秋田書店:不正訴えた女性社員を解雇 撤回求め提訴へ

毎日新聞 2013年08月21日 15時00分(最終更新 08月21日 15時55分)

実際にプレゼントされる景品の数より多い数が表示されていた漫画雑誌「ミステリーボニータ」とそのプレゼント欄=東海林智撮影
実際にプレゼントされる景品の数より多い数が表示されていた漫画雑誌「ミステリーボニータ」とそのプレゼント欄=東海林智撮影

 秋田書店が漫画雑誌の読者プレゼントで景品数を水増し掲載していた問題で、社内で不正をやめるよう訴えた景品担当の女性社員(28)が「プレゼントを窃取した」などとして懲戒解雇されていたことが20日分かった。女性側は「罪をなすりつけられた」と主張。「組織的不正」として景品表示法違反(有利誤認)で秋田書店に措置命令を出した消費者庁の調査で主張が裏付けられた形となり、解雇撤回を求めて提訴する考えだ。【東海林智】

 女性の説明や加盟する労働組合「首都圏青年ユニオン」などによると、女性は不正のあった雑誌でプレゼント担当を4年以上務めていた。

 担当になった際の引き継ぎで不正を知り「一つの商品しかないのに、当選人数を10人にするのはおかしい」などと上司に訴えたが、「会社にいたかったら文句を言わずに黙って仕事をしろ」と言われたという。

 女性は不正を続けているうちに睡眠障害や適応障害を発症、2011年9月から休職していたが、12年2月29日に「多数の読者にプレゼントを発送せず、不法に窃取した」と書かれた解雇通知書が送られてきた。

 女性やユニオンは仕事を理由とした病気の発症で休職中に解雇するのは無効と主張。窃取と指摘された点について「会社の指示で当選者の数に満たないプレゼントしか準備されていなかった」としている。

 ユニオンの神部紅事務局次長は「不正を強制しながら、罪をなすりつけて懲戒解雇したのは許せない」と話す。女性は「不正をやめるべきだと何度も訴えた。消費者庁に不正を指摘され、会社も認めたのだから、解雇を撤回して謝罪すべきだ」と訴えている。

 秋田書店は「解雇と不正は別問題だと考えるため、コメントは差し控える」と話している。

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