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福島第1 汚染水海に流出濃厚 東電「否定せず」
 | 大量の汚染水漏れが見つかった地上タンク。同型のタンクでは汚染水漏れが頻発している=20日午後、福島第1原発 |
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福島第1原発の地上タンクから放射能汚染水が大量に漏れ出した問題で、東京電力は21日、汚染水の一部が海に流れ出た可能性を認めた。同型タンクは製造が容易で整備しやすい一方、耐久性に問題があり、過去にも漏えい事故を起こしている。大量に増え続ける汚染水を処理するため、整備の効率性を優先した結果が招いたトラブルと言え、対策の見直しに迫られている。
タンクから漏れ出した汚染水は約305トンに上る。大半は地面に染み込んだとみられるが、東電が21日、原子力規制委員会の指示を受け、海につながるタンク近くの排水溝を調べ、毎時6ミリシーベルトと高い線量を計測した。
東電は「汚染水が流れなければあり得ない数値で、海への流出は否定できない」との見解を示した。流出量は不明としている。海は約700メートル先で、排水溝の出口付近の海水に含まれる放射性物質は微量にとどまった。
東電によると、タンクは容量1000トンで汚染水の残量は約700トン。20日夜に別の同型タンクへ移送を始めた。作業は22日夕に終えるという。
漏えい源のタンクと同じ型は構内に約350基ある。1日400トン(プール1杯分)のペースで増え続ける汚染水を保管するため、東電は構内に整備し、2011年10月に使用を始めた。
タンクは円筒型の組み立て式で施工日数は最短で3日。溶接作業が要らず、作業が楽でコストを抑えられるメリットがある。一方、ゴムパッキンの耐用年数は5年と短く、当初から水漏れを懸念する声が上がっていた。
同型タンクは今回を含めて5回の漏えいトラブルを起こした。大量の汚染水を処理するため、耐久性の危うさに目をつぶり、効率性を優先して整備を進めた。今後も使用を継続するという。
今回の事故を受け、東電はタンクの見回り回数を1日2回から3時間おきにする監視強化策を打ち出した。
汚染水の海洋流出は7月、地下水の漏出が判明。地上と地下から二重の漏えいが明らかとなり、漁業者や国際社会から反発を受けるのは必至だ。
◎規制委「レベル3」に引き上げ
福島第1原発の地上タンクから放射能汚染水が漏れ出た問題について、原子力規制委員会は21日、国際的な事故評価尺度(INES)で8段階の下から4番目のレベル3(重大な異常事象)に当たるとの見方を示した。レベル3は、1997年の旧動燃アスファルト固化施設(茨城県東海村)火災爆発事故や東日本大震災による福島第2原発の津波被害と同等の評価となる。
規制委は漏えい発覚当初の19日、下から2番目のレベル1(逸脱)と暫定評価した。その後、漏れ出た汚染水は推定約305トンで数千テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が漏えいしたことが分かり、評価を引き上げた。
規制委内には応急施設のタンクでのトラブルにINES評価を適用することへの疑問や、最悪のレベル7(深刻な事故)と評価された第1原発事故の範囲内とする考え方もある。
規制委は、国際原子力機関(IAEA)に応急施設の評価方法について確認する。
21日の規制委定例会合で田中俊一委員長は「一刻の猶予もない。タンクの汚染水を早急に安全なレベルまで浄化する必要がある」と強調した。
更田豊志委員は「タンクの排水溝は直接外洋につながっている。海への流出がないかどうか、しっかり確認すべきだ」と指摘した。
規制委はまた、同日開いた汚染水対策の作業部会で、漏えい源のタンク底部のコンクリートが破損した可能性があると指摘。同型で同じ時期に製造されたタンク約100基に保管されている汚染水の移送を検討するよう東京電力に指示した。
2013年08月22日木曜日
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