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東北・北上山地が候補=次世代加速器で物理学者ら―巨額建設費、文科省が判断へ

時事通信 8月23日(金)9時48分配信

 宇宙誕生の謎解明を目指す次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、物理学者らでつくる立地評価会議は23日、国内の建設候補地として岩手・宮城両県の北上山地が最適と発表した。福岡・佐賀両県の脊振山地も候補地として検討したが、予定地にダム湖があることなどから北上山地を選定した。
 評価会議は、北上山地の中心的な研究施設の場所について、仙台と東京から交通の便が良い東北新幹線沿線を推奨した。共同議長を務める山本均東北大教授は記者会見で、「今後は北上山地について現地設計が始まる。協力と支援をお願いしたい」と述べた。
 脊振山地はトンネルのルートがダム湖の下を通り、建設の許認可を得るのが困難な上、認可が得られても止水工事のため大きなコスト増が見込まれる。一方、北上山地は山腹と本体を結ぶトンネルが短く済み、総合的な比較評価点は63点と、脊振山地の37点を大きく上回った。
 ILCは地下約100メートルに長さ30キロ超の直線トンネルを掘り、電子と陽電子を加速して衝突させ、発生した素粒子を測定する。現在の計画では建設費だけで8300億円、土地買収費や測定器製造費、人件費を含めると総額1兆270億円と試算される。
 欧米は資金難で日本に建設を期待しており、日本に建設する場合は少なくとも半額負担が必要。文部科学省が予算計上の可否を判断するが、同省が意見を求めた日本学術会議の検討委員会は「時期尚早」との見解をまとめており、9月末にも回答する。 
 巨額の予算が他の学術分野に悪影響を及ぼすほか、日本が8割以上の経費負担を求められる恐れがあり、加速器建設に必要な約1000人の研究者・技術者を確保するめども立っていないことが理由。検討委は国が関与して国際予備交渉を行い、2〜3年かけて決着することを提言している。

最終更新:8月23日(金)12時43分

時事通信

 
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