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【経済】

不況ストレス?胃痛の時代 効能強調販売伸びる

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 製薬業界は、胃腸薬の販売戦略を「胃もたれ向け」から「胃痛向け」に移している。景気がよい時ほど外食の機会が増えて、胃もたれ対策で売れる傾向があった胃腸薬。だが、製薬会社は「厳しい経済情勢を背景にストレスで胃痛に悩む人が増えている」(ライオン)と判断。胃痛に効くと強調すると、売り上げ増に結びついた。他社もストレス性の胃の不調に効能がある薬の投入に力を入れている。 (小野谷公宏)

 大和証券によると、「ITバブル」や小泉政権の郵政解散後の株高時は一世帯当たりの胃腸薬代が増加。二〇〇八年秋のリーマン・ショック後の株安局面では、胃腸薬代が急激に減少している。

 ライオンの胃腸薬「スクラート」も近年販売は苦戦していたが、ストレスで胃痛を感じて胃腸薬を飲む人が増えていることが利用者を対象にした調査で判明。昨年九月にパッケージの「胃もたれ」の文字を小さくし、「胃痛」の文字を二倍に拡大したところ、今年五月までの販売額は、前年同期比62%増を記録した。

 大正製薬も昨年、ストレスによる胃の不調に効く「爽和(さわわ)」を発売したところ販売は好調だ。ロート製薬も胃痛などを抑える粉薬「パンシロンキュア」に苦みを感じず飲みやすい錠剤タイプを追加した。「胃もたれ向け」需要が減り、「胃痛向け」が増える背景には、「女性の社会進出に伴って、女性がストレスから飲むケースが増えている」(ロート製薬)ことや、外食する機会の多い若者人口が減少している構造的な背景も指摘されている。

 景気は最近、回復の兆しもみえて、株価も上昇している。ただ、ライオンは「胃もたれ需要が増えるほど景気は良くなっていない。(胃痛に効くことを強調する)デザインは当面変えない」と話している。

 

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