シリア:神経ガス使用?213人死亡…政権側は否定
毎日新聞 2013年08月21日 20時44分(最終更新 08月22日 01時09分)
【カイロ秋山信一】ロイター通信は21日、シリア反体制派からの情報として、首都ダマスカス近郊で同日、アサド政権側による神経ガス攻撃があったと伝えた。地元病院関係者は、ロイターに対し、住民213人が死亡したと答えている。子供や女性も含まれ、多くは外傷を確認できず、口から泡をふくなど、化学兵器特有の症状がみられるという。シリア国営テレビは報道を否定した。
シリア内戦では今年に入って戦闘で化学兵器が使われた疑いが強まり、国連の調査団が18日から2週間の日程でシリア入りしている。今回、200人以上の死者が出たとすれば、これまでの化学兵器による被害疑惑の中で最も大きい。アラブ連盟と英仏政府は21日、国連調査団を現地に向かわせるよう声明などで呼びかけた。
反体制派は、21日に化学兵器による攻撃を受けたのはダマスカス近郊の反体制派支配地域3カ所としている。現場にいた男性は毎日新聞の取材に対し、午前2時半ごろ、航空機多数が上空を通過するような音を聞いたと証言。別の場所では午前3時ごろ爆撃があり、犠牲者の多くは自宅で就寝中に死亡したという。反体制派主要武装組織「自由シリア軍」の広報官は、窒息や中毒により1000人以上が死亡したと述べた。
アサド政権は21日の大規模攻撃そのものは認めたものの、化学兵器使用の報道は「事実無根」と否定。反体制派が国連調査団を混乱させる目的で、うその情報を流していると反論した。
ヘイグ英外相は声明で、今回の事案を国連安保理へ報告すると同時に、アサド政権に対して調査団の現地入りを許可するよう要請。調査団のセルストロム団長も調査の必要性に言及しつつ、国連の指示を待つ意向を示した。