8月の中国HSBC製造業PMI、4カ月ぶり高水準に
[北京 22日 ロイター] - HSBCが22日発表した8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)速報値は50.1と、4カ月ぶり高水準を記録した。新規受注が回復した。
PMIは50を上回ると景況の改善、下回ると景況の悪化を示す。
8月のPMI速報値は節目の50をかろうじて上回るにとどまったものの、11カ月ぶり低水準だった前月の47.7(改定値)から上昇。中国経済の安定の兆しを示唆する結果となった。
PMIを構成する新規受注指数は7月の46.6から50.5に上昇、4カ月ぶり高水準となった。ただ、世界経済をめぐる不透明感が根強く残り、新規輸出受注指数はやや低下した。
雇用指数は上昇したが、節目の50を引き続き下回った。
PMI発表を受け、豪ドルは上昇、アジア株は下げ幅を縮小した。ただ、投資家は引き続き、米連邦準備理事会(FRB)が来月にも緩和策の縮小を開始する場合のアジアへの悪影響を警戒している。銅価格は上昇、原油価格は下げから切り返した。
ノムラ(香港)の中国担当エコノミスト、Zhiwei Zhang氏は8月の製造業PMIについて「中国経済が短期的に安定し、今年下半期の下方リスクが低下したことを確認する内容」と指摘した。
HSBCの中国経済担当チーフエコノミスト、屈宏斌(ホンビン・チュー)氏は、8月の製造業PMI上昇について「海外景気は引き続き弱いものの、最近の(政策)微調整の初期効果と企業の在庫補充活動が主な要因」と指摘。「われわれは政策効果が一段と浸透すると予想しており、それにより、今後数カ月で中国経済の成長に上向きのサプライズがもたらされる可能性がある」と述べた。
中国政府は、零細企業に対する課税撤廃や輸出業者の支援強化、都市インフラと鉄道への投資拡大など、一連の景気支援策を発表してきた。
中国の国内総生産(GDP)伸び率について、ロイター調査のエコノミスト予想は第3・四半期が前年同期比7.4%、通年では7.5%となり、政府目標と一致している。
ノムラのZhang氏は、第3・四半期のGDP伸び率について、第2・四半期の7.5%から上向く可能性があり、自身が予想する7.4%から上振れする可能性があると指摘。「それでも、金利上昇が投資を圧迫するなか、下半期の成長率が8%を超える可能性は低いとわれわれは考える。われわれは2014年の成長率は6.9%に鈍化するとの見方を維持する」と述べた。
中国の第2・四半期のGDP伸び率は7.5%と、第1・四半期の7.7%から鈍化。中国経済は過去10四半期のうち、9四半期で減速している。
HSBCは8月の製造業PMI改定値を9月2日に発表する。
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