静大法科大学院、広域連携へ 複数校と協議進める

(2013/8/23 7:33)
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 地方大の法科大学院が厳しい運営状況にあえぐ中、静岡大法科大学院(静岡市駿河区)が、島根大大学院法務研究科(山陰法科大学院、松江市)をはじめ複数の法科大学院との広域連携・連合を目指し、協議を進めていることが22日、分かった。国公立の法科大学院では、香川、愛媛両大が設立当初から連合形式だった例があるが、運営改善を目的に近県以外と連携した場合、全国初のケースとなる。
 静岡大などの関係者によると、広域連携・連合は学生の募集など事務作業の合理化を図る。互いの授業カリキュラムを補完し合うことで講義の質を高めるなどして、司法試験の合格率を向上させるのが狙い。教授・講師の人事交流も視野に入れているという。広域連携・連合が実現した場合、一校が「幹事校」として学生募集を一括して行うことも考えられるという。静岡大は島根大のほかにも複数校との連携を探っているとみられる。
 本年度、学生を募集した法科大学院69校のうち64校で定員割れし、昨年の司法試験合格率も全国平均で25・1%と低迷している。特に司法制度改革に伴って新設された地方の国公立大法科大学院は軒並み厳しく、静岡大の今春の入学者数は定員20人に対して8人、昨年の司法試験合格率は14・9%で38位だった。
 こうした状況から、中教審法科大学院特別委員会は7月、運営難の法科大学院に募集停止や統廃合、改組などの組織見直しを求め、公的支援の在り方についても検討している。

 法科大学院 司法制度改革の一環として2004年度以降、裁判官や検察官、弁護士の法曹を養成する目的で全国の74校が開校した。静岡大法科大学院の設立は05年4月。国は当初、法曹需要の増大を見込んでいたが需要は伸びず、全国の入学者数は今春、ピークだった06年度の半数以下の2698人に低迷。昨年の司法試験合格率も25.1%で、06年(48.3%)より23.2ポイント低かった。特に旧来から実績のある首都圏などに比べて地方は厳しく、文部科学省は実績の悪い法科大学院の補助金削減を決定。山陰法科大学院の場合、本年度から約2500万円が削減され、今年6月には15年度の学生募集停止を発表し、広域連携を模索する方針を打ち出した。

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