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                           かけはし2003.12.1号

自衛隊はイラクに行くな!殺すな! 殺されるな!


イラク派兵基本計画反対!国会議員と市民が院内集会
国会前の路上でも派兵反対の声


 十一月十九日、総選挙後の特別国会が召集された日の午後二時から衆院第一議員会館で「イラク派兵基本計画反対 11・19国会議員と市民の緊急院内集会」が開催された。主催は「戦争反対!有事をつくるな市民緊急行動」と宗教者平和ネットとキリスト者平和ネットの三団体。イラク情勢の急進展と自衛隊派兵に向けた緊迫した攻防を背景に、平日の午後にもかかわらず集会室を埋めつくす百五十人が集まった。
 司会の高田健さんは、戦地に派遣される自衛官の家族と不安と怒りが渦巻いている現実を、「夫が死んだら私も自殺します」という自衛官の妻のメールでの悲痛な訴えを紹介しながら報告した。
 おりから首班指名の衆参本会議が開かれるという忙しい時間の合間をぬって、野党各党の国会議員が駆けつけた。民主党からは副代表の円より子参院議員と佐々木秀典衆院議員、共産党から小泉親司参院議員、社民党からは土井たか子元党代表・衆院議員、阿部とも子衆院議員、山本喜代宏衆院議員の三人が出席し、自衛隊イラク派兵にあくまで反対する決意を語った。
 参加した市民からは全国Fax通信の国富建治さん、ふぇみん婦人民主クラブの赤石千衣子さん、韓統連の宋世一(ソン・セイル)さん、東京・北区議の古沢久美子さん、平和憲法を広める狛江市民連絡会の寺沢浩次さん、そしてフォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)の五十川孝事務局次長がそれぞれ、イラクへの自衛隊派兵や憲法、教育基本法の改悪に反対する発言を行った。
 院内集会後、議員会館前の路上で集会を続行し、国会に向けて「自衛隊をイラクに送るな」のシュプレヒコールを響かせた。(K)

郡山市議会で自衛隊イラク派遣中止求める意見書採択

市民運動と議員の共同の力で

 【郡山】十一月十四日の郡山市議会総務財政常任委員会で『戦闘状態の続くイラクへの自衛隊派遣の中止を求める意見書を政府に対して提出を求める』請願が採択された。十二月はじめの本会議で採択され、政府に提出される見通しだ。
 この請願は九月の定例市議会に、これまで平和運動に取り組んできた郡山市民など二十九人が、無所属市民派の駒崎ゆき子議員(郡山の未来をつくる会)、保守系の伊藤祐一議員、共産党の橋本憲幸議員の三人を紹介議員として提出し、継続審議となっていたもの。
 同常任委員会では、保守系会派議員から『イラク特措法には賛成だが』と言った意見も出たが、現地でイタリア軍への攻撃で多数の犠牲があった直後だけに、自衛隊派遣への不安は大きく、強い抵抗もなく請願採択となった。
 護憲勢力の大幅後退という衆議院選挙後の大変な情勢の中にあっては大きな成果である。草の根から反戦運動を広げ、小泉のイラク派兵を中止に追い込もう。
         (N)



沖縄・辺野古の海に米軍新基地を作らせない!
ボーリング調査中止を!
辺野古から「命を守る会」が上京し集会と防衛庁行動

 十一月十六日、東京の文京区民センターで「辺野古の海に新基地を許すな! ボーリング調査の中止を求める集い」が開催された。主催は沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、東京沖縄県人会青年部、名護ヘリポート基地に反対する会、命どぅ宝ネットワークの四団体で、二百五十人の労働者、市民、学生が結集した。
 この日の集会は、米軍ヘリ基地建設地元の名護市辺野古から「命を守る会」の六人を招き、さんご礁とジュゴンの海に、米海兵隊の侵略出撃基地を建設しようとする策動に反対するために準備された。とりわけ辺野古沖合での事実上の基地建設着工に等しい違法なボーリング調査の企てを阻止することが緊急の課題となっている(本紙11月10日号参照)。また十一月七日には石川市、金武(きん)町、宜野座村漁協が「金武湾蘇生」を掲げて、総会で辺野古への基地移設反対の決議を上げるなど、改めて反対の声が広がりを見せている。
 司会から、この日訪沖しているラムズフェルド米国防長官に抗議する闘いが沖縄で行われていることが紹介された後、主催者を代表して、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック代表の上原成信さんがあいさつ。上原さんはボーリング調査に抗議して「沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団」が結成され、法廷闘争も準備されていること、さらに沖縄県公害審査会に調停を申し立てる「申立人団」への参加者をつのっていることを報告した。
 「集い」の第一部は「自然保護からの告発」。花輪伸一さん(WWFジャパン)は、「米軍基地建設による野生生物への脅威」をテーマに、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなどが、名護ヘリ基地建設や北部訓練場内のヘリパッド移設の影響で絶滅の危機にさらされている現状を報告し、環境と平和と人権を守ることは一体のものだ、と訴えた。
 次に吉田正人さん(日本自然保護協会)が、「じゃんぐさウォッチング」と題して、ジュゴンの餌である藻場が、ヘリ基地建設によっていかに破壊されようとしているかを詳細に報告。鈴木雅子さん(北限のジュゴンを見守る会)も、ジュゴン保護のために米軍基地建設に反対する訴えが国際的な自然保護団体の間に大きく広がっていることを紹介した。
 知念良吉さんと東京沖縄県人会青年部の歌が披露された後、第二部は「新基地に反対する住民〜命を守る会」と題して、辺野古現地の「命を守る会」からの訴え。
 最初に「命を守る会」のオバーたち、仲田幸子さん、島袋妙子さん、大城幸さんが登壇してインタビューに応える。
 「ベトナム戦争の時には辺野古にも米軍用のバーができたりして景気が良かったが、戦争が終わると不景気になってしまった。基地建設賛成派の中には、またベトナム戦争の時のように景気が良くなると思っている人もいるが私はそうは思わない」。
 「今年で七十八歳になるけど、沖縄戦の時に銃弾で手にケガをしたことが忘れられない。昔は山から取った薪を品物に替え、海から取った貝を売って生活できた。昔のようには生活できないにしても、明日は防衛庁に行って思っていることを訴えたい」。
 演壇に上げられてやや緊張気味のオバーたちだったが、とつとつと語る訴えに会場の参加者は惜しみない拍手を送った。続いて「命を守る会」代表の金城祐治さんと事務局長の宮城保さんが発言。金城さんは「なぜ小さな島のオバーたちに基地を背負わせなければならないのか。基地が必要だというなら東京の人たちが引き受けるべきではないのか。人を差別し、分け隔てすることが戦争につながる」と「本土の無関心」を厳しく告発した。
 次に沖縄を「平和行脚」してきた日本山妙法寺の武田隆雄さんが、読谷村の米軍通信施設「象のオリ」が恩納村喜瀬武原(きせんばる)に移設されることに対する現地住民の闘いを報告。最後にまよなかしんやさんの熱唱で、集いを終えた。

 十一月十七日には、「命を守る会」を先頭に防衛庁への申し入れ行動。代表団は石破茂防衛庁長官に宛てた「普天間基地の辺野古移設計画を直ちに中止する英断と、普天間基地の即時返還を実施されるよう、所轄である防衛施設庁・那覇防衛施設局に対してもその旨の指導監督をなされるよう、強く要請したします」という要請書を提出した。
 しかし防衛庁側は「基地を受け入れたのは沖縄県と名護市長である。防衛庁はそれに沿って粛々と進めているだけだ」と居直った。要請行動を終えた「命を守る会」の人びとは「防衛庁が基地を作らないというまで何回もやって来る」と意気高くアピールし、防衛庁に向けて「基地を作るな」とシュプレヒコールを行った。
 十六日の沖縄を訪問したラムズフェルド米国務長官は、稲嶺知事との会談でも「沖縄県民の多くは米軍を歓迎している」「沖縄ばかりでなく、世界中の軍の司令官たちが地域社会に与える影響を最小限に抑える努力を続けている」と、米軍基地「整理・縮小」や「日米地位協定改定」の訴えに一顧だにせず、基地周辺の航空機騒音などの改善要求にも「訓練、演習、騒音ののレベルは下がっていると理解している」と居直った。
 グローバル戦争に対応した世界的な米軍基地の再配置計画の中で進められる在沖米軍基地の機能強化に反対し、「本土」の労働者・市民は自らの闘いとしてともに行動を作りだしていかなければならない。 (K)



全国の運動と国際連帯の力で派兵を止めよう

東京・渋谷で三百五十人がデモ

 十一月二十四日、東京・渋谷で「自衛隊はイラクへ行くな!殺すな!殺されるな11・24行動」が行われた。この行動は、自衛隊の海外派兵と戦争協力に反対する実行委員会(新しい反安保実[)、市民の意見30東京の会、ATTACジャパン、日韓民衆連帯全国ネットワークなどが呼びかける実行委員会によるもので、渋谷一周デモに先立って集会の開かれた宮下公園には三百五十人が結集した。
最初に主催者を代表して天野恵一さんが発言に立ち、「イラク情勢は米軍が撤退に追い込まれたころのベトナムに近づきつつある。小泉政権は、崩壊する米軍のイラク占領を支えるために自衛隊を送り、イラク民衆を殺し、イラク民衆に殺される関係に入ろうとしている」と述べ、小泉政権を糾弾した。そして、十二月七日の小牧基地闘争や十二月二十日の札幌行動などの全国的な闘いで派兵を阻止しようと訴えた。
沖縄・平和市民連絡会の豊見山雅裕さんは、「ブッシュが追いつめられ、ブレアが『死に体』となり、各国が撤退や派兵中止に追い込まれるなかで、唯一『安泰』なのが小泉政権だ。われわれの責任は大きい」と述べ、全力で闘うことが求められていることを強調した。
そして「沖縄がアメリカのグローバル戦争でアジアの人々を殺戮するための基地になっている。韓国、フィリピン、台湾、プエルトリコ・ビエケスの闘いと連帯し、日本本土の皆さんと連帯し、米軍を追い出すまで闘う」と決意を表明した。
この十月十八日から二週間にわたってイラクを訪問した、女たちの戦争と平和人権基金の細井明美さんは、劣化ウラン弾による被曝で白血病に苦しむ子どもたちの薬代や、学校の黒板などに四千九百ドルを手渡してきたことを報告、「自衛隊が使う莫大な資金や米占領軍に支払う巨額の税金があれば、どれだけたくさんのイラクの子どもたちが救われるだろうか」と問いかけた。そして侵略戦争に加担した日本が責任を持ってすべきなのは、米軍がイラク全土に撃ち込んだ二千トンもの劣化ウラン弾の除去だと訴えた。
非核フィリピン連合と「平和のための結集」、十月二十五日のイラク反戦行動に際して「日韓共同声明」を出した韓国の「イラク派兵反対緊急国民行動」のメッセージが読み上げられた。さらに、戦争協力をしないさせない練馬ネットワークと、戦争協力はいやだの声を地域から南西部実行委員会、許すな!憲法改悪・市民連絡会の報告、この日の夜に開かれる劣化ウラン弾被害の報告集会の呼びかけを受けてデモに出発、「自衛隊はイラクに行くな!」「日本政府はイラク占領に加担するな!」「アメリカは直ちにイラクから撤退しろ!」と訴えた。(I)



イラク派兵反対!労働者使い捨てはゴメンだ

闘う労働運動が秋の共同行動

 十一月十九日、「自衛隊イラク派兵反対」と「中小・非正規・外国人労働者の権利確立」を掲げて、「11・19秋の共同行動・共同集会」が行われた。
 午前中は大塚製薬抗議要請行動、倒産争議を闘う埼京ユニオン・カメラのニシダの東京スター銀行追及行動が行われた。正午からは厚生労働省前での宣伝行動に続いて、神奈川シティユニオンによるSONY本社への抗議申し入れ行動、全統一光輪モータース分会、全統一レイキ分会、全造船関東地協いすゞ分会によるみずほ銀行要請行動、フィリピントヨタ労組によるトヨタ東京本社抗議行動が行われた。
 午後六時半からは総評会館で「共同集会」が開かれ、一日の行動を終えた労働者二百二十人が結集した。最初に、主催者を代表して中小労組政策ネットワーク共同代表の中岡基明さんがあいさつ、続いて全労働東京基準支部執行委員の藤川康雄さんが、名古屋で籠城爆発死亡事件を起こした軽急便の労働者に象徴される「労基法の適用されない労働者」の権利をいかに守るのか、という問題について特別報告を行った。
 藤川さんは、資本のグローバリゼーションのなかで、ドイツなどヨーロッパでも運輸業などで労働者を解雇して「請け負い」にしてしまう例が増えていることを指摘した。そして、業務請負などの委託契約を結んでいても、時間的場所的に拘束されて働いていたり、会社の命令と指示で働いていて自分で仕事を選択できないような、事実上の従属関係にある場合、労働契約であると認められるという判例を示し、そのような場合は労働法が適用され、企業には社会保険にも加入させる義務があることを指摘した。
 続いて国労名寄闘争団の佐久間誠副団長が、北海道に駐留する自衛隊北部方面隊第二師団のイラク派兵の中止を求める闘いについて報告した。佐久間さんの地元・名寄市は人口二万八千人で、二千人弱の自衛隊駐屯地があり、「過疎」で若者が少ないため自衛隊員と結婚する人も多い。佐久間さんの親戚にも自衛隊員が二人いるという。地元では不安が広がっている。
 小泉政権は、不安を抱える自衛隊員を一日三万円の派遣手当、死亡すれば九千万円というカネとと帰国後の昇進をエサに、劣化ウラン弾で放射能汚染されたイラクの戦場に送り出そうとしているのだ。佐久間さんは、福島県・郡山市議会に続いて名寄市議会でもイラク派兵中止の決議をあげようとしていることや、自衛隊官舎へのビラ入れ、十二月十四日に旭川で開かれる全国集会とデモなどについて報告した。
 今日一日の行動を闘い抜いた争議組合や諸団体からの一分アピールが行われた。最初に発言に立った都庁職労働支部の労働者は、石原都政が来年六月に新宿労政事務所の廃止と人員削減など、労働行政を大幅に後退させる方針を通告してきたことを、怒りを込めて報告した。
 リストラの嵐が吹き荒れ、雇用情勢がますます悪化するなかで、都内七カ所の労政事務所には、解雇・退職強要、労働条件の一方的切り下げ、賃金・退職金未払い、いじめやセクシュアル・ハラスメントなど、さまざまな相談が年間五万件以上寄せられている。なかでも、新宿労政事務所には最多の一万件の労働相談があり、昨年はそのうち四千四百件をまとめている。この新宿労政事務所を廃止してしまおうという石原の暴挙を許してはならない。
 続いて、埼京ユニオン・カメラのニシダ分会、大塚製薬労組、全統一千葉市非常勤職員組合、フィリピントヨタ労組、ATTACジャパン、脱WTO草の根キャンペーン、全統一光輪モータース分会、同レイキ分会、同ケーメックス分会、同外国人労働者分会、電通労組、神奈川シティーユニオン、下町ユニオン、日韓民衆連帯全国ネットワーク、国労闘争団、郵政ユニオン、移住連などが次々に一分間アピール。不当なリストラや組合つぶしと対決して闘う意志が、元気一杯に表明された。参加した多くの外国人労働者から、タガログ語やスペイン語などのシュプレヒコールが飛びかい、新自由主義グローバリゼーションと対決する労働者の国境を超えた連帯の熱気にあふれた集会となった。
 ネットワークユニオン東京の寺尾そのみさんが、来年春へ向けた闘いを呼びかける集会アピールを読み上げ、最後に昭和石油労組副委員長の柚木康子さんの音頭で「団結頑張ろう」を三唱した。      (I)

 藤川康雄さん(全労働東京基準支部執行委員)の報告から

 労働基準監督署では、軽急便事件が象徴するような「業務請負」「業務委託」という形で、「あなたには労働基準法は適用されない」と言われた労働者の相談が増えている。これは世界的傾向で、たとえばドイツでも、労働者を解雇して社会保険も適用されない「請負」にしてしまうような形態が、運輸を中心に増加している。
 軽急便だけでなく、「年収一千万も夢じゃない」と言われて中古でも五百万円以上するダンプを買わされ、ローンを返すと手取り十万とか十五万で、家族を抱えて生活できず、しかもダンプを買わされてしまったのでやめることもできないという労働者の相談もある。
 これらの場合、採用の時に業務委託契約書などを書かされる。だから労働者でなく個人業者になり、労働法が適用されないという。しかしすべてが適用されないわけではない。要は、使用される時に従属関係があるかどうか、命令を受けて働いているかどうかにかかっている。
 これらの仕事は、自分の判断で引き受けるかどうか決められないことがほとんどだ。また、時間的にも場所的にも拘束されている場合も多い。決まった場所で事実上の命令を受けて働いていれば、実体として労働契約ということになる。また、代替性があるかどうか、仕事を休むとペナルティーがあったりする場合も労働契約とみなされる。今日はそちらの仕事は引く受けられないといえるかどうか。いえなければ労働法が適用され、社会保険にも加入しなければならない。
 ある英語塾の教師が社会保険をかけてくれと言ったら、「あなたは業務委託だからできない」と断られた。この教師はフリーで、ほかの塾でも働けるのか。実体として労働者であることは明らかだ。
 自己所有の車で委託契約し運搬業務についていた軽急便と同じような事案の、賃金未払い訴訟の判例がある。会社は「賃金ではない」と主張したが、判決では原告側は労働時間が義務づけられ、毎日会社から配達の指示書を受け、仕事には会社から助手もつけられていたことを指摘し、事実上の労働契約だとして賃金支払を命じた。
 会社から請け負い契約だと言われた時、自分の好きな時間に働けるのか、仕事を選べるのか確かめておくべきだ。契約を結んでいるとすれば、労働時間の実態を自分でメモするなどして把握しておくべきだ。建設業の「一人親方」などは労働法の適用は受けられないが、たとえば二次下請けが三次下請けに支払わずに逃げてしまったような場合、建設業法で元請に支払いを命じることができる。(報告要旨。文責編集部)


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