福島汚染水漏れ:「レベル3」規制委、IAEA照会後結論
毎日新聞 2013年08月21日 13時03分(最終更新 08月21日 13時11分)
東京電力福島第1原発の地上タンクから高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は21日、原発事故の国際評価尺度(INES)でレベル1(逸脱)と暫定評価していた今回のトラブルを「レベル3(重大な異常事象)に該当する」とし、評価が妥当か国際原子力機関(IAEA)に照会することを決めた。評価尺度は原発事故の対応過程で生じたトラブルを想定していないため、IAEAの回答を待って結論を出す。
規制委は、レベル1の発表後、東電が汚染水の漏えい量を約300トンと推計し、水の放射性物質濃度から全体の放出量を約24兆ベクレルとしたことを受け、評価を再検討。この放出量をINESの尺度に照らして換算すると数千テラベクレル(テラは1兆)程度となるため、レベル3に該当すると判断した。
ただ、INESは「健全な施設」で起きた事故を想定しており、この日の規制委定例会では、更田豊志委員から「単純計算に基づいた評価は疑問。レベル7の事故にレベル3が加わることの意味を考える必要がある」と異論が出たが、田中俊一委員長が「一刻の猶予もない状況が起こっている」と述べ、照会することにした。
規制委は、事故対応の応急措置でつくられた施設のトラブルを評価することが適切か▽事故でいったん放出された放射性物質が汚染水として再び流出したとして事故に含むべきか−−をIAEAに照会することを決めた。評価が決まれば、事故そのものの評価がレベル7に引き上げられた2011年4月以降、初めての評価となる。【鳥井真平】