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※この作品は、もうひとつの執筆作品の設定を一部流用しています。
※修正しました。8/24
第一話 四大世界
そこには四つの世界があった。
―――人族達が暮らす『人界』―――
―――魔族達が暮らす『魔界』―――
―――神族達が暮らす『神界』―――
―――獣族達が暮らす『獣界』―――
魔界と神界は戦争をしていた。
人界はおとぎ話の中で他の世界について描いていた。
獣界は自分たちの世界しか知らなかった。
だが、五つ目の世界が現れて事態が一変した。
五つ目の世界が現れると同時に、各世界に門が出現した。
各世界は突然現れた門に混乱した。
その門は人族が武器で攻撃しても、魔族が魔力をぶつけても、神族が魔法を放っても、獣人が殴りつけても傷一つ突かなかった。
四つの世界は意を決し、門の中へと入っていく。
門の向こうにあったのは、まだ誰にも支配されていない新世界だった。
そこは資源が豊富で、広大な大地があり、魔力が満ち、氣が溢れ出て、生きた世界だった。
そして、新世界で四つの世界の住人は出会う。
初めはみんな驚いた。
自分たちの世界以外にも世界が存在したなんて、と。
魔界と神界は戦争をやめ、四つの世界は話し合った。
五つ目の世界を誰の世界にするかと。
人界はこう言った『分割しては?ただ人界が半分をもらう』―――――
魔界はこう言った『最初にこの世界に入った魔界のものだ』―――――
神界はこう言った『魔力の制御のためにも神界が管理する』―――――
獣界はこう言った『氣が扱える我々にしか世界を保てない』―――――
どの世界も譲らず、いくら話し合っても時間が過ぎるだけで終わりが見えない。
最初に動いたのはどの世界だっただろう。
四つの世界はついに実力行使に打って出た。
五つ目の世界を舞台に『四大世界間大戦』が勃発した。
人族が兵器を手に取れば、他の三世界の住人が息絶える。
魔族が魔力をぶつければ、他の三世界の住人が四散する。
神族が魔法を撃ち出せば、他の三世界の住人が消滅する。
獣族が氣を纏って殴れば、他の三世界の住人が抉られる。
五つ目の世界は、生きた世界から、死んだ世界になろうとしていた。
泥沼の中、ついに人界が起死回生の糸口を手繰り寄せる。
人族には効かず、三つの他種族にのみ毒牙を向けるウィルス兵器を完成させる。
人界以外の三つの世界は焦った。
このままでは五つ目の世界はおろか、魔界、神界、獣界までもが人族達の手に落ちてしまう。
三つの世界は人界を倒すために手を取り、三世界同盟を結んだ。
四つ巴だった戦争が一対三の戦いになった。
ウィルス兵器があると知れば降伏すると思っていた人界は、三世界同盟を前に一気に窮地に落とされていく。
―――――そして、人界は敗北した。
人界はウィルス兵器を作った者、使おうとした者、当時の人界代表の者を同盟へ差し出し、処刑させることでなんとか滅ぼされることは回避した。
だが人界には決して消えない傷が残された。
ただ人界という共通の敵を破ったということで、三世界は五つ目の世界を共有することで話しをまとめることが出来たという点については、唯一人界に感謝してもいいだろう。
人界は敗れることによって世界の平穏を取り戻させたのだ。
~書籍『四大世界間大戦』より抜粋~
―――――これは二十五年前の話しである―――――
大戦から二十五年経った今、五つ目の世界は見違えるように活気に溢れていた。
同盟こそ解体されたが、この世界は依然三つの世界が中心となって舵取りをしている。
むろん人界も過去を清算し、五つ目の世界に関わっているがこの世界は人族に厳しい。
人族もこの世界に足を踏み入れ、暮らすことが出来る様になったのだが、過去の大戦の記憶から魔族と神族から迫害を受ける。
そんな中、獣族だけが人族に対して中立の立場を保っている。
大小多岐に渡って問題は未だに残っているが、概ね上手く回っている今の五つ目の世界。
この世界は今、全ての世界の中心だ。
この世界の名前は――――『ファンタピア』―――――
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