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スペシャルインタビュー「スピッツ」

このアルバムの曲たちは、今回は特にライブで威力を発揮できる

スピッツ――なるほど。
草野「あと、ちょっと精神的に落ちてる時に、音楽とか本当にどうでもよくなったりすることもあるんですけど、それでもたまにちょっと聴きたいかなっていう時は、すごく勢いがあったり、拙い感じで癒してくれるようなものは聴きたくないんです。キチッとプロデュースされてて、確固たるテクニックに裏打ちされた音楽しか入ってこなくなっちゃうんです。例えばちょっとラフな演奏とか拙い歌とかだと、本当の芯となる歌詞とかメロディーよりもそっちばっかりに耳がいって、雑味が多くなるんですよね。元気な時はそういうのが楽しいんですけど」
田村「エモーショナルな感じとかね」
草野「そうそう。でも元気がない時はそこまで耳が追い付かないというか気持ちが追い付かないので、純粋にメロディーや歌詞を響かせるためにはちゃんとしたプロデュース、ちゃんとしたテクニックっていうのがやっぱりいるなぁってその時の経験から思ったんです。俺らにすごいテクニックがあるっていうわけじゃないけど、今回の作品を作る時には、ちゃんとプロデュースされたものを出したいなとは思ってましたね。毎回そうなんだけど、今回は特に強く思いました」
――そうやって丁寧に仕上げられた1曲1曲には、それぞれに小さな生き物たちが登場してくるんですよね。
草野「そうですね。生き物が多いのは昔からなんですけど、今回は結果的にこういう形に(笑)。アルバムのタイトルにも変なギミックは使いたくなかったので、シンプルに決めました。ジャケットは、小さな生き物としての人間が空を飛ぶ、畏れ多いことをやろうとしてるイメージで考えたものです。ライト兄弟よりも前に空を飛ぼうとしたオットー・リリエンタールのグライダーで、最初は合成でいいかなと思ってたんですが、デザイナーさんが作っちゃいましょうと(笑)。ビデオクリップとかにも出てくるけど、たぶん安くはないので今後も有効利用していきたいと思ってます(笑)」
――じゃあ次のツアーで飛ばしますか(笑)。
草野「これ背負って吊られて出てくるとか(笑)」
三輪「組み立てるのだって職人さんが3人がかりで大変なんだから(笑)」
――秋からのツアーがどんなことになるのか楽しみですが (笑)、その前に、久しぶりの野外ライブ『スピッツ 横浜サンセット2013』が行われるんですよね。
三輪「野外でワンマンは16年ぶりですね」
田村「そもそもは2010年から『新木場サンセット』としてやってきた部分もあるから、野外で、16年ぶりでっていう特別なものでもあるんだけど、俺らの意識の中では『新木場サンセット』の4回目みたいなところもあるんだよね」
草野「その後に11月からはまたツアーが始まるんですけど、このアルバムの曲たちが今回は特にライブで威力を発揮できるんじゃないかなと思うので、そっちもぜひ楽しみにしていて下さい」

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