Way(1)宮脇昭 

Naturalism  Way  (1) { 甦る太古の森 }宮脇昭

瓦礫と対峙する

その瞳には 千年後の 森がみえている

Naturalism Way 第一回は、敬愛する宮脇昭先生です。
21世紀のネイティブスピリットの在り方。

 

for the next 7 generations はネイティブアメリカンのイロコイ族の格言です。
物事を決める時には、現世代のことだけではなく
七世代後の子供たちのことまで考えて決める。  ←Naturalism Book Travel ⑥インディアン魂
ネイティブアメリカンの指導者には欠かせない資質といわれていました。
かつての日本人は、七世代前の先人や七世代後の世代のことを
とても身近かなリアルな存在として体感してたと思うんです。
祖先の知恵を大切に受け継ぎ、実践し、後世に受け渡す。
でも現代では、わたしたちは、世界有数の負の遺産国となってしまいました。
もっとも七世代後を考えない国民。(というか一世代後すら考えていないんですけど、、、)
3.11後、東北の、日本の、七世代後のことを考えた行動。
官僚や政治家を含めて、for the next 7 generations とよべるのは
宮脇先生の「森の堤防」くらいなんじゃないか、とおもいます。
おことわりしますと、7 generationsは、僕がキャッチフレーズにしてるだけで、
宮脇先生ご本人が、「for the next 7 generations」と発言されているわけではありません。
太古の森の再生というコンセプトからの、僕の連想です。
植物生態学を極めることは、「植物の心」近づくこと、だったのかもしれません。
僕には、宮脇先生(チュクセン教授)の提唱する「潜在自然植生」、
五感を研ぎすませ、眼には見えない自然のかすかなシグナルを受信する行為って、
ネイティブスピリット、縄文人感性のことに思えるんです。
僕には、宮脇先生、奇跡のりんごの木村さん、自然農法の川口さん、
なんだか同じ感性の人たち、「植物と話す人々」のような気がするのです。
僕もナチュラリズム、樹木信仰をテーマとする写真家ですから、
植物への畏敬という心性は、DNAのとても深いところでつながっているのでしょう。
「木を植える」
人と植物の対称性の回復。  ←Naturalism Book Travel⑧ カイエ・ソバージュ
植樹、この人間にしかできない行為こそ、
誰でもできる
21世紀の縄文精神の復興、
新世紀のナチュラリズム(自然信仰)の基本行動なのではないか、とおもいます。

 

宮脇先生には、森の声が聴こえるはずだ。
植樹祭の冒頭、これから植える予定の小さな苗の名前を、
全員で三回連呼するという恒例行事がある。
「タブノキ! タブノキ〜! タブノキ〜〜!!」
これから植える苗の名前を、植樹参加者で唱和する。
「木は聴いているんです」と宮脇先生は言う。
これを、”言霊植え”と、僕は呼ぶ。
フランスのアニメに「木を植える男」という美しい名作があります。
たったひとりで、森をつくる男の話。
宮脇先生が植えた木は4000万本という、途方もない数だ。
実写版「木を植える男」。
日本列島のすべての潜在自然植生を調べあげ、土地本来の樹を植える「宮脇方式」。
それは、植樹というより、「太古の森の再生」だ。
不可能といわれていた熱帯雨林の植樹を世界ではじめて成功させた。
植樹成功率は、限りなく100%に近いといいます。
僕も、一緒に植樹した。
僕が生まれてきて唯一「いいことをした」としたら、この植樹なのかもしれない。
それは
疑いもなく 正しいこと。
やみくもに うれしいこと。
未来を実感できること。

 

↑宮脇先生の木を植える後ろ姿の絵を描き、研究所にお贈りした。
後日、その絵を本の表紙に使いたいと出版社から電話をいただいた。
「装丁デザイナーが決まっていないようでしたら、僕、デザインしますよ、
ええ、宮脇先生の本なら、装丁費なんていくらでもいいですよ!」
という訳で、装丁、装画、著者写真、すべてを任せていただきました。
それが、「いのちの未来」という本です。  vin

 

 



宮脇先生を応援させていただいております。
Naturalist、自然信仰者としての共感、
写真家としてクオリティの高いドキュメント写真を残したい、という想いからです。
宮脇先生の植樹活動は、様々な自治体、団体、企業が主催しており、バラバラです。
個々のプロジェクトについては、直接、主催団体にお問い合わせください。
このブログは、写真家の個人ホームページです。僕は「宮脇昭 ひとり宣伝部」みたいなもの。
植樹主催者とは、別活動ですので、どうぞ、御了解くださいませ。

 

「いのちの未来  植物が教える人類の進むべき道 」 より抜粋

 生態系の観点からみれば、緑の植物は生産者である。
太陽の光のエネルギーを化学エネルギーに転換する
「唯一の生産者」なのである。
一方、われわれ人間や動物は、その生産者たる植物に依存している
いわば「寄生虫」であり、よくいえば「消費者」の立場にある。
すべての廃棄物を長い時間をかけて無機質にまで完全に分解し、
還元する働きをするカビやバクテリアは地球上では唯一の「還元者」である。
この生産、消費、還元の三つの柱から成り立っている多様なシステムを
生態系と呼んでいる。
生態系という言葉の語源は、1935年、イギリスのタンズレイが、
植物群落とその生育環境という地味な研究を通して問題を提起した。
それが、現在では、一つのシステムサイエンスにまで採用されるほどの普遍性をもった。
「潜在自然植生」とは、
長い間の人間の活動によって環境や立地条件が変わってしまった土地で、
もし今、人間の影響をすべて停止したと仮定して、
その土地の自然環境の総和がどのような植生を支える能力をもっているのかを
理論的に考察する、という概念である。
1956年に、ドイツの植物生態学者ラインホルト・チュクセン教授が、
「原植生」 (人間が影響を加える直前の植生)
「現存植生」(現在の人間によって変えられた植生)
についで、植生の第三の概念として提唱した。
土地本来の緑、素肌・素顔の緑、のこと。

 

チユクセン教授から言われた次の言葉に背中を押されるように、
非常に困難のともなう潜在自然植生の調査を続けた。
「三年間、本物のリーダーの指導の下で現場を徹底的に調べれば、
見えないものが見えるようになる。
現場に行けば、必ず自然はかすかな予兆を発している。
そのかすかな予兆から全体をどう読み取り、
問題が起こる前にどう対処するか。それが人間の英知ではないか
最近百年このかた、見えるのも、計量化できるものだけを相手にした、
世界の人々がモダンと信じて疑わなかった近代科学が、
深刻な環境問題を予測できず、経済までが行き詰まったのはなぜか。
それは、かつて、人が神に例え、仏に例えたかもしれない見えないもの、
それを見る目を失ったからではないのか。
たとえ、宗教を信じない人であっても、
自然や、自然科学を学び研究を深めれば深めるほど、
この大自然が、地球が、大宇宙が、いかに神秘的であるか、
身の回りの山や谷や川、そこに住まわされている
微生物、動物、植物、人間にいたるまで
個々の体のどの部分を見ても、あまりにもうまくできていることに
驚嘆せざるえないであろう。
私たちの、現代の、見えるものだけ相手にした科学、技術が、
いかに生命や生命にかかわりのある環境問題に対して
無力、不完全であり、不十分であったか。
現代は総合の時代であると同時に、見えないものを見る目、
にせものと本物を見分ける目を養い、
そして、現在たまたま判明している個々の現象に、
見えない分野も総合的につなぎあわせて全体像を把握し、形成し、
具現化し、理解する、人間のほんとうの英知が要求される時代である。
             宮脇昭 「いのちの未来」より抜粋 アマゾンで在庫あり

 

 IGES国際生態学センターにて 2012年撮影

 

※ここからは、宮脇先生の様々な講演、著作からの抜粋です。

三本の植樹から森は生まれる

日本語はうまくできていて、三本植えれば森、五本植えれば森林となります。1億2千万人の人が一人三本ずつ植えれば、3億6千万本の木を植えることができるのです。
「潜在自然植生」とは、
長い間の人間の活動によって環境や立地条件が変わってしまった土地で、
もし今、人間の影響をすべて停止したと仮定して、
その土地の自然環境の総和がどのような植生を支える能力をもっているのかを
理論的に考察する、という概念です。
1956年に、ドイツの植物生態学者ラインホルト・チュクセン教授が、
「原植生(人間が影響を加える直前の植生)」
「現存植生(現在の人間によって変えられた植生)
についで、植生の第三の概念として提唱しました。
土地本来の緑、素肌・素顔の緑、です。
今私たちを取り巻く植物のほとんどは、
人間活動の影響下に変えられた代償植生、二次植生です。
植樹で大切なことは、植林による新しい森が
その土地や地域本来の環境と共生することです。
そのためには、潜在自然植生の樹木を選別して植えなければいけません。

何種類もの樹苗を自然の森のシステムにそって不規則に混植・密植することで、
多様性と我慢から共生を生み出し、樹木本来の生命力を引き出すのです。
除草など成長に手助けが必要なのは植樹後の約3年間だけで、
その後は、樹々自身が、森を育て、「土地本来の森」が再生していきます。
今まで行政が行ってきたのは、 スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹の造林か、
その土地に何の縁 もない外来種の成木を植えるというような緑化です。
ずっと人が管理し続けなければならない、「偽物の森」でした。

ふるさとの森、鎮守の森

ドイツでは「森の下にもうひとつの森がある」ということわざがありますが、
これは
「一見すると邪魔者にみえる下草や低木などの下の森こそが、上の森を支えている」
という意味です。
家畜の林内放牧を数十年、数百年、一千年以上も続けてきた結果、
森が草原や荒原になったのです。
世界のほとんどの国の森の崩壊を招いた最大の原因は、家畜の過放牧でした。
家畜の民は他の神を認めない一神教を信仰していたことから、
森に住む古代ケルト人やゲルマン人の伝統的なアニミズムの神々を
排斥する意図もあったと思われます。
もともとヨーロッパなどでもかつて庶民の信仰は多神教でした。
2000年ほど前に一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教などが生まれ、
そして神に従属する人間は、自然の管理者であるとして森を破壊し、
わずか2000年の間に世界の環境を悪化させてしまったのです。
            →Naturalism Book Travel 8 中沢新一「カイエソバージュ」に詳細
日本では、後世になって社や宗教施設としての神社がつくられたのであって、
その象徴的存在は、土地本来のふるさとの森です。
この「鎮守の森」こそ、長い間日本人の生活を支え、
その悲喜こもごもを受け入れてくれた癒しの空間でした。
日本人は、ヒトの顔に例えれば眼のような、人間の干渉に敏感な土地に、本物の森をつくり、
触ってもよい頬のような土地に、水田や畑地をつくり、
少し我慢をしながら限られた国土で数千年を生きてきた賢明な民族でした。
昔どえらい知恵者がいて、急斜面、尾根筋、水辺のような弱い自然を
愚か者が破壊したり樹林を伐採したりしないように、そこに鎮守の森、
お寺の森、お地蔵さん、お稲荷さん、水神様、お墓などをつくって、
この森を刈ったらばちがあたる、この水源地にゴミを捨てたら祟りがあるという、宗教的なタブー意識に訴えたのです。
鎮守の森に生育している常緑広葉樹は、
地震や台風などの災害から人々を守ってきた のです。
冬も常緑で水を含んでいるために火防木(ひふせぎ)の役割を果たします。
日本人 は、縄文以来4000年、
新しい集落や町には必ず鎮守の森 をつくってきたのです。

森の防波堤

永い人類の歴史の中では、現代人が「ゴミ」と呼んでいるような不要物はなかったのです。
ほとんどあらゆるものが暮らしの中で再利用され、
最終的には土に還り、植物の栄養として循環していたのです。
震災で生じたがれきのほとんどは、家屋などの廃木材やコンクリート、
これらはもともと自然が生み出したエコロジカルな『地球資源』です。
捨てたり焼いたりしないで有効に活用すべきです。
海岸部に穴を掘り、がれきと土を混ぜ、かまぼこ状のマウンド(土塁)を築く。
そこに、その土地の本来の樹種である潜在自然植生の木を選んで植えていけば、
10~20年で防災・環境保全林「緑の堤防」が海岸に沿って生まれます。

この森では個々の樹木は世代交代しても、
自然森として9000年は長持ちする持続可能な生態系になります。
奇跡の一本松が話題になりましたが、マツは潜在自然植生ではなく
その根は、深根性ではありません。
だから、津波には弱く、防波堤の役目ははたせないのです。
東北地方の潜在自然植生であるタブノキやカシ、シイ類などは根が、
真っすぐに深く地下に入る直根性・深根性の木であるため
容易に倒れず波砕効果を持ちます。
将来再び巨大な津波が襲来しても、「緑の堤防」なら津波のエネルギーを吸収します。
瓦礫には、被災者の方々の想い出の品もたくさん混ざっています。
犠牲者の方々の無念の思いを地域の安全を守る礎として
活かし、育てる「鎮魂の丘」でもあるのです。
すでに石巻北上中学校や仙台市の海岸公園冒険広場で「鎮魂の植樹」が実施されています。
皆さん、危機はチャンス。
今、生きているということは、本当に奇跡なんですよ。
切れる ことなく細い遺伝子が続いているから、皆さんが今ここにある。
皆さんが未来に残すものは、いま、大騒ぎしている紙切れの札束や株券や物じゃないです。
あなたの、あなたの愛する人の、人類の、40億年続いている遺伝子を
未来に残す一里塚として、100年足らずを生きていらっしゃるわけです。
土地本来の「ふるさとの木によるふるさとの森」こそ、
私たちのいのちと心、遺伝子を守る本物の森です。
その森を足元からつくっていただきたい。
 

 

◎宮脇 昭「いのちを守る森づくり 東北復興」  YOUTUBE拡散希望

http://www.youtube.com/watch?v=M3xDaV0BugU

◎「がれきで森を再生 84歳学者の闘い 森の力で被災地を救え!宮脇昭」拡散希望http://www.youtube.com/watch?v=4bFbq4yi_EY
◎緑の防波堤については、緊急出版されたこの本で
「瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る」宮脇昭 (学研新書)

 

◎入門編 写真が豊富で「宮脇方式」がわかりやすい本です
「三本の植樹から森は生まれる」 宮脇昭 詳伝社ポケットビジュアル

◎宮脇先生の怒濤の人生が伝わる感動ルポルタージュ
「魂の森を行け―3000万本の木を植えた男」  新潮文庫

 

◎ナショナルジオグラフィック誌の面白いインタビューです。

http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/sp/inochi/message3.shtml

 

              豊島区「校庭に いのちの森を プロジェクト」

 

 

緑の防波堤。
ほんとうに素晴らしい計画です。
宮脇先生は震災後すぐ、このプロジェクトを提唱されました。
先日(2012年3月)お会いしてお話を聞いた所、進展がないそうです。
理由は、「瓦礫は有害廃棄物質である」という法律の壁。

 

たぶん、ほんとうの壁は、「瓦礫処理利権」だと思います。
、、、、、、

 

微力ですが、これからもなにかお手伝いしていけたらと思います。
2012年 3月 VIN OOTA

 

↑ MIYAWAKI PROJECTのポスターを勝手に作って、先生にプレゼントしました

 

岩沼市 森の堤防プロジェクト photo report

宮脇先生と、その趣旨に賛同いただいた有志の尽力で
ついに、「森の防波堤  千年希望の丘」が、動き始めました!!!
瓦礫を土台に、強固な森の防波堤をつくり、鎮魂の丘とする。
懸念だった瓦礫が処理できる。
数千年安心できる防波堤ができる。
森がCO2を低減。
ほんとうの意味での復興(ルネッサンス)が進む。
鎮魂の場ができる。
植樹したこどもたちの魂にも木が植えられる
一石六鳥じゃないか。
震災後すぐに、この構想を立ち上げた宮脇先生。
「皆さん素晴らしいと言うだけで、なかなか動いていただけません。
現場の市町村や、海岸に土地を持っている林野庁や国交省にしても同じです。
その最大の原因は、法令によって震災ガレキは産業廃棄物とされており、
木質のものは焼却処分しないといけないと定められているからとのことでした。(宮脇)」
政界、官界は、前例がないことを理由に動きません。
目先の利益を考えると、輸送費、焼却費が見込める産業廃棄物処理が
お金、利権になるということです。
for  the  next  7 Generations
物事を決めるときは、七世代先の子孫のことを考えて決める。
ネイティブアメリカン指導者の格言です。
宮脇先生の提唱する 潜在自然植生植樹は、「何千年先のいのちの森」を見据えた構想です。
数年先の利益ではなく、何千年単位のネイティブタイムで、物事を判断すること。
それが、「本来の持続可能」ということだとおもいます。
地球は現生人類だけのものではありません。
僕たちは、未来のこどもたちから一時的にこの地球を借りているにすぎません。
借りたものは、綺麗なまま返すのが当たり前。
数百年後のわたしたちの子孫は、こう考えるかもしれません。
「21世紀の日本人が、ぼくたちに遺したものは
膨大な経済的負債、取り返せない放射能による自然破壊、、、負の遺産ばかりだった。
でも、この、この森の防波堤だけは、津波からいのちを守り続け、生命循環、いのちの環となってくれた。」と。

 

歴史的な森の植樹に参加ができ、記録撮影ができたことに感謝します。
ただ、官界の見解は、あくまで「実験林」なんです、、、、。
「わしら、正式には認めてないけんね、でもやってみたら」、ということらしいです。
それでも、やるよね、宮脇先生は。これを既成事実にしちゃう。
どんどん、森の堤防を繋げちゃう。
もう、これは、日本のあちこちで起きている、既得権益と未来との衝突です。
森の堤防構想、引き続き、このHPでお伝えしていきます。

 

 

            日置道隆和尚           細川護煕元首相

 

岩沼市緑の防波堤 「千年希望の丘」5月26日 ついに植樹開始!!
以前から宮脇先生と植樹活動を続けておられる輪王寺日置道隆和尚が、
「いのちを守る森の防潮堤推進東北協議会会長」となり、
「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」の理事長となった細川護煕元首相や、
井口岩沼市長らがタッグを組み、実現にこぎ着けた。
というか、とにかく既成事実をつくり、スタートさせたという印象はあります。
英断だとおもいます。
僕が3月15日(2012年)に宮脇先生と研究所で会っている最中に、電話があり、
「今日、細川護煕元首相の仲立ちで、野田総理との直談判が決まった」と話されていました。
そこから、急展開で今回の植樹が決まっていったと思われます。
相変わらず、物凄い行動力である。けっして、あきらめない。
東日本大震災の津波により面積の半分が浸水した宮城県岩沼市。
実験場所は海岸から約1.5キロの仙台空港脇の市立公園。
流木や津波で堆積した土コンクリート片などの震災がれき(約4000立方メートル分)を使い、
2000平方メートルの土地に高さ4メートルの丘をつくりました。
1000人以上の人々が植樹に参加し、土地本来の樹木の苗木6000本が植えられた。

 

まず、黙祷。
「瓦礫」ではない。
被災者の方々にとっては、思い出の品です。
それを鎮守の森の礎とし、鎮魂の丘をつくるのです。

 

汚染物質を取り除いた瓦礫(今回は流木)で山をつくる

 

土と混ぜ合わせ丘をつくる

 

宮脇先生が選んだタブノキ、スダジイ、アカガシなどの潜在自然植生の苗たち

 

樹たちを混植させ自然な競争力をもたせる宮脇方式、混ぜる、混ぜる、混ぜる。

 

まじぇる、まじぇる、まじぇる、、、、という呪文 w

 

数年の除草作業を経て、森が森を自ら育て、数千年長持ちする天然の強固な防波堤になるのだ

☆いのちを守る森の防潮堤推進東北協議会お問合せ

〒981-0931
宮城県仙台市青葉区北山1丁目14−1 金剛寶山 輪王寺内
いのちを守る森の防潮堤推進東北協議会 事務局

TEL: 022-234-5327
Mail: morinobouchoutei@gmail.com
     rinnoji_jimusho@yahoo.co.jp

  詳しくは、上記にお問い合わせください。今回の「千年希望の丘」の窓口です。

 

「鎮守の森 復興プロジェクト」photo report

6月24日、宮城県山元町「八重垣神社・復興プロジェクト」
宮脇先生の植樹祭に参加してきました。
早朝、宮脇先生が宿泊されている仙台のホテルで合流。
僕が現在製作中のスライドショーを見ていただく。
生態学センター新川さん、林さんとともにレンタカーで現地へ。
車中から、仙台市内の街路樹に、自然植生の樹木をみつけると、
ひとつひとつ、名前をあげ、
「ああ、これはアラカシです。知らないで植えてるでしょうけど。」
なんて、旧友に会ったように、とってもうれしそうな宮脇先生。
植樹地に着くまで、車の後部座席で
宮脇先生と一時間ほど話しました。

 

VIN
「せんせい、「いのちの未来」に書いてあったように、
植物は生産者、菌類は還元者、人間は消費者。
生態系のなかでは、「寄生種」でしかない人類が、
その寄生している生態系を破壊する、
そんな動物は他にはいないですよね、
心理学者の岸田秀さんは、「本能が壊れた種」と呼んでいますが。」
宮脇
「人類が、直立歩行をし出して、両手が使えるようになり、
大脳皮質が異常に発達した。
生態系のなかで共生できているうちは良かったんだけど、
生態系を壊してでも便利快適をもとめるようになった。
あるいは、原子力のように、
今までの生態系にないものまでに手を出すようになった。
それでも、人間という生き物は一度知った蜜の味を
手放すことが絶対にできないんです。
どんなに、原子力が危険だと分かっていても、
自動車事故死で何万人も死んでも車を手放さないように、
残念ですが原子力だって手放さないでしょう。
破壊された自然は、自ら、揺り戻しを行う。
人類は自滅して、次の種にバトンタッチされていく。
地球の何万年と続く生命時計のなかでは、
人類の生など、一瞬です。」
VIN
「次の種って、、、人類はもう、駄目スか?」

 

宮脇先生は、もう、「ヒトの時間」ではなく、
「植物の時間」に生きているのかもしれない。
それも、個としての「樹としての生」を越え、
「何千年も生きる森」の視座から人類を眺める、
というような、、、宮脇先生の遠い目、である。

 

宮脇
「国際植樹シンポジウムで、米国のエルジン・ボックス教授が、
冒頭でいきなりこんなことを言ったんです。
『今更、木を植えても手遅れです。
私が提言したように50年前から木を植えていたら、
まだ、間に合ったかもしれない。』
VIN
「えーっ、世界で一番樹を植えた宮脇先生の前で、手遅れって!」(笑)
宮脇
「うん、あれは、あれで、なかなか、いい掴みだった。(爆笑)
最期は、これからでも樹を植えなくちゃね、っていうとこに
落ち着いたんだけど。
でも、悲観論者の彼はもう手遅れだって言うんだ。」

 

終末論者が出てくるほど、破壊された地球環境。
宮脇先生だって、のーてんきな楽観論者では、もちろんない。
むしろ、深く絶望し、それを乗り越えて行動している気がします。

 

If  the end of the world comes tomorrow , I will plant a tree.

 

 

植物の心に深くダイヴしたら、
僕たち人類はどのように写るだろうか。

 

「実は、7月に、陛下にお会いすることになりました。
宮脇の緑の堤防構想、それを直に聞きたいと、
陛下が直々に話され宮内庁からの要請があったそうです。
いま、そのとき、お話する内容をまとめています。」
宮脇先生はそう言うと、おおきな黒い鞄からファイルを取り出した。
プリント出力した原稿には、
赤いボールペンで書きこまれた手書きの修正文字がぎっしり、
それを、さらに車中でどんどん校正していきます。
どこでも、片時も休まない。
僕も読ませていただきました。
ピンチをチャンスに、「森の堤防植樹を国民運動にしていきたい」という熱い提言である。
植樹というものは、
植える土地の確保、宮脇方式の理解者の賛同、資金、マンパワーなどなど、
現実的、政治的な力学をも味方にしないと実現しない。
宮脇先生は、いつも主催者、資金提供者への心配りを忘れない。
植物と話せる詩人の魂と、
濁流を渡り切るリアリストの行動力が必要なのだ。
天皇家と稲や麻などの植物とは、
ほんとうはとても深い関係にある。
本来、必然性のある話なのだ。
このニュースをきっかけに、官僚、政治家が
少しでも動いてくれればいいんだけど。
孤高の生態学者と陛下。
僕は、南方熊楠を想った、、、。

 

移動中の車内でも休まない宮脇先生の図

 

八重垣神社は、海岸から600メートル。
ここに高さ5メートルの津波。
神社社殿、コンクリート製の鳥居、すべて跡形もありません。
わずかに、大きな松だけが数本残っている。
土地本来の植生ではない松では、
神社を津波から守ることができなかったのです。
海岸沿いにたくさんの松林が立ち枯れしているのとは対照的に、
いくつかの広葉樹はたくましく根を張っています。
広葉樹の根は、深根性、直根性、
深くまっすぐ大地に伸び、根を広げ、災害に耐えるのです。
人間がつくったものは、すべて壊れました。
コンクリートの防波堤も、頑強な建築物も。
広葉樹の森だけが、津波を減殺し、引き潮から、いのちを守る。
この風景が、宮脇理論を実証しています。

 

倒壊した松の防風林
 土地本来の広葉樹は、根が真っ直ぐ深く地中に延び、逞しく生き残っている。宮脇理論が実証された。

 

 

津波前の八重垣神社
すべて流された境内 上の写真と同アングル

 

わたしたちの先人たち、ネイティブジャパニーズは、
災害後の荒野を心に刻み、自然から謙虚に学んだはずだ。
広葉樹を決して切らず、敬い、森とともに集落を育てた。
Naturalism(ナチュラリズム自然信仰)では、
大きな樹、そのものが聖なる存在です。
先人たちは、樹と学び、樹と祈り、樹と生きた。
全国に今なおたくさんの、ご神木があります。
やがて、その巨樹の横に神社仏閣がつくられていく。
こうして、世界でも稀な事例として、
何千年前の自然植生が、そのまま、「鎮守の森」として残されたのです。
津波で被害を受けた鎮守の森を復興するプロジェクト、
その第一弾が、この八重垣神社なのです。
参加者は、県外からのボランティアや地元の人々、
仮設住宅に住む方々など約500人。
いつものことだが、みんな、にこにこしています。
前回の岩沼市の植樹同様、ここには「ほんとうの復興」の手触りがあります。
タブノキやシラカシなど21種類の苗木3300本を、
神社社殿を囲むように植えていきます。
植樹の始まる前に、宮脇先生自らカンタンにやり方を伝えます。
話芸に磨きがかかってきて、笑いのツボを完全に押さえてきてるなぁ。
何度も会場は爆笑。
木も、笑いながら植えられた方がいいしね~。
歌手のしらいみちよさんが、鎮魂のこころをこめ「浜辺のうた」の歌う。
「被災地で、海のうたはどうかと考えました。
そんなわたしに、被災地の皆さんはこう言ってくださいました。
”わたしたちは海とともにずっと生きてきた。
海は、わたしたちにたくさんの恵みをくれた。
海そのものは、なにも悪くないんだよ”」
あした はまべを さまよえば
むかしのことぞ しのばるる
かぜのおとよ
くものさまよ
うつくしいうたごえが
荒れた大地にひびいていく。
これから、
植えられようとする苗たちが
その歌を、聴いていた。
うたうことも、木をうえることも、ここでは、また、祈りなのだ。

 

☆ にこにこ ☆

 

わたしたちは、寄生種なんです。寄生している環境を、汚す、破壊する動物は人間しかいない。
植物に寄生する生命は、人間だけじゃない。
もっと、謙虚に、慎ましく、自然から学ぶ。
人間だけが快適な文明から、すべての生物が幸せな文明へ。
自滅する前に、文明をシフトさせる最期のチャンス。
木を植えることができるのは、人間しかいない。  (vin)

 

問い合わせ   主催 日本文化興隆財団 03−5575−1145

本植樹は、日本財団が東日本大震災に係る復興支援策として取り組む
「鎮守の森復活プロジェクト」の第一弾。
今後3年で岩手・宮城・福島3県の計30神社で植樹を実施し、
境内の「鎮守の森」を再生する計画で、国際生態学センター長の宮脇昭氏が指導にあたります。
住民が集う神社の森を復活させ、地域の結束を高めることを目的としています。
 植樹地の背後には、瓦礫の山が相変わらず、放置されている

 

「植えられる木は命懸けです、植える方も命懸けで植えていただきたい。」

 

 

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Way(1)宮脇昭  への1件のコメント

  1. COACH japan より:

    Every word in this piece of work is very clear and your passion for this topic shines. Please continue your work in this area and I hope to see more from you in the future. [url=http://www.newcoachbags2013.com/]COACH japan[/url] COACH japan

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