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【産経抄】8月24日
2013.8.24 03:08
[産経抄]
貴重ということばを辞書で引いてみると、「きわめて大切なこと」や「とうとび重んじること」とある。原爆投下後の広島で暴力的に生きる少年たちを描いた漫画「はだしのゲン」をいくつかの新聞は、「貴重な作品」と評していてびっくりした。たぶん辞書を引くのをお忘れになったのだろう。
▼ゲンは昭和48年、少年ジャンプで連載が開始された。当時抄子は、なけなしの小遣いをはたいてジャンプを毎週買っていたが、「ど根性ガエル」は覚えていてもこの作品は、ほとんど記憶がない。同誌名物の読者アンケートでも下位を低迷していた。
▼同じ作者の手による「反原爆」漫画でも、大阪万博の年に発表された「ある日突然に」の方が、被爆2世とその父の哀切を描いて完成度が高かった。にもかかわらず、ゲンが全国津々浦々の学校に置かれるようになったのはなぜか。
▼ジャンプで連載が打ち切られると、ゲンは、日本共産党系雑誌に、そこも打ち切られると日教組系雑誌に掲載された。根拠のない日本軍の“蛮行”や昭和天皇への呪詛(じゅそ)がてんこ盛りになったのもこのころである。
▼親の知らぬ間に、「平和教育」の美名の下に教師たちが、グロテスクな「反天皇制」漫画を喜々として図書室や教室に置いていったこと自体がおかしい。松江市教育委員会は、教師の許可を得てから閲覧させるよう市立小中学校に指示したが、当たり前で遅すぎるくらいである。
▼同時代にジャンプでヒットした永井豪の「ハレンチ学園」は、ついぞ小学校の図書館に置かれなかったが、誰も言論抑圧とは言わなかった。ふだんは漫画を下に見ているのに、ゲンだけを特別扱いにする教師や新聞には、何か別の意図があると疑ってかかった方がいい。
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