露店届け出義務なし 府内9市町・指導不十分恐れ
福知山市の露店爆発事故で主催者が露店の出店状況を把握していなかった問題で、京都府内の15市町・消防組合のうち同市を含む9市町が、大規模イベント時、露天商に届け出を義務付けていないことが23日分かった。このため、会場で火気を使う店舗に対する防火指導が不十分だった恐れがある。露店には消火器設置の義務もなく、爆発事故に遭った人たちからは規制の不備を指摘する声が上がる。
各市町や消防組合が定める火災予防条例で、京都市と精華町、京都中部広域、宮津与謝、乙訓、相楽中部の4消防組合は、消火活動に支障を及ぼす恐れがある場合、露天商代表者などに配置図や店舗数などの提出を義務化。現場指導などに活用している。
しかし、残る9市町では露店は対象外で、福知山市は事故当日の15日に出店した店舗に防火指導を行わなかった。舞鶴市も7月末の花火大会では露店の火気管理について把握していなかった。宇治市や八幡市は主要イベントで任意提出を求めている、という。
火災予防条例は総務省消防庁が参考例を全国の消防に示し、事故の教訓などを踏まえて改定する。現行の参考例では露天商に届け出義務はなく、府内の6市町・組合は、大規模な祭りがあるなど地域事情から独自に規定を追加していた。
また消防法は不特定多数の人が出入りする建物に消火器常備を求めているが、屋外イベントでは火気を使う店舗があっても、設置義務はない。消防庁は19日、全国の消防に、露天商へ消火器設置の指導を求め、予防課は「爆発事故の原因を精査し、必要なら法令改正を検討する」という。
露店爆発事故に居合わせた人からは改善を求める声が出る。6歳の長男がけがをした福知山市内の女性(29)は「行政がしっかり管理していると思っていた」と語り、同市の飲食店経営の男性(40)は「事故で店舗に消火器がなかったことに驚いた」と不満げに語った。
【 2013年08月23日 23時33分 】