東京電力福島第1原子力発電所の地上のタンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れ出した問題で、原因の究明が難航している。23日の原子力規制委員会による現地調査では東電のずさんな管理体制も浮かび上がった。原因が突き止められないままだと、有効な対策を打てない状況が長引く。
「点検の記録が残っていない。点検がずさんだったと言わざるを得ない」。23日、汚染水漏れの現場を視察した規制委の更田(ふけた)豊志委員は東電の対応を厳しく批判した。
更田氏と専門家ら計14人は汚染水漏れが発覚したタンクや、事故直後に高濃度の汚染水がたまった海側のトレンチ(坑道)などの様子を確かめた。更田氏は人手が足りないとする東電に対し「できないことは声を上げてほしい」と呼びかけた。
規制委は21日、同型タンクの汚染水を他へ移送すべきと指示していた。視察の結果、空きタンクがほとんどない点を踏まえ「すべて移すのは現実的ではない」(更田氏)と修正。代わりに漏洩に備えた空タンクを用意しておくよう求めた。更田氏は漏れた汚染水が「長期間にわたり(海に)行っていた可能性はある」と懸念を示した。
「放射線量が高く、タンクの中に入れないので漏水箇所は分からない」。23日夕に経済産業省が有識者を交えて開いた汚染水処理対策委員会では、東電の担当者は厳しい事情を説明した。
タンクの漏れが発覚して5日。東電側は汚染水がタンク下部のコンクリート基盤から漏れた可能性を示唆するが、原因を特定できないままだ。
原因が判明しないうちは汚染水対策が停滞する。東電は山側から流れる汚染前の地下水を海洋放出する「地下水バイパス計画」を検討しているが、タンク群は地下水の流れの真上にある。水漏れが続けば地下水が汚染される可能性が膨らむ。
バイパス計画で規制委の更田氏は「一日も早くやりたい。ただ、くみ上げた水をしばらく分析することが必要だ」と語り、当面は実現しにくいとの見方を示した。
事故後に低コストで増設したタンクは鋼製の胴体部分の継ぎ目を樹脂製のパッキンで埋めている。政府・東電は継ぎ目から水が漏れた可能性もあるため、継ぎ目を溶接してタンクの強度を上げることなどを検討する。
23日に赤羽一嘉経産副大臣を訪問した自民党福島県連の平出孝朗幹事長(福島県議)は「国が前に出てタンクの安全管理を徹底してもらいたい」と要望。赤羽氏は「経産省や規制庁がもっと現場に入って協議することが必要だ」と答えた。週明けの26日には茂木敏充経産相が福島第1原発を訪れ、汚染水対策の状況を確認する。
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