【織井優佳】国連難民高等弁務官事務所の特使を務めるアンジェリーナ・ジョリーが7月末、東京の国連大学で講演し、戦時下の性暴力防止を訴えた。
「みなさん、こんにちは」と日本語で切り出したスピーチは、10日公開の初監督作「最愛の大地」の試写会に先だって行われた。自身が脚本も手がけたこの映画は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の勃発で突然敵と味方に分かれてしまったカップルの悲劇を描く。ボスニアでは民族浄化の名目で公然とレイプが行われ、劇中でも尊厳を踏みにじられた女性たちの悲しみが描写されている。
ジョリーは「隣人として一緒に平和に暮らしてきた人々が、なぜお互いに対して耐えられないほど残酷になれるのか。ドキュメンタリーにしなかったのは、事実を証明するのが目的ではないから。この現実をよく考え、理解するために作った映画です」と、初監督に挑んだ理由を説明した。