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【みんな・柿沢氏離党】柿沢未途前政調会長代理会見詳報 「万事休す。覚悟決めた」
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みんなの党に離党届けを提出、記者会見する柿沢未途衆院議員=22日午後、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影) みんなの党に離党届を提出した柿沢未途前政調会長代理の23日の記者会見の詳細は次の通り。
【冒頭】
「本日、私、柿沢未途はみんなの党を離党しました。離党届を(昼の)12時に(渡辺喜美)代表、(浅尾慶一郎)幹事長に提出して、受理していただきました。経過について話す」
「ことの発端は昨日。かねてから面談の要請があった。海外出張が続いていたので昨日、代表、幹事長との面談があった。その場で代表から、『何も言わないから、この党から出ていってくれ』という言葉を繰り返しいただくことになった。幹事長からは、政界再編のあり方をめぐる党の方針と私の考え方について若干の質問があったが、基本的には代表が言ったのは『党から出ていってほしい』と。そのことのみです」
「大変重い言葉をいただいたので、即答をできるはずがないし、そういう意味では何も明確な返事をできずに、その場を離れた。その後、自室で面会のアポイントをやっていたが、代表から再度電話があり、先ほどの件については本日午後5時、昨日の午後5時までに返事をするように、という言葉をいただいた。『幹事長のところに返事をよせるように』という話だったので、お話をさせていただきましたが、『いくらなんでも本当に議員の身分のことについて、出処進退について、3時に伝えて5時に返事をしろというのはとてもではないですが、無理です』と。『私自身、選挙区から選ばれた本当に一人の体ではありませんので』と申し上げた。幹事長からは、『こういうことは人に相談すると外に広がるので、時間をおくわけにはいかない』と。『翌日12時までに回答を寄せてほしい』という言葉をいただいた。つまり今日の12時。本日12時、幹事長にまず面会。その上で、代表に会った」
「私自身、明確な意志が定まっていたわけではないが、しかし、私の育ての親である代表から『党には不要なので出ていってほしい』といわれれば、致し方ないと腹をくくりまして、その場で『離党させていただく』ということを言った。代表からは『ならば自分の目の前で離党届を書いてほしい』といわれたので、『それはいくらなんでも勘弁してほしい』と申し上げて、『自室に戻って書いてくるので少し時間をいただきたい』ということを申し上げた。『先延ばしするつもりは毛頭ありません』ということも申し添えました。『じゃあ、いつ来るんだ』という話もありましたので、『10分だけ時間を下さい』と言った」
「そしてコピー機から白紙のA4の用紙を出して、自らの手書きで、『一身上の都合により、みんなの党を離党いたします』と。みんなの党の渡辺喜美先生宛の離党届をしたためて、そして、代表、幹事長の待つ渡辺先生の部屋にお邪魔をして、渡した」
「私自身はみんなの党の結党当初からのメンバーとして、また、1期目の3年4カ月の間、みんなの党の看板をしょって、国会質問回数ナンバーワンとなる270回近い国会質問をやらせていただいた。みんなの党の政策、アジェンダを掲げて先頭を走ってきた人間だと思っている。その延長線で、みんなの党の結党の理念である、政界再編に向けて自らウイングを広げて、仲間をつくって、将来もっと大きなまとまりをつくって、そして、私たちの政策が実現できるよう、頑張っていきたいという思いで、これまで一貫して行動してきた。そのことがいつしか、代表をはじめとする党の中心メンバーのみなさんの思いと、気がついたらかけ離れていたのかなと。今振り返って感じているところです」
「しかしながら、私自身は党の理念に反するような行動も発言も今までしたことはない。しかし、代表、私の育ての親から『党には不要だから出ていってほしい』とあれだけ繰り返し、繰り返し話をいただいて、もう万事休すという思いで自ら覚悟を決めることといたしました。私は、みんなの党を今でも愛しています。結党以来のみんなの党は、本当に政策重視の、そして、君子の交わりは淡きこと水のごとしといいますが、べたべたした付き合いよりも、本当に理念と政策を重視する優れた仲間の集団だったと思っています。その愛するみんなの党をこんな形で離れざるを得なくなったのは、本当に私自身不徳のいたすところであり、はらわたがちぎれるほど残念です」
「しかし、これは、いくら党代表から求められたことでも、私自身が最終的には政治家として決めたことでもある。これから置かれた立場において、自分が何ができるのか考えながら、日々を過ごしていきたいと思っている。この離党届の提出が、計画的なものではないということは、まず手書きで離党届を書いて提出をしたこと、そのコピーすらとっていないこと、離党にあたっての声明文などのメッセージもご用意できていないこと、こうしたことから、類推いただけるのではないかと思います。あまりにも唐突に、昨日、申し渡しをいただいて、そして党を出ていってくれと、そして夕方に返事をくれと、だめなら明日の昼だ、という言葉をいただいて、私自身やむにやまれぬ選択として、こういうことになった。本当に残念でありますし、私自身、なぜこうなってしまったのかと思っています。事実経過のご報告とともに、私からの報告は以上です」
【質疑】
--代表から「不要だから」と言われたのか
「正確にいうと『不要だから』という言葉があったわけではないと思います。正確を期して言えば、『何も言わない。もう何も言わないから出ていってくれ』。これを4回、5回繰り返しおっしゃられました」
--昨日午後3時からの集まりは何分ぐらいか
「30分ぐらいだと思う」
--その間、代表は「出ていってくれ」ということしかほぼ言っていないのか
「そうですね」
--もう何も言わないからというのは、代表は言いたいことがあったと思う。思い当たる節は?
「包み隠すつもりもない。この間、一連の参院選後の党改革を求める動きや、参院選後の反省を含めた総括の場面で、両院議員総会が複数回、その場で基本的に江田(憲司)前幹事長のいうことに同調する立場で発言し、行動してきた。また、政界再編のあるべき姿についても、私自身は民主党も、日本維新の会も、そして、みんなの党も大きな器をつくっていく、そうした流れをつくりだすべきだと思って、仲間をつくるということを、日々行ってきた。そうした点が、場合によってはみんなの党の単体としての存続を優先する代表の考えと反するものになっていたのかなと。こういうふうには思い当たる節としては、そうした点はあると思っています。しかしながら、みんなの党は政界再編の触媒政党だということを結党の宣言で書いている政党。つまり、新しい政界の枠組みができたとすれば、その時に、みんなの党がなくなるということも未来の姿としてはありうべし、というのが共通理解だったというふうに思っています。ですから、私は党の方針に反した形で、物事を行ってきたとは思っていません。ですから、反党行為を働いたかのような認識をもたれて、そして、事実上、離党要求を突きつけられて、そして党から離れざるを得ない状況になるというのは大変無念であります」
--奥さんの野上幸絵都議と、どういった話をしたか。野上さんはどういった行動をされるのか
「夫と妻といえども、それぞれ別々な選挙で、有権者の信任を受けて議席をいただいている立場です。つまり、私の行動と野上幸絵都議の行動が一致をしていなければいけないというものでもないと思っている。つまり、彼女自身の今後の行動というのは、彼女自身が決めることで、私がこうしたからといって、彼女もそうしなければいけないというものでもない。こういうことだと思っています」
--離党を求められた理由は?。野党再編のスタンスの違いか
「浅尾幹事長から、確かに政界再編を求める党の方針と若干のやりとりを行ったことは事実。そのときに幹事長からたずねられたのは、先日役員会で代表が言った政党ブロック論。『既存の政党が政策協定を結んだ上で、選挙区のすみわけをやって、連立政権を組むという考え方についてどう思うか』と聞かれた。私は『理念も政策も全部棚上げして一つになることを優先して、政界再編というか、新しい政党をつくることが正しいことだとは実は思っていない。理念と政策の一致が大切であって、民主党という政党のある種、批判と反省の上に立って、みんなの党をつくった。その本質が、まさにおかしくなってしまう。理念と政策を可能なかぎり一致させた上での再編でないと、これは、まさにつぎはぎ細工の再編になってしまうというのは、全く同じ意見です』。そうしたことを言った」
「『一方で、民主党、維新の会。正直言えば、国民の期待感が時間の経過とともに揺らいでいる看板を維持した上で、そことアライアンスを組んで連立政権を組むというメッセージを発することで本当に国民の期待感を高めることができるのかどうか、ということにはいささか懸念を持っています』と。つまり、『政党ブロック論がうまくいかないとは言いませんし、そんなことは不可能だというつもりもありません。しかし一方で、古い殻を脱ぎ捨てて、新しい枠組みをつくっていく。こういうことも選択肢としてあってもいいのではないか』という意見を言った。『そのことは、党の方針に反すると思って言っているわけではない』と。そのことも言った。こういうやりとりを、いろいろさせていただいている間に、ずっと黙って聞いていた代表が、口を開いて、『もう端的にいうと、何も言わない。党から出ていってくれ』といわれた。そんな経過だった」
「私と代表、幹事長の間で、政界再編の考え方が全く違うというわけではない。ない中で『なぜ新党を目指して会合をしているとか、こういう報道がでるのか』と指摘がありました。私自身が外に向けて再編だ、新党だということを大声で言ったことは一度もない。『報道ベースでさまざまなことが報じられ、そういった報道が出ること自体が、党がまとまって政党ブロック構想に進むというイメージを損なっているんだ』と。つまりは『こういう報道が出ないように行動してもらわないといけない』と。『こういう報道が続いて出るようであれば、これは党から離れてやってもらうしかない』という言葉を幹事長から言われた」
「私自身は報道が書いていることですから、私が言っていることではないので、ちょっとそれは、私のコントロールの範疇(はんちゅう)ではないとも思ったが、こうしたところまで指摘をされて、問題とされるということになれば、これは逆に言えば、このまま党にとどまっても、私が超党派の何かの議連に参加をして、一緒に飯を食えば、また政界再編だと、柿沢が動いている、という指摘を党内でいただいて、また処分だ、離党しろだ、の話が再燃するのだろうとも思った。そういう形で党内でとどまって何か反抗的なことを企てているというイメージで受け止められることは党にとっても、私にとっても決していいことではない。いずれそういう形で代表、幹事長の見とがめる所になるのであれば、もうこの『出てってくれ』という言葉を繰り返しいただいたこの局面で、もう腹をくくるしかない。こういう思いを持つに至った」
-無所属になった後、どういう形で、政界再編に向けた活動をしていくのか
「今回は誰かと示し合わせて行動したわけでも計画的に行動したわけでもありません。つまり、今後のことについては私自身、明確なビジョン、プランを持ち合わせている状況ではない。そういう意味で言えば、何かの意図があってこうした行動に出たと受け取れられかねないので、今後、私がどうするかということについては、コメントを一切差し控えたい。ましてや、こういう形で脱藩浪人、一人の脱藩浪人として、どう生きていくかじっくり考えたいと思います」
--江田憲司前幹事長に相談したか?
「それも含めてノーコメント」
--離党届を出さなかった場合にどうするかという言及はあったか
「それとない言及はありました。が、それとないということでしょうね。代表が『出ていってくれ』と繰り返し言われたときに、『今判断するのがお前のためだ』という趣旨の話もありました。それは今後、とどまった場合にどういうことがあるのかということを若干示唆した部分があったのかな、と解釈しています。
--柿沢さん自身はどう感じたか
「それは、私の勝手な解釈ですから、代表に過剰な迷惑はかけたくないので差し控える」
--選挙後の第一回目の両院議員総会について
「『党について何か言いたいことがありますか』と幹事長から促されたので、『東京の参院選の戦い方は、地方議員がいるのにもかかわらず、実際に票をもっている存在としているのに、そうした人たちを銀座や渋谷に呼び寄せている。運動員として使ったのは、支持層の票を固めるのにはマイナス。地に足のつかない選挙。敗戦の原因だったのではないかと思う』と申し上げた。
--代表や幹事長は柴田巧参院議員や井坂信彦衆院議員に対しても話を聞きたいと。離党されるようなことになるか分からないが、可能性がある。そういう姿勢を示していることについてどう思うか
「直接聞いていないので分からないが、もうこんなことは私だけにしてもらいたいと思います」
--昨日の午後3時に呼び出されたのは渡辺さんの会館の自室か
「はい」
--今日は何時にどちらに?
「(午前)11時半に幹事長の所に行って、その後、代表の部屋に同行した」
--いったん自室に戻って離党届を書いて、また代表の部屋に行ったのか?
「その通りです」
--江田前幹事長は「渡辺個人商店」と言っている
「私は代表にここまで育てていただいた人間だと思っている。代表を、大きなステージで働いていただきたいという思いで活動してきた。その意味で、みんなの党が代表の党ということを何ら否定するつもりはない。むしろそのために行動してきたことが、こんなふうに徒になったことが、とても残念に思っている。党運営については、これからみんなの党の方々が考えること。すでに外に出た私があれやこれや言うのは、やるべきことではないと思います」
--党を離れるにあたって、党に入ったときと代表の態度やみんなの党の雰囲気は変わったか
「直接的な答えにならないかもしれないが、結党の時から初期の国会活動が始まって、川田さんが入って、連日質疑に立たせていただくチャンスももらい、やっぱりあのころが懐かしく思いますね」
--今はそうではないということか
「直接的な答えはしません」
--これ以上の離党者は出すべきではないという考えか
「当たり前ではないですか。みんなの党は政界再編をすると言って結党された政党。その理念のもとにみんなが集まった。党がまとまって政界再編に動いて、大きな枠組みをつくる。そのことがなぜいけないんですか。それを目指す人を排除する必要は、私はないと思っていますし、こんなことを繰り返す必要は、ましてやないと思います」
--野党再編が結果論として前に進む可能性はあるか
「そういうことを意図した行動ではないので、そのことについては今、確たることを申し上げられません」
--代表は結党以来、4年間の感謝を伝えたいと言った。代表に対しての気持ちは?
「過去の経過をるる話すのは省略する。路頭に迷っていた私を拾い上げてくださったのは、まぎれもなく代表。本当に恩義は片時も忘れたことはない。その方から党を出てほしいと、何もいわない、出ていってくれと。今日の5時に判断してくれといわれれば、私は受け入れるしかないと。それが私の代表に対する恩の示し方ではないかと思ってこのような選択をした。代表には本当に感謝しております」
--代表の考え方が変わった転換点はあったのか
「これ以上、党に迷惑をかけたくないといって離党した。申し上げたいことがないわけではないが、差し控えたいと思います」
--触媒政党というが、一方で選挙は負けてはいない。みんなの党の支持者も増えている。政界再編の中身が分かりにくい。具体的に考えを教えてほしい
「本当ならお答えしたいのですが、私は何か絵をかいて、今この行動にいったわけではないので、今詳細に語るというのは場としてふさわしいと思っていない。脱藩浪人としてこれからあるべき姿というのを考えたいとは思っている。そして、政策理念が一致し、できれば、民主導の小さな政府、こういうものを志向するまとまりをつくりたいと思っているし、そういう理念が共有できる仲間は今のみんなの党よりも多くいるのではないかと思っています。
「あの、本当に無念です。はらわたがちぎれるような思いです。ただ、ここから私自身も前に進んでいくしかないと思いますので、いろいろご縁もあるかもしれませんので、今後ともよろしくお願いします。今日はありがとうございました」