米国株:S&P500種は6月以来の大幅安、シリア情勢緊迫化で
8月27日(ブルームバーグ):米株式 相場は続落。S&P500種株価指数は6月20日以来の大幅安となった。シリアへの軍事攻撃の可能性が高まっていることを嫌気して売りが膨らんだ。8月の米消費者信頼感指数が予想外に上昇したものの、あまり材料視されなかった。
S&P500種株価指数の全10セクターのうち、金融やハイテクの下げが目立った。アメリカン・エキスプレスやマイクロソフトが下げた。石油価格の高騰で燃料コストが膨らむとの懸念からサウスウェスト航空が大幅安。D.R.ホートンも安い。住居用不動産価格の上昇ペースが6月にほぼ横ばいになったことが背景にある。
S&P500種 株価指数は前日比1.6%安の1630.48と、終値ベースでは7月3日以来の安値となった。ダウ工業株30種平均は170.33ドル(1.1%)下げて14776.13ドルで終えた。
ハンティントン・アセット・マネジメント(オハイオ州コロンバス)のランディ・ベイトマン最高投資責任者(CIO)は「市場参加者は情勢を見守っている。これはエスカレートするのかどうか。エネルギー価格が大きく上げれば、最近見られる景気の強さの全てを弱めることになるのかどうか。食料と燃料価格の上昇と同じ時期に住宅価格が上げ始めれば、インフレが加速する可能性があり、金融政策に影響を与えるだろう」と語った。
シリア攻撃前日はケリー米国務長官が化学兵器使用についてシリア政府に責任を負わせると発言したことをきっかけに下げに転じた。
米英仏はこの日、シリアに対する攻撃について法的な正当性を確立するために調整したほか、同国近郊に部隊を配備した。ヘーゲル米国防長官はBBCに対し、米軍の攻撃準備が整っていることを明らかにした。
米当局者の1人が匿名を条件に語ったところによると、地上軍の派遣やシリア上空での飛行禁止区域の設定は検討されていない。
8月の消費者信頼感指数は前月からわずかに上昇。リッチモンド連銀の製造業指数は予想を上回った。
米連邦債務の上限をめぐる民主党と共和党の対立も投資家の注目を集めた。ルー財務長官は議会に宛てた26日付の書簡で、連邦債務が10月半ばに法定上限に達するとの見通しを示した。
ハンティントンのベイトマン氏は「不透明感をさらに高めるものだ」と指摘した。
ルー長官はこの日、債務上限をめぐりオバマ政権は取引には応じないとあらためて表明した。その上で、議会は義務を果たすという米国の「確固たる」公約を順守する必要性を理解しているはずだと述べた。
ベイナー議長は先月、「歳出を真に削減しない限り」、共和党は債務上限を引き上げないと言明している。
移動平均ブルームバーグがまとめたデータによると、S&P500種は100日移動平均 を下回った。これは今年に入って2度目。前回、終値ベースで割り込んだのは6月24日。5月の高値から5.8%下げた後、その日に底を打った。
S&P500種は全10セクターが下落。アメリカン・エキスプレスは2.3%安の71.91ドルと、5月14日以来の安値。マイクロソフトは2.6%安と、ダウ平均の構成銘柄で最も下げがきつい。
サウスウェストが3.5%下げるなど、原油高を背景に航空株が下落した。
原題:S&P 500 Drops Most in 9 Weeks Amid Growing Tension OverSyria(抜粋)
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更新日時: 2013/08/28 06:48 JST