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混迷エジプト―革命を葬り去るのか

エジプトは、独裁時代へ逆戻りしているように見える。軍が主導する暫定政権は7月の政変後、全国で抗議を続ける「ムスリム同胞団」への締めつけを強めている。団長らを拘束したうえ[記事全文]

柔道連盟改革―正面から組み合って

相次ぐ不祥事と、問題を放置する自浄能力の欠如――。すったもんだの末に、全日本柔道連盟が出直すことになった。柔道界の外から初めて会長を迎え、ようやく信頼回復のスタート地点[記事全文]

混迷エジプト―革命を葬り去るのか

 エジプトは、独裁時代へ逆戻りしているように見える。

 軍が主導する暫定政権は7月の政変後、全国で抗議を続ける「ムスリム同胞団」への締めつけを強めている。団長らを拘束したうえ、解散命令の検討も始めた。

 憲法改正の論議では、イスラム主義を掲げる政党を排除する方向が強まってきた。事実上の同胞団の非合法化である。

 一方で、暫定政権は、司法とともに旧体制派の復権を進めている。独裁の座を追われ訴追されていたムバラク元大統領は、保釈された。

 そもそも2年前の民衆革命がめざしたものは何だったのか。それは、自らの文化と風土にあったエジプト流の民主主義を国民の手で築くことであろう。

 この国は古代から現代まで、王政、異民族支配、独裁の歴史しか知らなかった。それがいま初めて国民主権の政治をめざす長い模索の過程に入った。

 当然、変革をめぐる急進派と保守派のせめぎ合いはあろう。混乱を避けるために、時には旧体制の手法の踏襲も必要かもしれない。だとしても、忘れてはならない原則があるはずだ。

 人命と人権の尊重。真の国家統合へ向けた対話と和解。それなしには、安定した民主大国への道は遠いことを、暫定政権は自覚する必要がある。同胞団への敵視をやめて、各派と対話を始めなければならない。

 アラブ世界では長年、少数のエリート層が富を独占し、多くの貧困層がイスラム運動に救いを求めてきた。政治からの宗教色の排除は、独裁者が大衆蜂起を封じる方便に使ってきた。

 イラクのフセイン元大統領やシリアのアサド大統領らも、世俗的な統治でナショナリズムをあおるのが常だった。各宗派や民族との公正な対話を封印した禍根の大きさは、独裁が揺らいだ後の内戦が物語る。

 エジプトの暫定政権に対し、米欧は自制を求めているが、逆にサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は巨額の経済支援を申し出た。いまも独裁体制を守る両国はイスラム運動の飛び火を恐れているからだ。

 だが、エジプトの暫定政権が、旧体制への回帰をめざすなら、それは混乱を長引かせる愚行というほかない。前政権の経済失政などからクーデターを黙認した若者らや知識層も、時計の針を戻すことは許すまい。

 イスラム運動を包含しつつ、民主主義を育てたトルコの例もある。暴力も排斥もない、アラブの盟主にふさわしい新生国家づくりを見せてほしい。

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柔道連盟改革―正面から組み合って

 相次ぐ不祥事と、問題を放置する自浄能力の欠如――。すったもんだの末に、全日本柔道連盟が出直すことになった。

 柔道界の外から初めて会長を迎え、ようやく信頼回復のスタート地点についた。

 新会長に就いた宗岡正二・新日鉄住金会長兼最高経営責任者は、東大柔道部に所属した経歴をもつ。就任会見では創始者の嘉納治五郎の名前を挙げ、「教育や礼節の精神といった柔道の原点に戻って、立て直すことが大切」と語った。

 ただ、改革の道のりは厳しいものになるだろう。まずは8月末を期限とした内閣府からの勧告に応えなければならない。

 上村春樹前会長を含めた理事23人が退いて体裁を整えたものの、ガバナンス(組織統治)の確保を柱とする実質的な改革案を急いで示す必要がある。

 不正に受け取り、使っていた助成金6055万円も返還するだけでなく、誰に責任があったかを明らかにするよう求められている。

 宗岡会長は非常勤で指揮を執るため、東大柔道部の後輩にあたる近石康宏・元大阪府警本部長を専務理事に、宇野博昌・全柔連広報委員長を事務局長にそれぞれ据えた。

 そもそも、学閥や選手時代の実績がものをいう閉鎖的な体質が問題の背景にあった。副会長に就いた山下泰裕・東海大副学長との連携も大切になる。

 気になるのは外部からトップを迎えた柔道界内部の反応だ。

 全柔連は執行部と理事会を刷新したが、最高議決機関にあたる評議員会は一連の責任問題をうやむやにしたままだ。複数の評議員が「全員で辞めるべきだ」と提案したが、自ら結論を出せなかった。

 その一方で、理事会の一新を認めて組織改革を託した。不祥事とこれからの改革に対して、当事者としての認識が希薄なように映る。

 自浄能力を発揮できなかった全柔連全体の意識改革こそ、新執行部が時間をかけて取り組むべきテーマだろう。

 もともと、全柔連は選手の国際大会への派遣や強化を担う競技統括部門として、総本山の講道館から分かれたものだ。

 段位認定という絶対的な力を持つ講道館の影響力はいまも小さくはない。

 両者のあいまいな線引きについて、宗岡会長は「別法人だが、議論を詰めていきたい」と話した。上村前会長が講道館長の座にとどまる是非を含め、全柔連の独立性を築く取り組みも進めてはどうか。

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