PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。 |
2011/6/25 (協会報6月号より)
韓国ゴルフ事情について-「協会報」2011年6月号『ハローソウル』より転載
韓国三菱商事 金属事業本部長 藤原 義久 韓国のゴルフ事情についてご紹介したい。私,韓国赴任で驚いたひとつがゴルフ事情であった。 私が良く利用するゴルフ場の一つが華山ゴルフ倶楽部という韓国でも屈指の名門コースにて,コースはアップダウンはあるものの,手入れも行き届き立派なゴルフ場。会員権は驚く無かれ約7億Won(日本円で約60百万円くらい)にて,そんな高いゴルフ場ゆえ会員はいつでも予約が出来ると思いきや,あにはからんや,休日は月2回しか予約が出来ないと。実際ある月に2回予約を入れ,3回目を取ろうとしたら,「あなたは今月2回プレーしたのでもう駄目です」。何とか頼み込んで3回目を取って貰った次第にて,ゴルフ場に取って欲しいとお願いするとは,日本と間逆。 ここまで会員権が高騰するには理由がある,韓国のゴルフ場の数はここ1-2年で急激に増えたとは言え約500コースしかない上に,ゴルフ人口が最も多いソウル近郊のゴルフ場の数は少ない。一方,ゴルフ人口も増えていて,ゴルフをするのはBusiness Personとしてひとつのステータスとなって居り,会社の課長になればゴルフ練習を開始,課長以上になって初めてコースに出る人が多い。昨今の韓国景気の良さも手伝い,又海外で活躍する韓国人ゴルファーが増えている事から,ゴルフをしたい人は多いが,コースが少ない。要は需給バランスで価格が決まる大原則に乗っ取ったもの。 会社の役職者以上のスポーツにてひとつのステータスとなっているゆえ,基本的にグリーンフィーも高い,ビジター一人で300,000Won(25,000円程度)と日本の一流コース並み,これにキャデイーフィが別途4人で200,000Wonにて,接待ゴルフはメンバーが入っていても1,200,000Wonは掛かる。ゴルフ代金が高い上に,クラブ,ウエア等のゴルフ用品も高く,日本の1.5倍はする。 悪い事ばかり書いて来ましたが,良い事もあります。昔は酒の接待が多かったのが,昨今はゴルフでの接待が大流行にて,酒席が相対的に少なくなったのは体を思えば,良い事かも知れぬ。 一方ルールにおいても韓国ゴルフは面白いローカル?ルールが存在します。 因みに以下のルールは「本日は韓国ルールでや」と宣言する場合にて,普通のルールと宣言する場合は別です。 まず,スコアは自分が付けない,キャディが付ける。従い,キャディは4人全員のスコアを覚えておかないといけない。韓国でゴルフを始めたある日本人は,日本に帰ってゴルフをして驚いたそうだ「何,スコアは自分でつけるの?」と。 韓国文化は合理的で,遊ぶ時は遊ぶ,ゴルフは遊びと割り切っている。従い,皆が気分良くプレーを楽しもうという精神にあふれている。 もしあなたが,スタートホールで大たたきしても,スタートホールは体が未だ慣れていないと言う理由で,誰かがパーを取れば全員がパーとキャディが優しくスコアカードに記入してくれる(4人の最高スコアがボギーであった場合は全員がボギーとなる)。 途中で,OBを連発してそのホールがパーの2倍以上叩きそうでも,最低のスコアはパーの2倍止まり。従い,どんな大たたきしても,パー5で10。そうなればOB3発打てば皆途中で止めてしまい,スコア申告時は「ダブルパー」で済む。 ティショットでチョロやOBをしたら,パートナーが優しく「マリガン」と言ってくれる,要はノーペナで打ち直し有り(但し,全部では無く大体9ホールで1回)。 ある会社の役員が言ってました,「日本でゴルフをやった時ティショットでOBを3発連発したが,誰もマリガンと言ってくれず下を向いて黙っていた。日本は冷たい」と。 パターのOKは1グリップ以内では無い,「パターからグリップを除いた部分以内」。 等々 楽しもうという精神に加え,ゴルフ場が常時混んでいる為,早く廻そうとするゴルフ場の事情も有ると思われる。少し長いパットをOKするとキャディが言ってくれる「カムサハムニダ(有難う)」。因みにキャディは皆動きが速く,素晴らしくキャディが多い。 韓国で客に平均スコアを聞くと100以上の人はいないが,上記ルールの元では実際には日本より10程度は多いと思うのだが…。 このルールに慣れてしまった私は日本に帰ってゴルフをしたら,皆に陰口を叩かれるかも知れない「なんとマナーの悪い奴」と。日本式のマナーもちゃんと覚えておかねば。 (2011年5月11日記) |