京都・福知山の花火大会屋台爆発:店主、病院で聴取へ 入院患者4割子供
毎日新聞 2013年08月22日 大阪朝刊
京都府福知山市の花火大会会場で15日夜に起きた爆発事故で、京都府警が、ガソリンの携行缶を開栓し出火元となった屋台の男性店主(38)=大阪市生野区=について、業務上過失致死傷容疑で、入院先での聴取に踏み切る方針を固めたことが21日、府警への取材で分かった。また、事故の入院患者は同日現在、3〜85歳の男女28人で、約4割の11人が3〜14歳の子供と、府警の調べで判明した。【堀智行、村田拓也】
店主は全治3〜6カ月のやけどを負っているが、死傷者60人を出した事故の重大性を踏まえ、府警は症状を見極めながら早期の聴取が必要と判断した。捜査関係者によると、現場から見つかった携行缶は空気調整弁のネジが締まっていた。府警は店主が携行缶を開栓する際、内圧を下げる操作を怠った疑いがあるとみており、携行缶の取り扱いが聴取の焦点となる。
府警によると、店主は妻とアルバイト女性の3人で火元のベビーカステラ屋など隣接する三つの屋台を出店。爆発で全身に約30%のやけどを負った。聴取が可能になるには少なくとも1週間はかかるとみられる。
府警は店主から、観客席に携行缶を放置した経緯や缶内に残っていたガソリンの量などを聞き取った上で実証実験を実施し、異常な噴出と爆発のメカニズム解明を進める。
◇ガソリン噴出「10〜30秒も」
また男性店主が携行缶からガソリンを噴出させた状況を、京都市伏見区の女性(34)が取材に対し、新たに証言した。当日午後2時ごろ、11段ある観客席の下から9段目に場所を取った。約2〜3メートル先の4段目に発電機と携行缶が並べてあった。
午後7時半前、店主が屋台から観客をかき分けるように携行缶に近づいた。発電機のふたを開け、携行缶のふたを開けるとガソリンが発電機側に高さ約1メートルほど噴き上げた。店主はあわてて素手で携行缶の口を押さえて左手で缶を抱え、体の向きを変えて階段を下り始めた。この間も噴出は止まらず、ガソリンは扇状に振りまかれたという。間もなく爆発音とともに屋台の方から火が向かってきた。この間「10〜30秒くらいだった」という。【花澤茂人、村田拓也】