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花巻東、熱闘に幕 全国高校野球



 【大阪支社】第95回全国高校野球選手権大会第13日は21日、兵庫県西宮市の甲子園球場で準決勝2試合を行い、県勢初の決勝進出を目指した花巻東は0−2で延岡学園(宮崎)に敗れた。2009年にエース菊池雄星(西武)を擁した同校が打ち立てた夏4強の県勢最高成績を超えることはかなわなかった。

 先発7人が左打者の花巻東は、相手主戦左腕のスローカーブ、本塁をかすめて外角いっぱいに刺さる直球などに苦しみ散発3安打、9三振。一度も三塁を踏めなかった。五回は6番山下駿人(3年)が中前打でこの試合初めて先頭出塁。犠打失策を絡めて無死一、二塁と好機をつくったがあと一打が出なかった。

 先制機を逃した後の六回、そこまで2安打に抑えていた先発左腕中里優介(3年)が2死二塁からつかまり、長短の連続適時打を浴びて2失点。八回は継投した細川稔樹(2年)が1死三塁で相手スクイズを外し無失点でピンチを切り抜けたが、最後まで打線の援護がなかった。

 中里力投「悔いなし」

 甲高い金属音に歓声と悲鳴が交錯した。鋭い打球が左中間を切り裂く。白球が転々とする中、二塁走者がホームへ。花巻東にとって重い2点目が相手ボードに刻まれた。

 先発の中里優介(3年)が六回につかまった。1点を先制され、なお2死二塁。「ここを乗り切れば、まだいける」と投じた外角スライダーを左中間に運ばれた。

 六回までわずか2安打の花巻東打線。相手左腕を攻略できずにいただけに、捕手の山下駿人(3年)は「あの2点目が痛かった」とうつむいた。

 六回こそ甘く入った球を痛打されたが、中里の投球は見事だった。140キロ前後の速球とスライダー、チェンジアップを低めに集めて凡打の山を築いた。七回までの内野ゴロは11個。七回を5安打に抑える「今までで1番のでき」(山下)という力投だった。

 驚くのは甲子園に来て自己最速の143キロをマークしたことだ。この日も142キロを記録。県大会で130キロ台後半だった速球は日ごとに勢いを増した。「甲子園に来て一試合一試合成長できた。最大限の投球ができたので悔いはない」と左腕の顔は晴れやかだった。

 甲子園で成長したのは中里だけではない。スター選手不在と言われながら、菊池雄星(西武)の世代に並ぶ夏4強まで上り詰めたのは、3人の左腕の力があってこそだ。

 中里、河野幹(3年)、細川稔樹(2年)の3投手が相手打線に応じて先発を担い継投する。「マウンドに上がった人がエース」と河野が言えば、中里は「一人がだめでも誰かが抑える。(3人で)スター選手分の力になった」と胸を張った。快進撃を支えた3人の左腕が、まぎれもなくエースだった。

(宮川)

【写真=スター不在も、全員野球でベスト4まで勝ち上がってきた花巻東の選手たち。準決勝で延岡学園に惜しくも敗れた=21日、兵庫県西宮市・甲子園球場】

【写真堰♂чェ学園打線を7回まで5安打2失点に抑えた花巻東の中里】

◇第13日・準決勝(8月21日)の試合 

【甲子園球場】
1 2 3 4 5 6 7 8 9
花巻東 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
延岡学園 0 0 0 0 0 2 0 0 x 2

(2013.8.22)

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