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【芸能・社会】

葉加瀬 富士山で生演奏

2013年8月22日 紙面から

厳しい寒さの中、富士山頂でライブを披露した葉加瀬太郎(本庄雅之撮影)

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 人気バイオリニストの葉加瀬太郎(45)が21日早朝、初登頂した富士山頂で生演奏を披露。J−WAVEとのコラボで生中継されたほか、インターネットのUstreamでも実況された。「もともとむちゃくちゃな企画」(葉加瀬)だったが、登山経験のない葉加瀬がスタッフに支えられて、ギネス級の過酷な環境下で生演奏を成功させた。

 演奏したのは、21日午前6時50分ごろ。番組「TOKYO MORNING RADIO」の途中、生中継で葉加瀬が「別世界です」などと初登頂の感想を話した後、「万讃歌」を演奏した。当時の気温は10度以下。体感温度は2〜3度という過酷な環境にもかかわらず、居合わせた登山客を喜ばせ、世界文化遺産に登録された富士山の「気」を含んだ生音が全国に届いた。

 本来なら手がかじかんで弦を押さえることなどできない。が、葉加瀬は、雲がかかって見えなかった御来光など最初から眼中になく、山頂に到着後、すぐに演奏に向けた準備に入った。氷のうに熱湯を入れて指を温め、カイロでバイオリンの温度を上げる。生中継の時間が刻々と迫る。寝不足の目は赤く血走っていた。

 本番では、「ミスをしないように神経を使った」。すでに名のある人気バイオリニストが、あえて挑んだ。そこには、21日に発売した新アルバム「JAPONISM」に込めた思いがあった。

 「ヨーロッパの人たちは日本の食事やエンタメとかにとても興味を持っている。世界中の人たちが日本に目を向けていて、それに応えるものを日本人は持ってる。でも、それをうまくアウトプットできていないように思う。もっと自信を持とうよ」。英国と日本を行き来する葉加瀬が痛切に思うことを表現したアルバムを、日本の象徴・富士山から発する試みだった。 初心者向けとされる吉田口ルートを選んだが、上りの八合目で足に大きな負担がのしかかり、リタイアも頭をよぎった。その時に思い浮かんだのは、「言ってらっしゃーい」と送り出してくれた長男の万太郎君(7)のこと。「これだけつらい思いをしたのなら、どんなことがあっても家族を守ってやれる」。そして、演奏曲目に選んだのが、アルバム収録曲で、万太郎君が誕生した時に作り、今回アレンジを加えた「万讃歌」だった。

 無事下山後、「ただ苦しいだけ。もういい」と口をついて出たが、「いつか家族を連れてきたい」。そう締めくくった葉加瀬は、週末の札幌公演のため22日に現地へ飛ぶ。 (本庄雅之)

 

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