質問なるほドリ:シリア内戦、なぜ始まったの?=回答・秋山信一

毎日新聞 2013年05月31日 東京朝刊

 ◇独裁政権へのデモがきっかけ

 なるほドリ シリアの内戦(ないせん)ってどうして起きたのかな?

 記者 2011年に中東の民主化要求運動(みんしゅかようきゅううんどう)「アラブの春」が始まったのは覚えているよね。おおむね平和的なデモによって、チュニジアやエジプトの独裁政権(どくさいせいけん)が倒れました。シリアでも父子2代にわたるアサド政権の独裁が40年以上続いてきました。アラブの春に触発(しょくはつ)された市民は11年3月に政治改革(せいじかいかく)を求めて平和的なデモを始めましたが、政権は武力で弾圧(だんあつ)したのです。それから市民が武器をとって戦い始めました。

 Q 一般市民が軍と戦って勝てるの?

 A 軍の中にも市民を攻撃したくない兵士はたくさんいて、一部は市民の側について戦い始めました。周辺国(しゅうへんこく)も資金や武器の支援をしました。12年夏に反体制派(はんたいせいは)の攻撃が強まり、本格的(ほんかくてき)な内戦に突入したのです。

 Q 内戦をやっていたら、普通に生活できないんじゃないの?

 A 学校や商店が閉鎖(へいさ)され、食料や医療品も不足しています。住宅街でも戦闘が起きており、反体制派の統計では11年3月以降の死者は約9万4000人。拷問(ごうもん)や虐殺(ぎゃくさつ)が起きているとの報告もあります。国外には160万人以上が逃れ、国内で自宅から避難する人も400万人を超えています。シリアの人口は約2100万人ですから、4分の1以上は自宅に住めません。4月時点で、6月までの人道支援に必要な15億ドルの半分しか集まっていません。

 Q 内戦はいつ終わるのかな。

 A 今は終わりが見えない状況です。アサド大統領と同じイスラム教アラウィ派は少数派(人口の12%)ですが、多くは政権を支持しています。イランやロシアからの支援で、兵器も充実しているようです。反体制派は武器や弾薬(だんやく)が不足気味です。反体制派にはスンニ派(人口の70%)が多いですが、まとまりがない面もあります。

 Q 反体制派って仲が悪いの?

 A 西欧的(せいおうてき)な自由や民主主義を実現しようとしている人と、イスラム教のルールに基づく国を作ろうとしている人たちでは考え方が全く違います。また北東部に多いクルド人(人口の10〜15%)には自治の拡大を目指す動きもあります。考え方の違う人たちが少なくなく、内戦が長引く中、宗派同士の争いや殺し合いも増えているのです。アサド政権の崩壊(ほうかい)は「新たな混乱の始まりになる」という意見もあります。(カイロ支局)

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