東北のニュース
「被災者支援法放置は違法」 宮城の避難者ら国提訴
| 記者会見する原告ら=22日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ |
|
福島第1原発事故の被災者支援が目的の「子ども・被災者支援法」をめぐり、福島、宮城、栃木3県の住民計19人が22日、法運用のための基本方針が今も策定されていないことの違法確認などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告は原発事故後も福島市や郡山市、宮城県丸森町などに住み続けている7人と、いわき市や伊達市などから福島県内外に自主避難した12人。支援法に基づく施策を受けられる地位にあることの確認や1人当たり1円の損害賠償も求めている。
訴えによると、支援法は対象地域を指定した基本方針の策定を国に義務付け、付則では対象地域を毎年見直すと定めている。法の成立から1年以内に基本方針を策定すると解釈でき、成立から約1年2カ月が過ぎた今も未策定なのは違法としている。
国は年1ミリシーベルト以下の空間放射線量を除染目標としており、原告らのもともとの居住地は年1ミリシーベルト以上被ばくする可能性があるため、対象地域に該当すると主張している。
支援法は超党派の議員提案で2012年6月に成立。「一定基準」以上の放射線量が計測される地域を対象に指定し、居住継続、自主避難、帰還のいずれの場合でも就学や就業、健康保持などを支援するよう定めた。
原告4人と弁護団が東京都内で記者会見し、「基本方針が放置され、被災者の精神的、経済的負担は増している。早く対象地域を指定してほしい」と訴えた。
基本方針の策定を担う根本匠復興相は21日の記者会見で「(法の趣旨を踏まえた)具体的な施策は基本方針の策定を待たず、3月に明らかにしている」と話した。
◎早急に内容決定を
原告の一人で宮城県丸森町筆甫地区振興連絡協議会事務局長の吉沢武志さん(36)の話 被災者にとって頼みの綱の法なのに、対応が1年以上ほったらかしになっている。早急に支援の内容を固めてほしい。福島だけの問題ではない。県境で線引きするのでなく、宮城や栃木も含め、線量に応じて対象地域を決めるべきだ。
2013年08月23日金曜日
- Ads by Google
- 広域
△先頭に戻る