シリア:毒ガス使用「間違いない」 反体制派前議長
毎日新聞 2013年08月23日 07時12分
【カイロ秋山信一】シリア反体制派主要組織「シリア国民連合」前議長のモアズ・ハティブ氏が21日、滞在先のカイロ市内で毎日新聞のインタビューに応じた。21日にダマスカス郊外の反体制派支配地域で毒ガスなどの化学兵器が使用された疑惑について「医師の証言や現場の状況から(政権側の)化学兵器が使用されたのは間違いない」と指摘。シリア問題を巡るブラヒミ国連・アラブ連盟合同特別代表に対し、シリア入りしている国連化学兵器調査団による調査を求めたことを明らかにした。
反体制派は攻撃で数百人が死亡したとしているが、化学兵器使用の有無を含め詳細は不明。ハティブ氏は「国連調査団の現地調査には全面的に協力する。現地の司令官からも同意を得た」と明言した。
ただ、ブラヒミ氏は、今回の国連による調査がシリア政府との合意に基づいており、実現は難しいかもしれないとの見通しを示したという。
後手に回る国際社会の対応について「シリアの苦境を無視し続けたため、アサド政権に『何をしても許される』という誤ったシグナルを送っていることになる」と非難。アサド政権は「国連調査団がシリアにいる間でも、どんなこともできると見せつけ、反体制派を絶望させようとした」との見解を示した。
一方、長期化するシリア内戦について、アサド政権を支援するイランと、反体制派を支援するサウジアラビアなど湾岸諸国による「代理戦争」の舞台と化していると指摘。「内政干渉が目的だ。国内にいる過激派を追い払うため、武器や資金と一緒にシリアに送り込んでいる国もある」と、サウジなどを念頭に外国の介入を厳しく非難した。
また、国内に反体制派武装組織が乱立し統制が欠けており「短期的に武力で政権を打倒するのは無理だ」と認めた。さらに「いずれは政権を倒せるだろうが(武力では)国土の荒廃や人命の犠牲といった代償は避けられない」と強調し、交渉による和平実現を訴えた。国内の反体制派武装組織など各勢力と連携を図っていくという。