原爆:被爆55年後でも白血病発症率2.5倍 放影研
毎日新聞 2013年08月22日 19時38分(最終更新 08月22日 21時47分)
米国が広島・長崎に投下した原爆で被爆した人は、被爆から55年経過した時点での追跡データから白血病の発症率が被爆していない人と比べて約2.5倍になっていることが、放射線影響研究所(放影研、広島市・長崎市)の研究で分かった。
放影研が1950〜2001年に行った被爆者らの追跡健康調査約11万3000人分のデータを解析した。
白血病の発症例は312例で、このうち原爆の放射線被ばくの影響が考えられるケースは94例に上った。被爆から時間が経過するほど発症リスクは下がる傾向にあったが、被爆時の年齢が10歳で被ばく線量が1シーベルト(1000ミリシーベルト)の場合、被爆5年後の発症リスクはまったく被爆していない人と比べて51.3倍。40年後は3.5倍まで減ったが、55年後でもまだ2.5倍だった。被爆時30歳の場合は5年後で21倍、40年後で2.7倍だった。特に急性骨髄性白血病の発症割合が高かった。
放影研は1994年、50〜87年のデータを基に白血病のリスクを調査。被爆時の年齢が若く、被爆からの経過時間が短いほどリスクが高くなることが分かっていた。今回は2001年までの14年分のデータを加味して計算した。この研究の論文は米医学誌「Radiation Research」3月号に掲載された。【吉村周平】