経産省が原子力グループを新設――「原発マネー」人脈で構成

経済産業省の資源エネルギー庁が新設した諮問機関「原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループ」が七月一七日、グループ初となる会合を開いた。委員のうち三人が「原発マネー」に染まっていることが明らかになっている。

 一人は東京大学大学院の関村直人教授で、原発メーカーの三菱重工業や日本核燃料開発株式会社などから、判明しているだけでも二九四万円を受領。関村教授は「3・11」直後からNHKの解説者として、「水素爆発はあり得ない」等根拠のない楽観論を振り撒き、実際に爆発が起きると「爆破弁という減圧装置の作動だ」といった、事実無根の発言をしていた。

 また東京工業大学の尾本彰特任教授は、東京電力の原子力技術部長出身。二〇一〇年一月に原子力委員会の委員に就任する前の〇九年一一月から一二年三月まで、東電顧問として顧問料を受け取っていた。このため今年三月には、同委員の退任に追い込まれている。

 東海村の旧動燃の元技術者で、大阪大学大学院の山口彰教授も、三菱重工の関連企業・ニュークリア・デベロップメント(株)から三三八五万円を「受託研究」の名目で受け取っていた。さらに山口教授は昨年二月に内閣府原子力委員会の「原子力政策大綱」を決める二三人の委員の一人として選出された際、別の委員である東京大学大学院の田中知教授ら他の委員二人と共に原発関連の企業・団体から計一八三九万円の寄付を受けていたとして、問題になった。

 なお田中教授は、同「ワーキンググループ」を統括する同庁総合資源エネルギー調査会の諮問機関・原子力小委員会の現委員長だ。

 同「ワーキンググループ」の設置趣旨自体、「『安全神話』と決別し」、「事業者が……(原発の)安全性の向上を目指していく」とあるが、こうした学者たちこそ「安全神話」を支えてきた人々だ。

 同庁電力・ガス事業部原子力政策課の担当者は、「寄付金の授受は問題でなく、委員の発言内容で判断されるべき」と述べ、「原子力ムラの復活ではないか」との本誌の指摘には「この『ワーキンググループ』は規制が目的ではなく、業界も含めて安全性を論議している場で、そうした批判は当たらない」と、どこ吹く風だった。

(成澤宗男・編集部、8月2日号)

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