“伝説の男”が緊急アドバイスだ。ロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリストの村田諒太(27=三迫)はプロデビュー戦(25日、東京・有明コロシアム)で東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄(31=ワタナベ)と対戦する。世界も大注目する決戦に向け、日本ボクシング界では最重量となるミドル級で世界を制した元WBA王者の竹原慎二(41=竹原&畑山ジム会長)が極意を伝授した。
1995年、日本人には「不可能」と言われたミドル級で世界王者となった竹原が口を開いた。プロデビューする村田に対し「参考にすべき」としたのは1日に亀田和毅(22=亀田)がWBOバンタム級王座を獲得した一戦だ。「あの試合は和毅がスピードで圧倒していた。スピードがない選手は上に行くのが難しいと思う」(竹原)
「スピード」といっても動きやステップ、判断などボクサーには色々な動作がある中、竹原が指摘するのはパンチを繰り出す速さという。「回転力が大事。日本人はついつい力でパンチを打とうとしてしまうけど、それがスピードを殺すことになってしまう。大切なのは出入りのスピード。一発打った後に、次のパンチをいかに早く出せるか。その意味では海外(米国)で出稽古ができたのは大きい」
また竹原が課題として挙げたのはスタミナだ。村田は五輪金メダル獲得が評価され、プロテストでは異例のA級ライセンスが支給された。デビュー戦から10回戦を行うことも可能だが、アマチュアでは3ラウンドの戦いしか経験がないことから、本人の希望で柴田戦は6回戦となった。
「6回戦と10回戦、世界タイトルの12回戦は全然違いますから。私も初めて12ラウンドの試合をやった時は、6回が終わっても『まだ半分か~』と思いました。これは何回か経験を積んで慣れていくしかないでしょう。日本や東洋太平洋のタイトル戦をやることでスタミナをつけていけばいいと思う」
さらに竹原は村田の“肩書”を問題視した。五輪金メダリストのプロ転向とあって、周囲からは当然のように世界王者への道を順調に駆け上がることを期待される。村田がそんな雰囲気にのまれれば、大きな落とし穴にはまりかねない。
「勝って当たり前という相手とやることもあると思う。私もプロ2戦目にダウンをした。気が付いたら倒れていて『こんなに簡単にダウンするんだ』と思った。きっと油断があったんでしょう」。中重量級では1発のパンチが致命傷となることは珍しくない。どんな時でも細心の注意が必要というわけだ。
そんな竹原は世界王者になる可能性にも言及した。「“引き出し”を増やすこと。世界を取るためには多彩なコンビネーションを身に付けないと。距離を取ったボクシングができるようになれば…。トップランク社と帝拳がプロモートで手を組んでいるんだから、必ず世界に挑戦するチャンスはある。間違いなく素質はある選手だから、頑張ってほしい」
かつて日本初の偉業を達成した竹原。同じ階級で五輪メダリストから初の転身となる村田に境遇を重ね合わせ、自らの経験と極意を伝授し、エールを送った。
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