【カイロ秋山信一、ワシントン草野和彦】シリアの首都ダマスカス郊外で２１日に化学兵器が使用されたとされる疑惑で、反体制派主要組織「シリア国民連合」は２３日、犠牲者から採取した細胞組織などのサンプルを国外に持ち出したことを明らかにした。中東の衛星テレビ局アルジャジーラが報じた。現場は反体制派の支配地域で、国連調査団による現地調査について「安全を保証する」と述べ、調査受け入れの姿勢を示した。

　ダマスカス郊外では２１日朝、毒ガスによるとみられる攻撃があり、在英の反体制派組織「シリア人権観測所」によると、子供や女性ら２００人以上が死亡した。アサド政権と反体制派は、ともに化学兵器の使用を否定している。

　２１日の化学兵器使用について、欧米諸国は、政権側が使用した可能性を指摘。別の化学兵器使用疑惑の確認のため既にシリア入りしている国連調査団による現地調査を求めている。アサド政権を支援するロシアも調査を求めた。アサド政権は調査を受け入れるか明言していない。

　国連の潘基文（バンキムン）事務総長は２３日、報道官を通じて出した声明で「完全で公正、迅速な調査を行う」との意思を改めて表明し、アサド政権が国連の調査をただちに認めるように要請した。