債券は下落、円安・株高で売り優勢-5年債利回り3週間ぶり高水準
8月23日(ブルームバーグ):債券相場は下落。外国為替市場での円安進行を受けて、国内株価が大幅反発したことを背景に、売りが優勢となった。新発5年債利回りは0.3%台に乗せ、3週間ぶりの高水準を付けた。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「相場が株高・円安に素直に反応し始めた。これまで米長期金利の上昇を無視して買われていたので、為替が円安に振れてくると、さすがに米国金利に連動せざるを得なくなる。日本銀行の国債買い入れオペで5-10年ゾーンが減額されたことも不安材料ではないか」と述べた。
東京先物市場では、中心限月の9月物が前日比3銭安の143円90銭で始まった。その後は、国内株価が上げ幅を拡大したのに伴い、売りが膨らみ、一時36銭安の143円57銭と5日以来の安値を付けた。終値は22銭安の143円71銭だった。
三井住友アセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジストは、相場の動きについて、「きょうは株価が反発したので、債券は少し下げた。ただ高値圏でのもみ合いの範囲内とみている」と言う。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の329回債利回りは前日比横ばいの0.75%で始まった。その後は、水準を徐々に切り上げ、一時2bp高い0.77%まで上昇した。午後3時過ぎは0.765%で推移している。新発5年物113回債利回りは0.305%と2日以来の高水準に上昇した。
来週27日に20年債入札を控えて、超長期債も軟調。新発20年物145回債も1.705%まで上昇し、前日に引き続き8日以来の高水準を更新した。新発30年物39回債利回りは1bp高い1.815%で推移している。
JPモルガン証券の山下悠也債券ストラテジストは、来週の20年債入札について、「利回り1.7%では水準面で悪くないが、最近の金利上昇で米国債にも妙味。生命保険会社の積極的な買いニーズは見込めないのではないか」と話していた。
日銀がこの日、3本立てで実施した総額1兆円の長期国債買い入れオペでは、残存期間「5年超10年以下」の応札倍率が上昇し、国債市場で同ゾーンの売り圧力が強まっていることが示された。一方、「3年超5年以下」と「1年超3年以下」は低下した。
国内株式市場でTOPIX は大幅反発し、前日比22.07ポイント高の1141.63で取引を終えた。一方、為替市場でドル・円相場は一時1ドル=99円14銭と、今月5日以来の円安・ドル高水準を付けた。
22日の米国債市場で10年国債利回り は前日比1bp低下の2.88%程度。一方、米国株相場は上昇し、ダウ工業株30種平均が7営業日ぶりに反発した。
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更新日時: 2013/08/23 15:21 JST