予想される壮大なバラマキ
この附則第18条第1項と第2項を根拠として、壮大なバラマキが消費税増税対策として行われるだろうが、あくまで法律上の問題はない。おそらく官僚は法律で決まっていることだから、堂々と族議員向けのバラマキを行うだろう。実際、消費税増税後には、大型補正という話も出ている。
それでは、財政再建にならないという意見もでるだろうが、そもそも消費税増税法の正式名称は、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」となっており、財政再建が目的ではない。
財務省が野田政権時代に敷いたホップ、ステップ、ジャンプの増税路線のうち、今回の消費税増税はステップなのだ。2011年9月8日付け本コラム「増税一直線の野田政権に告ぐ 増税に代わる財源を示そう」を見てほしい。「今回の増税では不十分で、さらに消費税増税が必要」、つまりジャンプがあるという人はいかに財務省に洗脳されているかがわかる。
いずれにしても、「消費税増税しても景気は落ち込まない」とか「今回の増税では不十分で、さらに消費税増税が必要」という詭弁は、今回消費税増税を政治的にストップすれば、消え去る。
問われる安倍首相の判断と力量
安倍首相が政治的に増税の是非を決定するためには、党内を説得しなければいけない。自民党内には、税調があり、税制では絶対的な力を持っている。その会長は財務省出身の野田毅氏で消費税増税推進論者だ。彼だけではない。自民党内には、昨年の衆院選や今年の参院選で、大量の族議員が復活している。附則第18条第1項や第2項の「アメ」がぶら下がっているのに、消費税増税を諦めるのは、政治的には族議員はできない相談だ。
しかし、政治家であれば、できないことをやりたくなるものだ。特に、安倍首相としては3年後まで大きな国政選挙はないので、そのパワーを見せつけて、悲願の憲法改正まで持っていくプランがあるだろう。