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患者ビジネス―医療の押し売りは困る

施設で暮らす高齢者や、鍼灸(しんきゅう)院に通う患者を医師にまとめて紹介し、見返りに医師から金を受け取る。そんな患者紹介ビジネスが広がっている。高齢化が進み、病院以外の[記事全文]

特別養子制度―善意に頼るだけでは

親のない子と、子育てを望む大人との縁を結ぶ。その大切な役割にもっと目を向けたい。原則6歳未満の子どもを対象にした特別養子という制度がある。家庭裁判所が、普通養子より強い[記事全文]

患者ビジネス―医療の押し売りは困る

 施設で暮らす高齢者や、鍼灸(しんきゅう)院に通う患者を医師にまとめて紹介し、見返りに医師から金を受け取る。そんな患者紹介ビジネスが広がっている。

 高齢化が進み、病院以外の施設や在宅で治療を受けるお年寄りは増える。患者と医師との仲介機能が求められるのは不自然ではない。

 しかし、医師が患者集めに紹介料を払うことは、公費のむだ遣いや過剰診療を招きかねず、看過できない。

 医師に払われる診療報酬は、たとえば訪問診療は1回8300円というように、公的に決まっている。それによって医療経営が成り立っている。

 診療報酬の原資は国民が負担する保険料と税だ。病気やケガをした時に助け合うため、保険加入者や雇用主が拠出する貴重なお金である。直接、医療を提供するわけでもない業者に払う余裕はないはずだ。

 医療の質が低下するおそれもある。

 普通の商品やサービスと比べて、医療は専門性が高い。一般的に、どんな治療が必要なのかは素人の患者には判断できず、医師に任せるしかない。

 だからこそ医師には、患者の利益を最優先する高い職業的倫理が求められている。

 ところが、本来、想定されていない費用(紹介料)を払うとなると、不必要な診療の「押し売り」や手抜きへの誘惑が高まるだろう。

 実際、鍼灸院に患者を集めていたケースでは、報酬が高めの訪問診療を偽装したり、診療回数を水増ししたりするなど、不正請求の疑いが濃い。

 国が後押しする「サービス付き高齢者住宅」などの施設が増えると、紹介料をやりとりしながら、患者を囲い込む動きが広がる可能性がある。

 第三者が患者と医師とを仲介する場合のルールづくりが必要だ。あくまで患者の側に立つことを大原則とし、誰がその仲介機能を果たし、どう規制をかけていくか。議論を急がなければならない。

 今月まとまった社会保障国民会議の報告書は、患者が「かかりつけ医」を持ち、そこで必要な医療を判断し、適切な病院を紹介する姿を描く。

 医療全体の効率性を高めるための提案だが、かかりつけ医との間で長期的に信頼関係を築くことができれば、患者のメリットは大きい。地元医師会も積極的に役割を果たすべきだ。

 不透明な患者紹介ビジネスを排除する対策は、医療の将来像と深く結びついている。

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特別養子制度―善意に頼るだけでは

 親のない子と、子育てを望む大人との縁を結ぶ。その大切な役割にもっと目を向けたい。

 原則6歳未満の子どもを対象にした特別養子という制度がある。家庭裁判所が、普通養子より強い、実の親子並みの法的な関係を認める制度だ。

 創設されたのは25年前。親子関係を結ばないまま育てる里親制度とともに、児童福祉として位置づけられた。だが、最初の3年間は年約700〜1200件が認められたものの、近年は300件台にとどまる。

 希望者は多いのに、なかなか縁組には至らない。仲介を中心的に担うと考えられていた児童相談所が児童虐待の対応などに追われ、十分手が回っていないことが背景にある。

 そんな中、民間団体が仲介するケースが増えている。厚生労働省によると、07年度の22件から11年度は127件になった。

 昨年度、養子縁組をあっせんしていると届け出たのは14団体。産婦人科医など、望まない妊娠をした女性や、親が育てられない赤ちゃんと接点がある人たちがかかわっている。

 だが、公的な関与も支援も乏しく、これらの団体の善意に頼っているのが実態だ。

 営利目的での養子縁組仲介は禁止されている。一方、厚生労働省は、交通費などの実費以外に、人件費なども養父母から受け取っていいとしており、上限も設けていない。団体の活動費とあいまいになり、運営が不透明になりかねない。

 7月には、実費を超える寄付金を養父母から受け取ったとして、2団体が東京都の立ち入り調査を受けた。

 仲介を非営利の枠組みに頼り切ること自体、無理があるのではないか。

 例えば、養子に出す実親の気持ちが揺れ、その間の保育料が予想より高額になることがある。養父母に引き取られるまでの保育に児童相談所が協力するなど、自治体がもっと連携できないか。仲介の社会的な役割を考えれば、公的助成をする検討もしていいのではないか。

 実の親の同意をえ、養父母を選んでいく過程には専門性がいる。子どもがのちに「実親について知りたい」と訪ねてくるかもしれず、継続して活動していく必要もある。活動の質を保つためどんな手助けができるか、考える時期だろう。

 政府は里親制度を推進しているが、保護を必要とする子どもの9割近くは児童養護施設や乳児院などの施設で暮らす。できるだけ家庭という環境を用意するのは、社会の責任である。

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