水と緑の地球環境:着物アロハで復興 岩手・久慈の縫製業者、タンスに眠る衣装をリメーク

毎日新聞 2013年08月24日 東京朝刊

 ◇東京のNPOが提案 雇用創出、帽子やバッグも製造

 東日本大震災で打撃を受けた岩手県久慈市の縫製業者が、市民グループの支援を受けて全国から寄せられた着物をアロハシャツなどにつくり直して復興の足がかりにしている。被災地での仕事づくりと、家庭で眠っていた着物地に息を吹き込む取り組みだ。【明珍美紀】

 「東北のものづくりの力を生かして一日も早く工場の運営を軌道に乗せたい」。サンプル品を広げながら「久慈ソーイング」(久慈市)社長の中田利雄さん(71)は言葉に力を込める。

 津波で海岸近くにある工場が壊滅的な被害に遭い、約100台のミシンが水浸しになった。同社はもともと水着縫製のメーカーだが、特殊ミシンを使っていたので洗浄や修理に時間がかかった。そこで閉鎖になった他企業の工場からミシンを安価で譲ってもらうなどして震災発生から5カ月後、カジュアルシャツの生産から業務再開にこぎつけた。とはいえ再建への道のりは遠い。「着物地でアロハをつくってみたら」と、東京のNPO法人「和と輪会」(03・3723・0044)の提案を受けて「オリエンタルアロハ」の製造に乗り出した。

 同会は育児の支援事業が主な活動で、震災以後は被災地の応援に力を注ぐ。「たんすの中にしまわれていた着物が粋なシャツに生まれ変われば、新たな付加価値が伴う」と理事長の名木純子さん(74)は言う。

 同会の呼びかけで寄付された着物は、いったん岩手県陸前高田市に送り、仮設住宅で暮らす女性たちにほどく作業を依頼。久慈ソーイングでは、それらの着物地を洗ったうえでシャツに仕立てることにした。今春、商品化され、価格は浴衣地のシャツが5400円から。絹などの着物地は1万5750円からで、デパートの催事やイベントなどで販売されている。この夏からは、シャツをつくる過程で余った布などを活用し、帽子やバッグなどがアイテムに加わった。「生産は月に80着程度。長袖なども企画し、地域の新たな産業になるような仕事づくりを考えたい」と名木さん。

 現在は本体の工場でシャツや水着などを生産し、古着の着物地のアロハは近くの仮設工場で縫っている。従業員やパートの再雇用も進み、震災前とほぼ同数の約40人が働く。「別の企業や団体からは復興支援グッズなどの注文があった。多くの人に支えられている」と中田さんは言う。

 ◇胸に「じぇ!じぇ!じぇ!」

 久慈市の応援商品で、胸の部分に「じぇ!じぇ!じぇ!」のロゴが入った「くじあろは」が今月10日、発売された。NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」でおなじみになった「じぇ」は、驚いたときに使われる地元の言葉だ。

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