ゴールドマンのオプション誤発注、電子取引の怖さ示す
8月21日(ブルームバーグ):20日に起こった米ゴールドマン ・サックス・グループのオプション誤発注は、約1年前のナイト・キャピタル・グループのケースを踏まえた改善の取り組みにもかかわらず、電子取引の危険が払拭(ふっしょく)できないことを浮き彫りにした。
事情に詳しい関係者の話とブルームバーグのデータによれば、ゴールドマンのプログラミング上のミスのために取引開始からの数分間に意図せぬ株式オプション注文が送信され、数十銘柄のオプションの価格が1ドルとなった。ゴールドマンの損失の規模は取引所がどの取引を無効にするかを決定するまでは明らかにならないと、関係者が匿名を条件に述べていた。
4-6月(第2四半期)の収入の約半分をトレーディングで稼いだゴールドマンですらこのような誤りが起こり得るということは、さらに深刻な障害発生が不可避であることを示していると、電子取引所の台頭を懸念する投資家は言う。約1年前にマーケットメーカーのナイト・キャピタルは誤発注に伴い経営破綻の瀬戸際に追い込まれた。先週は中国で光大証券の38億ドル(約3700億円)規模の誤発注で上海総合指数が2分間に約6%上昇、同国規制当局が調査を進めている。
バール・アンド・ゲイナーで96億ドル相当の運用に携わるマット・マコーミック氏は電話インタビューで、「これは誰にでも起こり得ることで、絶対に安全な会社などない」と述べた。今回は「それがゴールドマンであるから、誤りの規模も極めて大きいのではないか」とも論評した。
ゴールドマンの広報担当者、デービッド・ウェルズ氏は電子メールで、取引所が作業中だが、いずれにせよ損失は「当社の財務状態に重要な影響は及ぼさない」と説明した。
NYSEユーロネクストの米オプション部門であるNYSE・Amexオプションズは20日、証券コードの頭文字がHからLまでの銘柄の最初の17分間に行われた「多数」の取引を検証しており、大部分が取り消される可能性があるとしていた。NYSEとナスダックOMXグループは21日電子メールで、検証が完了したと明らかにした。
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更新日時: 2013/08/22 04:42 JST