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はだしのゲン 子どもに目隠しするな 08月21日(水)

 ぼくは、若い世代に期待しているんです。だから若い世代、子どもたちに語りかけていって、戦争と原爆の実態をしっかり教え込んでいくことでしか、日本は本当に平和を守れないのではないか―。

 広島での被爆体験を基にした漫画「はだしのゲン」の作者で、昨年12月に亡くなった中沢啓治さんは「はだしのゲンはヒロシマを忘れない」(岩波ブックレット)の中でこう書いている。

 炎に包まれて死亡した父の言葉「麦のように強く生きろ」を胸に、貧困や家族の死を乗り越えてたくましく生きる少年の姿を描いた「ゲン」は、多くの人に支持され、累計出版部数が1千万部を超える。英語をはじめ約20の言語に翻訳もされている。

 その「ゲン」を、松江市教育委員会が、子どもが自由に閲覧できない閉架の措置を取るよう市内の全市立小中学校に要請、各校が従っていたことが明らかになった。「一部に過激な描写がある」というのが理由だ。

 鳥取市立図書館でも、小学生の保護者のクレームをきっかけに2年前から児童書コーナーから事務室内に別置きしていた。

 戦争は残酷で非人間的だ。そこから目を背けるばかりでは実態は伝わりにくい。松江市や鳥取市の措置は、中沢さんら被爆者の願いを踏みにじるだけでなく、表現の自由や知る権利に関わる重大な問題だ。見過ごすことはできない。閲覧制限を撤回すべきだ。

 松江市のケースは制限の決定過程が不透明という問題もある。

 昨年8月、作品の歴史認識をめぐって市民が学校の図書館から撤去を求める陳情をした。市議会は不採択とした。にもかかわらず市教委は、議会で「大変過激な文章や絵がこの漫画を占めている」という意見が出たとの理由で、校長会に学校での閉架を要請した。

 しかも、このような重要な判断を教育委員に諮らず、当時の教育長ら事務局だけで決めている。合議の教育委員会制度を軽視するものだ。批判を受け、あす、教育委員が参加する会議を開く。

 子どもの感性をもっと信じてほしい。中沢さんは「―忘れない」で、こんなエピソードを紹介している。「ゲン」を読んだ子どもが「こわい」と泣き、夜トイレに行けなくなった―と親から抗議の手紙が来た。それにこう返信した。

 「あなたのお子さんは立派です。トイレにいくのをこわがるぐらいに感じてくれた。…褒めてやってください」

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