FC2ブログ

    「20時報道」:地球物理学的要因による不利な日と時間(2012年11月31日 「朝鮮中央TV」)

    頂いたコメントに対する返事を書いていたのだが、おもしろい話なのでブログに掲載しておく。

    「20時報道」では、毎月月初めに「地球物理学的要因による不利な日と時間」というのを番組の最後で伝えている。

    「11月中の地球物理学的要因により不利な日と時間 平壌地方 2日(1~3時)」などと書いている。
    2012-10-31-15flv_000827542.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-31-15.flv

    この日の「20時報道」では、平壌と清津における「不利な日と時間」だけが伝えられたが、記憶曖昧ながらも他地域の情報を提供するケースもあったかもしれない。

    コメントを下さった方もそうであるのだが、私も「地球物理学的要因」とは何なのかとずっと思っていた。初めて「地球物理学的要因」報道を見たときは、朝鮮人民だけが分かる何かの「暗号司令」ではないかと思ったほどだった。想像していたのは月の引力か地磁気だったのだが、どうやら後者のようだ。

    いつもは不利な日にちと時間だけを伝えてこの報道は終わるのだが、昨夜の「20時報道」では「地球物理学的要因」について平壌市救急病院の医師が説明をしている。

    平壌市救急病院副院長ソ・チョル医師
    2012-10-31-15flv_000903833.jpg
    Source: KCTV, http://www.uriminzokkiri.com/contents/movie/centertv/streams/_definst_/2012-10-31-15.flv

    ソ・チョルさんによると、地磁気が変わると「心臓・血管系統に影響があり、健康に悪い影響を与」え、「血中の血球が無秩序に流れ、血液が流れる速度に影響を与え」るので「臓器への血液供給に障害が発生し、血圧が変動」し脳や心臓の病気を引き起こすということである。その証拠として、「これまでの統計分析によると、心筋梗塞や心臓発作による総死亡の84%が、太陽面の爆発で太陽面に発生した黒点が最も多い面が、地球の中央子午線と一致する時」に発生しているという。そして、地磁気の影響を減らすためには、「自然環境の中で体を鍛えること」や「情緒的な生活をして、摂生のある生活をすることが非常に重要であ」り、「脳や心臓に疾患のある人は、地磁気予報がある日には医療関係者と連絡を密にし、身体に異常が発生した場合は、即時に対応してもらうことが重要である」と述べている。

    北朝鮮でなぜ「地磁気」と疾患についてこれほど注目するようになったのかはよく分からないが、もしかすると、過去の指導者の言質の中にそういう話があったからなのかもしれない。

    地磁気と健康については、下記のページが参考になる。

    TDKテクノマガジン:「磁気と生体」
    http://www.tdk.co.jp/techmag/magnetism/index.htm

    コメントの投稿

    非公開コメント

    No title

    大変わかりやすい説明ありがとうございました.黒点活動の活発な点との関係では,Eスポの影響で日本でも平壌FM放送が聴けるような感じでしょうかね(15年ほど前の初夏.同局の放送を聴いた感動は今でも忘れられません).そういえば,磁気と身体との関係にはやたらに細かい印象をかねてより受けています.昨年出版された同国雑誌で「手電話機(つまり携帯電話)の利用法」が取り上げられ,磁気の影響を最小限にするために30秒ずつ交代で左右双方の耳にあてがうような注意文記述があり,驚きました.過去,何らかの事件があったのでしょうかね.

    Eスポ、携帯使用法

    コメントありがとうございます。「Eスポ」とは懐かしい言葉ですね。平壌FMというのは、日本のFM局のように音楽番組を中心とした番組編成になっているのでしょうか。携帯電話の「使用法」については、どこかで聞いたことがありますが、忘れてしまいました。しかし、30秒ごとに左右に移動させるのでは、落ち着いて話もできませんね。

    > 大変わかりやすい説明ありがとうございました.黒点活動の活発な点との関係では,Eスポの影響で日本でも平壌FM放送が聴けるような感じでしょうかね(15年ほど前の初夏.同局の放送を聴いた感動は今でも忘れられません).そういえば,磁気と身体との関係にはやたらに細かい印象をかねてより受けています.昨年出版された同国雑誌で「手電話機(つまり携帯電話)の利用法」が取り上げられ,磁気の影響を最小限にするために30秒ずつ交代で左右双方の耳にあてがうような注意文記述があり,驚きました.過去,何らかの事件があったのでしょうかね.
    プロフィール

    Author:川口智彦
    つたない国際関係学者です



    主に北朝鮮系ウェブサイトなどに出た情報を整理・分析することを日課としました。

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    Visitors
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR