日本の皇族が2020年五輪の東京への招致活動を行うことになり、論議を呼んでいる。皇族の政治活動を禁じた憲法に違反する疑いがあるためだ。
20日付朝日新聞は、日本の女性皇族2人が来月7日、国際オリンピック委員会(IOC)の総会が開かれるアルゼンチンのブエノスアイレスを訪問すると報じた。天皇陛下のいとこにあたる寛仁親王の長女、彬子氏(31)と別のいとこ高円宮憲仁親王の夫人、親王妃久子氏(60)が来月5-6日に現地でIOC委員と懇談会を行う。朝日新聞は五輪招致活動の一環だと報じた。
IOCは今回の総会で、2020年五輪の開催地を決定する。東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)が招致合戦を展開している。16日付産経新聞によると、皇族のアルゼンチン訪問は日本政府の要請によるものだという。IOC委員に欧州の王室関係者が多数含まれていることから、東京のライバルであるドリードがスペインのフェリペ皇太子を立て、積極的に招致活動を行っていることに対応が必要だと判断した格好だ。
しかし、日本国憲法4条は「国政に関する権能を有しない」と定めている。このため、皇族の政治行為は認められないというのが現行憲法の解釈だ。今回の訪問をめぐっては、皇族の政治への関与だとの批判が出て、宮内庁は「IOC委員との友好親善を図るのが訪問の目的であり、五輪招致活動は行わない」と公式発表した。