8月21日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが上昇、FOMCの緩和縮小支持を議事録が示唆
ニューヨーク外国為替市場ではドルが上昇。午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、景気が改善する限り、年内に緩和規模を縮小し始めるというバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の計画に「幅広い支持」が集まっていることが明らかになり、ドルは上げ幅を拡大した。
7月の米中古住宅販売が2009年11月以来の高水準に増加したことは、朝方のドル買い材料となった。新興市場資産の下落を背景に、インドネシア・ルピアは4年ぶりの安値に沈み、インド・ルピーは最安値を更新した。
RBSセキュリティーズの為替ストラテジスト、ブライアン・キム氏(コネティカット州スタンフォード在勤)は電話インタビューで、議事録は「秋の金融緩和を支持する内容だ。12月よりも9月、あるいはその逆を決定づけるには不十分だと思う」と語った。
ニューヨーク時間午後2時28分現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は前日比0.6%高の1026.06。
ドルは円に対し0.6%高い1ドル=97円84銭。対ユーロでは3日ぶりに上げ、0.5%高の1ユーロ=1.3356ドル。ユーロは対円で0.1%高の1ユーロ=130円66銭。
◎米国株:下落、議事録はFRB議長の緩和縮小計画への支持示す
米株式相場は下落。ダウ工業株30種平均はここ13カ月で最長の6日連続安となった。この日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC、7月30-31日開催)の議事録によれば、景気が予想通り改善すれば年内に緩和縮小を開始するというバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の計画が支持された。
事務用品小売りのステープルズが大幅安。小売り・国際事業の落ち込みを理由に通期利益予想を下方修正したことが嫌気された。ターゲットも下落。同社決算は前年同期比13%の減益となった。一方でホームセンターを展開するロウズは上昇。通期予想の上方修正が好感された。
S&P500種 株価指数は前日比0.6%安の1642.80と、7月8日以来の安値。ダウ工業株30種平均は105.44ドル(0.7%)下げて14897.55ドル。6営業日続落は2012年7月以降で最長の連続下落。
ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクのエリック・デービッドソン副最高投資責任者(CIO)は「金融引き締めの開始時期についてFOMC議事録が示唆するところは依然不透明だ」と指摘。「ここ何年も続けた緩和から段階的な引き締めに踏み出すのは、今後に影響する重大な瞬間になるだろう。縮小プロセスを開始できる段階にあるかを金融当局がまだ分かっていないという意味において、議事録は極めて明確だ」と述べた。
FOMC議事録朝方から下げていたS&P500種は、米東部時間午後2時に議事録が公表された後に下げを縮め、一時上昇に転じる場面もあった。金融当局の緩和策が年内に縮小されるとの懸念の強まりから、S&P500種は8月2日に記録した終値での最高値から20日までに3.4%下落。これまでの緩和策を受け、同指数は09年の弱気相場の安値から150%余り上昇している。
FRBが公表したFOMC議事録によれば、会合のほぼ全参加者は景気が予想通り改善された場合、債券購入のペースを年内に減速させるというバーナンキ議長の計画を「おおむね支持」していることが分かった。一方で2、3人は「近いうち」に縮小開始が必要になる可能性を指摘した。
経済については参加者は、13年下期に成長が上向き「一層力強さを増す」と引き続き予想している。
経済指標ブルームバーグの調査によれば、22日発表される新規失業保険申請件数は増加が予想されている。21日発表された7月の米中古住宅販売件数は前月比で増加し、2009年11月以来の高水準となった。住宅ローン金利のさらなる上昇を前に、駆け込み需要が増えた。
JMPセキュリティーズのマーク・リーマン社長は「今は誰もが神経質になっている」と指摘。「何をすべきか確信を持てない状況」であり、よってきょうのような日中の相場の大きな変動に「影響されやすい」と分析した。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)はこの日6.9%上げて15.94。
S&P500種の業種別10指数は全て下落。公益や通信が特に下げた。
ステープルズは15%安の14.27ドル。下落率はここ2年余りで最大となった。
ターゲットは3.6%下げて65.50ドルと、3月1日以来の安値。厳しい経済情勢や社会保障税の増税で消費者は生活必需品以外の購入を手控えており、ウォルマート・ストアーズやメーシーズでも売り上げに影響が及んでいる。
ロウズは4.3%上昇し45.97ドルとなった。
原題:U.S. Stocks Drop as Fed Minutes Show Support for FallTapering(抜粋)
◎米国債:下落、FOMC議事録が緩和策縮小への広範な支持示す
米国債市場では10年債相場が下落。米連邦準備制度理事会(FRB)が午後に公表した連邦公開市場委員会(FOMC、7月30-31日開催)の議事録で、政策当局者が債券購入のペースを減速させる計画を「おおむね支持」していることが明らかになった。
利回りは2年ぶり高水準に迫った。議事録によると、FOMC会合参加者は景気が予想通り改善された場合、債券購入のペースを年内に減速させるというバーナンキ議長の計画を支持した一方で、2、3人は「近いうち」に縮小開始が必要になる可能性を指摘した。朝方は中古住宅統計に反応して利回りが上昇した。7月の中古住宅販売は前月比で増加し、2009年11月以来の高水準となった。
イーグル・アセット・マネジメントの債券運用担当マネジングディレクター、ジェームズ・キャンプ氏は「市場は引き続き緩和策の縮小を見込んでいるようだ」と述べ、「米金融当局は量的緩和からの脱却を望んでいる。短期的に10年債利回りが3%に上昇する可能性もあるだろう」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後2時24分現在、10年債利回り は前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.87%
◎NY金:下落、FOMC議事録が緩和策縮小への広範な支持示す
ニューヨーク金先物相場は下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録(7月30-31日分)では、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が示した緩和縮小への道筋に幅広い支持が得られたことが示された。
議事録によれば、会合のほぼ全参加者は景気が予想通り改善された場合、債券購入のペースを年内に減速させるというバーナンキ議長の計画を「おおむね支持」していることが分かった。一方で2、3人は「近いうち」に縮小開始が必要になる可能性を指摘した。
TDセキュリティーズの商品戦略責任者、バート・メレク氏は電話インタビューで、「当局者らはバーナンキ議長が考える然るべき道筋に同調しているようだ」と指摘。「現時点では、金に新たな買いが入ることはあまりないだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は午後3時13分現在の電子取引で、0.1%安の1オンス=1370.80ドル。通常取引は前日比0.2%安の1オンス=1370.10ドルで終了していた。
原題:Gold Falls as FOMC Minutes Signal Support for TaperingTimeline(抜粋)
◎NY原油:2週間ぶり安値-FOMC議事録が緩和縮小を示唆
ニューヨーク原油先物相場は続落し、ほぼ2週間ぶりの安値を付けた。連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で年内に緩和縮小が始まる可能性が高いことが示された。
7月30-31日に開催されたFOMCの議事録によれば、会合のほぼ全参加者は景気が予想通り改善された場合、債券購入のペースを年内に減速させるというバーナンキ議長の計画を「おおむね支持」していることが分かった。一方で2、3人は「近いうち」に縮小開始が必要になる可能性を指摘した。エネルギー省が発表した統計では、先週の原油在庫は143万バレル減少した。
プレステージ・エコノミクス(テキサス州オースティン)のジェイソン・シェンカー社長は「FOMC議事録は景気刺激が近く縮小されることを告げている」と指摘。「債券購入規模が縮小される可能性が高いという事実は非常に弱気な材料だ」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比1.26ドル(1.20%)安の1バレル=103.85ドルで終了。終値としては8月8日以来の安値。
原題:Crude Falls to Two-Week Low on Fed Support for StimulusTapering(抜粋)
◎欧州株:3日続落、銀行と資源銘柄に売り-FOMC議事録控え
欧州株式 相場は下落。指標のストックス欧州600指数はここ8週間で最長となる3日続落となった。この日公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で量的緩和縮小のタイミングが示唆されるとの観測が強まっている。
オランダのビールメーカー、ハイネケン は4%下落。同社は2013年の一時的項目を除いた利益が横ばいとなるとの見通しを示した。英HSBCホールディングを中心に銀行株が売られ、英豪系BHPビリトンなどの資源銘柄も大きく下げた。
ストックス欧州600指数は前日比0.5%安の300.61で終了。7月31日以来の安値を更新した。米金融当局が緩和縮小を開始するとの観測が高まった5月22日以降、同指数は3.2% 下げている。
アクサ・インベストメント・マネジャーズのストラテジスト、フランツ・ウェンツェル氏(パリ在勤)は「米金融当局は緩和縮小の決定と同時に、慎重なペースで縮小していくことを決めるだろう」と語った。
ブルームバーグのまとめたデータによれば、ストックス欧州600指数の取引高は100日平均を23%下回った。
21日の西欧市場では18カ国中14カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Drop a Third Day in LongestSlide in Eight Weeks(抜粋)
◎欧州債:スペイン債が続落、FOMC議事録控え-英独債も下げる
欧州債市場ではスペインとイタリアの国債が3日続落。この日公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録に、量的緩和を縮小するタイミングが示唆されるとの観測が強まっている。
イタリア10年債利回りは2週間ぶり高水準に達した。ベルルスコーニ元首相が現政権への支持を撤回する可能性を示したとの新聞報道が背景にある。ドイツ国債 も下げた。この日の2年債入札で落札利回りが上昇した。
クレディ・アグリコルCIBの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロンドン在勤)は「引き続き焦点はFOMC議事録だ」とし、「今後発表される経済指標やこの日の議事録で見方が変わらない限り、量的緩和縮小の観測で利回りは上昇を続けるだろう」と語った。
ロンドン時間4時18分現在、スペイン10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.53%。前日までの2営業日で11bp上げていた。同国債(表面利率4.4%、2023年10月償還)価格はこの日、0.46下げ98.99。
同年限のイタリア国債利回りは5bp上げ4.36%。2日以来の高水準となる4.37%まで上昇する場面もあった。
ドイツ10年債利回りは前日比4bp上昇し1.88%。19日には1.92%と、2012年3月27日以来の最高に達した。既発の2年債(2015年6月償還)利回りはこの日、2bp上げ0.22%。
英国債相場は下落し、10年債利回り は4bp上昇の2.71%となった。19日には2.75%まで上げ、11年8月8日以来の最高に達した。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日、0.28下げて92.33。
原題:Spanish Bonds Drop Before Fed Minutes; BundsFall After Auction(抜粋)Pound Strengthens Before Fed Releases July Minutes;Gilts Slide (抜粋)
更新日時: 2013/08/22 06:35 JST