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( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
1 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 00:51:27.97 ID:Hz2ycwbY0
プロローグから第1話の投下です


2 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 00:53:26.29 ID:Hz2ycwbY0

男は渇いていた。

失敗のない人生の中で。

男は戦っていた。

退屈と言う名の敵と。

男は迷っていた。

先の見える直線のレールの上で。

男は探していた。

先が見えない、わからない道を。

男は求めていた。

自分を潤すモノの存在を。

男は嫉妬していた。

自分にない物を持った、人間達を。

男は憎んでいた。

自分以外の、全てを。


3 :VIPがお送りします [] :2008/09/27(土) 00:55:15.62 ID:CmQ/xZmv0
南条君支援


4 :VIPがお送りします [] :2008/09/27(土) 00:56:43.75 ID:Pbs+7STM0
ぺるぺるぺーーーー


5 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 00:57:50.22 ID:Hz2ycwbY0

( ・∀・)「…退屈だ…」

ぽつりと、男が呟いた。

('、`*川「? どうされました?」

男の少し後ろを歩いていた女が、疑問を投げかける。

( ・∀・)「いいや、ただの独り言だ」

振り返らずに、背で答える。
女はさほど気にした様子もなく、男から視線を外した。

女の視界に映るのは、薄暗い灯りの列。
薄く濡れた岩肌に、いくつもの頼りない電灯がぶら下がっていた。
狭い通路。いや、通路とも呼べないような、鉄の板を置いただけの即席の足場。
鉄の板は何枚も並び、闇の中へと続いていった。

ここは、洞窟。

終わりの見えない暗黒の世界を、高く響く足音だけをBGMに進んでいた。

退屈と戦う男はそれに抗う為に、つい先日のことを思い出すことにした。


6 :VIPがお送りします [] :2008/09/27(土) 00:58:04.66 ID:jFTURTb90
ペルソナ様遊びするのか?


7 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:01:04.90 ID:Hz2ycwbY0

( ・∀・)「……謎の遺跡?」

いつもなら聞き流す秘書の報告の中に、奇妙な単語が混じっていた。
思わず聞き返した私が珍しかったのか、秘書は口を半開きにして私を見ていた。

( ・∀・)「…続けたまえ」

呆けていたのか、慌てて報告書に目を戻すと、少し焦ったようにまた読み上げ始めた。

('、`*川「鳴留羅山(なるらさん)のトンネル計画の為の地質調査の際に、山の地下に空洞があることが、
     調査の結果判明致しました。そのまま調査を進めたところ、洞窟を発見。
     その最深部にて、遺跡のようなものが在ったとのことです」
     
交通の利便性向上の為のトンネル工事。私にとっては別にどうでもいいことだ。
調査が終われば、後はサインをするだけ。
その後、山に穴が開いてこの件は終了するはずだった。
しかしそこに、謎の遺跡が在ったという。

昔の私ならば、学者やらその筋の関係者を派遣して、後は任せていたに違いない。
しかし、退屈を紛らわせてくれそうな思わぬ伏兵に、興味が沸いた。

……物事に興味が沸くことすら、とても久しい気がした。


8 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:05:08.80 ID:Hz2ycwbY0

('、`*川「…社長、いかが致しましょう?」

( ・∀・)「む…そうだね」

数瞬と思っていたが、どうやら数十秒は沈黙していたらしい。
こんな気持ちは長い間忘れていた。
この遺跡発見は、私にとって上等な退屈凌ぎになる気がした。

( ・∀・)「遺跡の調査団を結成したまえ 迅速にだ。
      結成でき次第、私も同伴する 以上だ」
      
('、`*川「社長も…ですか?」

( ・∀・)「ああ、私もだ 後、ハイキングブーツは要らない」

('、`*川「ハイキ…で、では、すぐに取り掛からせます」

私の珍しいジョークの不意打ちに一瞬動揺を見せたが、秘書はすぐに踵を返し、社長室を後にした。

両肘を立て、眼前で手を交差させる。そして一つ、深呼吸。
少し目を落とすと、机の隅に置かれた自分の名刺が目に入る。

株式会社VIP 会長兼取締役社長・モララー


9 :VIPがお送りします [] :2008/09/27(土) 01:06:54.15 ID:tvzSY54O0
多分関係ないだろうけど山の名前にときめいてしまった
支援


10 :VIPがお送りします [] :2008/09/27(土) 01:08:22.94 ID:CmQ/xZmv0
だめだ、限界だ…
保守とまとめは頼んだ

ムド!


11 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:08:45.33 ID:Hz2ycwbY0

VIPはこの字都(アザト)市を中心とし、全国に数百もの子会社をもつ大会社だ。
私は37にして、その会社の頂点にいる。
父が死んだだけの話だが、とても親の七光りでこの地位はあり得ない話だろう。
だがしかし、私が手掛けた大規模なプロジェクトは全て成功した。
他のメディアに手を伸ばせば、それもあっさりとうまくいく。

1を10どころか100以上にしてきたのだ。
父には悪いが、この地位に就任してからというもの、会社はさらに大きく発展した。
一応具体案は考えてはいるが、海外進出もどうせうまくいくのだろう。
それに興味はまったくない。

そんな私が興味をもった、今回の遺跡の件。

なぜこれ程までに心を奪われているのか、わからない。
学生時代、部活や同好会といったいわゆる趣味に夢中になっていた同級生達の姿を思い出す。
今なら、彼等の気持ちが理解できる気がする。

なるほど、こんな気持ちを毎日感じることができるのなら、なんと充実した人生だろうか。

恐らくは、同伴する一日でそれは終わってしまうのだろう。

( ・∀・)「革靴じゃ…歩きづらいだろうな…」

だが私は、高揚感を抑えることはできなかった。


12 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:12:47.20 ID:Hz2ycwbY0

様々な専門家で構成された調査団と、現場の工事関係者。
そしてモララーと秘書を含めた十余名は、やがて洞窟の最深部に辿り着いた。

( ・∀・)「おお……」

思わず感嘆の声を上げたモララーの表情は、
例えるならおもちゃをプレゼントされた幼い子供のように、純粋な喜び、興味に満ち溢れていた。

最深部──。

狭かった通路を抜けた先は、この場所が地下だということを忘れさせるほどの、巨大な空洞。
その先には祭壇のような物があり、闇と相まって押し潰す様な威圧感を放っていた。
モララーは誰よりも早く祭壇へと歩み寄った。

('、`*川「社長!お気をつけて!」

慌てた秘書が声を荒げる。すかさず専門家の一人が大きな声は出すなと注意した。
注意されつつも、視線はモララーから放れることはなかった。
モララーは会社そのものなのだ。彼に万が一のことがあれば、それは会社の消滅を意味する。
そしてそれは、秘書自身の破滅でもある。

そんな秘書の人生最大の危機など露知らず、モララーは祭壇の前についた。
事前に何があっても手を付けるなと釘を刺しておいたお陰か……

その祭壇の上には、一つの箱が置かれてあった。


13 :VIPがお送りします [sage] :2008/09/27(土) 01:15:56.88 ID:7lSKWoYeO
字都=アザトースか


14 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:16:26.77 ID:Hz2ycwbY0

その箱は、金属らしき物でできていた。
大きさは15センチ程。正方形ではなく、不均整な形をしている。
何か装飾が施されているようだったが、暗くてそれは確認できない。

モララーは好奇心を抑えきれず、それを手に取った。

( ・∀・)「これは…素晴らしい…」

恍惚の表情を浮かべ、思わず呟く。
手でくるくると回しながら形状を確かめていた。

( ・∀・)「何か装飾は施されているようだが…よく見えないな…よし」

灯りの近くで見ようと、振り向く。
存在すら忘れていた、調査団の面々が視界に入った。

( ・∀・)「ん…?」

そこで違和感に気付く。
モララーは一時箱のことすら忘れ、彼らを凝視した。

動かない。

不意に思い出される、父の死の瞬間。
まるで死人の様に、立ったまま、時間が止まった様に、動かない。

(;・∀・)「なんだ…?」


15 :VIPがお送りします [] :2008/09/27(土) 01:16:33.60 ID:IfohmtxNO
期待age


16 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:20:10.04 ID:Hz2ycwbY0

嫌な汗が、モララーの背中を伝う。

……ン……

感じた。確かに感じる、感触。

…ドクン……

手に伝わる、感触。

脈打つ、無機物なはずの、箱。

(;・∀・)「なっ…」

モララーは驚いて箱を投げ捨てたつもりだった。
頭にはその光景が浮かんでいたのだ。
だが実際には、しっかりと両手で箱を握っていた。

いや、『握らされていた』

そしてそれは、確かに──

……ドクン……ドクン……

脈打っていた。


17 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:23:17.40 ID:Hz2ycwbY0

( ・∀・)「……」

明らかな、異常。
常人ならばその場から逃げだしたくなるような、恐怖。
しかしモララーは、とり憑かれたかのように箱をじっと見つめていた。

それをさせたのは、限りなく純粋な、興味。

( ・∀・)「お前は…」

『箱』に問いかける。

( ・∀・)「お前は…ダレだ…?」

『箱』の鼓動を感じながら、言った。

やがて鼓動は大きく波打つようになり、見た目にもわかるほどに、動いていた。

訂正する。その『箱』は、『生きて』いた。

『……か…?』

モララーの耳に、遠い、遠い声が聞こえた。
その声は次第に歩み寄る。それは這い寄る。蠢く闇のように。

やがてそれは耳へと、いや、頭の中へ直接、届いた。


18 : ◆iAiA/QCRIM [] :2008/09/27(土) 01:24:40.16 ID:Hz2ycwbY0







                 『退屈か?』
             
             
             
             
             
             
        ( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
        
        
        
               第1話「ペルソナ様」
             
             
             
             
             
             
             



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