惨劇目撃者、心に深い傷 福知山露店爆発
京都府福知山市の露店爆発事故の現場で惨状を目撃した人たちから、精神的ショックや不安を訴える声が上がっている。花火大会の主催者や行政が設置した相談窓口や現場を訪れた人々からは「子どもが火を見ると震える」「夜、悲しくて泣いてしまう」「眠れない」などの声が寄せられ、心に負った傷の深さを浮き彫りにしている。
花火大会の主催者による相談窓口を家族と訪れた福知山市の女性(29)は「5歳の次男が口数も少なく心配。ヨーヨーが割れる音を聞いただけで、『爆発するんちゃう』と言った。服が燃えていた人を見ており、火を見ると震える」という。
事故現場で手を合わせていた同市の主婦(39)は、河川敷で火だるまになった人々が転げ回る姿を見た。「車の扉が閉まる音を聞いただけで爆発を思い出す。夜になると悲しくて泣いてしまう」
現場で献花した同市の中学3年女子(15)は友人と現場にいた。「事故のことが話題になると怖かった現場がよみがえる。私は生き残ったけれど、死んでしまった人もいる。何の罪もないのに…」と声を詰まらせた。
同じく献花した同市の会社員男性(43)は小学生の娘2人と惨事を目撃。「娘は怖がってしばらく眠れず、食欲もなくなった。事故のニュースは今も見ようとしない」と話す。
京丹後市の女性(41)は、一緒にいた男性が死亡した男児を助けようとする姿を見ていた。「事故翌日から激しい動悸(どうき)があり、食べ物を戻し続けた。男児が亡くなって、一段とショック。仕事中にも動悸が止まらず、いつ吐き気が起こるか分からなくて、つらい」と心情を打ち明けた。
■長期的な支援が必要
兵庫県こころのケアセンター(神戸市)の加藤寛センター長(災害精神医学)の話 大事故や事件、災害では被害者や遺族、目撃者に対する健康面や精神面の支援が重要。今回のようにやけどで負傷した場合、被害者は治療後も傷あとを見るだけで苦しんでしまう。長期にわたるサポートが欠かせない。
行政などの相談窓口に当事者本人が訪れたり、電話することは少ない。明石市の歩道橋事故やJR福知山線脱線事故で兵庫県が設けた窓口でも、負傷者本人が来たケースは少なく、家族や知人から相談が多く寄せられた。
支援する側は待つだけでなく、直接被害者に会いに行くことも考えてほしい。相談窓口だけでは限界があり、被害者が通う病院などでも心のケアに取り組むことが必要だろう。
【 2013年08月24日 08時59分 】