新宿区の現場マンション前には花束が置かれていた

　マンション下の路上にあおむけに倒れた藤圭子さんの姿が発見されたのは午前７時前。通行人の通報で救急隊が駆けつけたとき、後頭部が割れ意識はなかったが、心臓はかすかに動いていた。それも数分後には停止。他に目立った外傷はなく、顔はきれいなままだった。

　近くに片足だけのスリッパが落ちていたことをヒントに、新宿署員は隣のビルから双眼鏡でスリッパを捜索。すると頭上のマンションの１３階のベランダの手すり外側に同じ物を確認した。午前１０時ごろ、その部屋で寝ていた３０代後半の知人男性に事実を告げた。

　遺体の身元確認は前夫の宇多田照實氏が行い、警察としては娘のヒカルには連絡しなかったという。新宿署に詰め掛けた報道陣の関心は年齢の離れた同棲相手の男性の素性と、自殺の理由に集まった。

　男性は実況見分に立ち会った後、同署で夕方まで聴取に応じた。「６年ぐらい前から一緒に住んでいた」と話している。２人の関係性は「（藤さんが）居候」と副署長。約７０平方メートルの２ＬＤＫの室内で、２人は別々の部屋で寝ていたという。

　遺書らしきものは見つかっていないが、警察が早々に自殺と断定したのは「状況から見て矛盾がないから」。男性は「トラブルは抱えてなかった。自殺に思い当たる節がない」と話したという。

　室内には、藤さんのカバンがあったほか、ベランダに面したリビングには「水の入ったペットボトルが大量にあった」（副署長）という。藤さんの遺体は、娘のヒカルが引き取るのが自然だが、同副署長は「しかるべき人が受け取る。調整中」としている。