル(1.1%)下げて14776.13ドルで終えた。
ハンティントン・アセット・マネジメント(オハイオ州コロンバス)のランディ・ベイトマン最高投資責任者(CIO)は「市場参加者は情勢を見守っている。これはエスカレートするのかどうか。エネルギー価格が大きく上げれば、最近見られる景気の強さの全てを弱めることになるのかどうか。食料と燃料価格の上昇と同じ時期に住宅価格が上げ始めれば、インフレが加速する可能性があり、金融政策に影響を与えるだろう」と語った。
◎米国債市場米国債相場は4営業日続伸。シリアでの混乱で軍事衝突が激しさを増すとの懸念から逃避需要が強まった。この日の2年債入札(発行額340億ドル)では、最高落札利回りが市場予想を下回った。
10年債はここ6週間で最長の連続上昇となっている。オバマ米政権はシリアに対する限定的な攻撃について法的および政治的な正当性を確立するための調整を進めていると、米政府当局者の1人が述べた。化学兵器使用に対して国際社会として糾弾することが目的だという。2年債入札の最高落札利回りは0.386%、入札直前の市場予想は0.390%だった。ニューヨーク連銀は債券購入プログラムの一環として、2017年8月から18年5月に償還を迎える米国債52億ドル相当を買い入れた。
RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は「シリアの状況は何らかの行動につながりそうだ。よって安全を求めた買いが米国債に入っている」と分析。「入札はまずまずだった。予想通りの結果となった」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後3時14分現在、10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.72%。利回りの4日連続低下は7月11日以降で最長。同年債(表面利率2.5%、2023年8月)価格は18/32上げて983/32。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場は大幅反発。5月以来の高値となった。シリアをめぐる政治的緊迫が高まったことを背景に、価値保存手段としての金買いが活発になった。
ケリー米国務長官は、シリアが化学兵器を使用した責任を問われるとの見解を示した。金は6月につけた2年10カ月ぶり安値であるオンス当たり1179.40ドルから20%持ち直している。割安感から宝飾品やコイン、延べ棒の需要が増加した。
アーチャー・フィナンシャルのシニア市場ストラテジスト、アダム・クロフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は電話取材で、「シリアは金にとって新たな強材料だ」と指摘。「金への関心が再び高まっている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比1.9%高の1オンス=1420.20ドルで終了。15日以来の大幅上昇となった。一時は1424ドルと、中心限月としては5月15日以来の高値をつけた。
◎NY原油先物ニューヨーク原油先物相場は急反発。シリア情勢の緊張で中東からの原油供給が滞る恐れがあるとの見方から、1年半ぶりの高値に達した。
シリアのムアレム外相は27日、米国やその同盟国が軍事行動に出た場合、シリア軍の防衛力に「驚く」だろうと語った。ロイター通信が複数の関係者を引用して報じたところによると、西側諸国は数日内にアサド大統領の政府軍を攻撃する用意があると、シリアの反政府勢力に伝えた。
BNPパリバの商品市場戦略責任者、ハリー・チリンギリアン氏(ロンドン在勤)は「シリアの地政学的緊張は確実に一段階高まった。その幅は非常に大きい」と述べた。「問題はシリア紛争の拡大が中東全域の主要供給源にどう影響するかだ。とりあえずロングにしておいて、次の展開を待つというのが市場の姿勢だ」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比3.09ドル(2.91%)高の1バレル=109.01ドルで終了。終値としては2012年2月24日以来の高値。値上がり率は5月2日以来で最大。
更新日時: 2013/08/28 05:43 JST