夏季休暇期間中で、多くの国民が油断(思考停止)している隙に、安部政権がいよいよその”本性剥き出し”のままに、様々な「売国行為」を断行している。
一昨日、昨日のエントリーにて取り上げたように、ブルネイにて開催されているTPP交渉の場にて、日本自ら”毒素条項”たる「ISDS条項」および”暗黒条約”たる「ACTA」の導入を働きかけるという、トンでもない売国行為がおこなわれているのである。
そして国内に目を向ければ、秋の臨時国会に向け、いよいよ”暗黒法案”たる「秘密保全法」の成立を諮らんとしているのである。
以前のエントリーにてコメントしてきたとおり、「秘密保全法」とは、政府・官庁(官僚)が「国の安全」「外交」「公共の安全および秩序の維持」に抵触するとして、ひとたび「特定秘密」に指定すれば、国民に知られてはマズイ情報を恣意(しい)的に隠蔽することが可能となり、「特定秘密」に指定された情報を知ろうとしただけで不法な「特定取得行為」とされて処罰の対象となるという代物である。
例えば、国民が「特定秘密」指定された原発情報の公開を求めてデモを呼びかけただけでも”不法”な「特定取得行為」として処罰されかねないということである。
即ち、「秘密保全法」の真意は、国家権力による”情報統制”と国民の”思想弾圧”を可能とするものだということである。
ここで、日本国内のあらゆる産業分野が食い物にされることが目に見えている「ISDS条項」と、「著作権」「知的財産権」を建前に「ネット言論弾圧」「ネット検閲強化」を可能とする「ACTA」との”併せ技”にて、国民の”思想弾圧””情報統制”を可能とする「秘密保全法」により、日本がどんな世の中になるのか想像してみて欲しい。
それは「秘密警察国家化」「ファッショ化」が現実のものとなる戦時下さながら世界、否、ジョージ・オーウェルの小説「1984」に描かれている世界であろう。
即ち、秘密警察だらけの一党独裁が蔓延り、自国民をスパイし、反乱分子を弾圧し、恣意的逮捕・拷問を行い、永久戦争を遂行し、ご都合主義のために歴史すら書き換え、自国の労働人口を貧困化させ、”ダブルシンク”(二つの相反する信念を同時に心の中に保持し、両方の信念を受け入れさせる二重思考)を強要するという「ディストピア」である。
新たに創設される「日本版NSC」は、オーウェルの世界でいうところの、自国民を監視・スパイする秘密警察だということである。
さて、以下に取り上げた朝日新聞社説であるが、特にその前半部分にて的を射た指摘がなされているのでご一読いただきたい。
反面、朝日新聞主筆は、その後半部分にて「国民の知る権利」の侵害と称して批判コメントをしているが、その真意は「報道の知る権利」の侵害に対する牽制であろうというのが率直な感想である。
早い話、この社説は「国民」をダシにして、「報道(機関)の自由は侵害するな」と言っているだけのことである。
(末尾に貼り付けた昨年3月の中日新聞記事とは実に対照的である)
そのように解釈すれば、以下のNHK記事にて、”売国奴”のひとりである町村信孝(自民清和会、元通産官僚)も、同記事を書いた記者も、「国民の知る権利」には一切触れない一方で、「報道の自由の確保」「正常な取材活動の保証」を殊更に強調している点について合点がいくことであろう。
即ち、「国民」の知る権利・基本的人権は本質的に議論などなされず、蔑ろにされているということである。
最後は蛇足的内容(余談)となったが、兎にも角にも、我々国民は夏休み期間中ということで呆けている場合ではなく、今まさに国内外にて、我々の将来を”地獄絵”にせんとする様々な”悪法”を成立する動きが活発に行なわれていることをよくよく理解することが肝要であろう。
(転載開始)
◆「秘密保全法案」政府が概要示す
8月27日 19時44分 NHKニュース
政府は、安全保障に関して特に秘匿が必要な情報を漏えいした公務員らに対し、最高で10年の懲役刑を科すなどとした「秘密保全法案」の概要を、自民党の作業部会に示し、座長を務める町村元官房長官は、正常な取材活動は問題ないことを明確にしたいという考えを示しました。
10月に召集される見通しの秋の臨時国会で、政府が成立を目指す「秘密保全法案」について、27日に開かれた自民党の作業部会で、北村内閣情報官が、概要を説明しました。
それによりますと、安全保障に関する情報を厳重に保護するため、
▽特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定し、扱えるのは政府が「適正評価」を行った公務員らに限定する
ことや、
▽「特定秘密」を漏えいした公務員などに対して最高で10年の懲役刑を科す
としています。
これについて出席者からは、「外国のスパイなどから情報を守るための法整備をしなければ、国民の生命を守れない」という意見や、「法整備にあたっては、国民の基本的人権や報道の自由を侵害しないようにすることが重要だ」という指摘が出されました。
会合のあと、作業部会の座長を務める町村元官房長官は、記者団に対し、「基本的人権を不当に侵害することがないような法律にしなければならない。また、報道の自由を確保するため、正常な取材活動は問題ないことを法律上明確にしたい」と述べました。
作業部会では、来月中に党としての考え方を取りまとめることにしています。
◆<社説> 秘密保全法案―権利の侵害は許されぬ
2013年8月25日 朝日新聞
安倍政権は、秋の臨時国会に秘密保全法案を提出する。日本版NSCと呼ばれる国家安全保障会議の発足に向け、情報管理の徹底をはかる狙いだ。
「防衛」「外交」「テロ活動の防止」などの分野で、国の安全保障に重大な支障を与える恐れがある情報を「特定秘密」に指定する。
これを漏らした国家公務員らへの罰則は、通常の守秘義務違反より重い、最長10年の懲役が科せられる見通しだ。
しかし、この法案にはあまりにも問題が多い。
まず、特定秘密の適用範囲があいまいなことである。
秘匿する情報は法案の別表に列記されるが、基本的な項目にとどまるとみられる。
特定秘密を指定するのは、所管官庁の大臣など「行政機関の長」。大臣や長官が指定を乱発する懸念も拭えない。
テロなどに関連すると判断されれば、原発の安全性や放射能の情報まで秘匿されることになりかねない。国民に知られたくない情報を、政権が恣意(しい)的に指定する恐れすらある。
見逃せないのは、特定秘密を知ろうと働きかける行為も「漏洩(ろうえい)の教唆」とみなされ、処罰対象となり得ることだ。
報道機関の取材を制約し、国民の知る権利の侵害につながりかねない。
法案には、拡大解釈による基本的人権の侵害を禁ずる規定を盛り込む方向だが、人権侵害に当たるか否かを判断するのは国であり、その実効性は疑問と言わざるをえない。
秘密保全の法制化は、3年前の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の際、海上保安庁撮影のビデオが流出したのを機に検討が始まった。
テロ情報などを米国との間や政府内で共有することが必要な時代になり、情報管理に万全を期すことは当然だろう。だが、この法案では国の裁量が大きすぎて、歯止めがきかなくなる心配がある。
現行の国家公務員法には守秘義務があり、防衛分野ではすでに一定の秘密保全制度が整備されている。まずは、これらを厳格に運用していくことが第一ではないか。
「ひとたび運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない」
秘密保全法案に関する政府の有識者会議が、2年前にまとめた報告書の一節である。
このような異例の指摘が盛り込まれたこと自体、この法案のもつ危うさを示していると言えないか。
(転載終了)
中日新聞 社説(2012.3.21)