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医療の改革―患者の協力も必要だ

日本の医療は、今のままでは立ちゆかない。私たち患者の側も意識を変え、協力していくことが求められている。社会保障改革のスケジュールをまとめた法案の骨子が、きょう閣議決定さ[記事全文]

米国とユネスコ―大国エゴに陥るな

世界遺産で知られるユネスコは、正式には国連教育科学文化機関という。教育や文化の力で戦争の悲劇を防ごうと、大戦後まもなく創設された。途上国での識字教育から文化交流、ジャー[記事全文]

医療の改革―患者の協力も必要だ

 日本の医療は、今のままでは立ちゆかない。私たち患者の側も意識を変え、協力していくことが求められている。

 社会保障改革のスケジュールをまとめた法案の骨子が、きょう閣議決定される。なかでも大きな変革が想定されているのが医療の分野だ。

 改革の設計図を描いた社会保障国民会議の報告書には、医師だけでなく、患者に対する厳しい注文が含まれている。

 特に注目されるのは、日本の医療に特徴的な「病院へのフリーアクセス」について、考え方の変更を迫っている点だ。

 これまでは保険証があれば、「いつでも、好きな病院に行ける」というのがフリーアクセスと考えられてきた。

 多くの病院は、患者を獲得するため、最新の医療機器を導入し、幅広い診療科で専門医をそろえようと競争する。

 結果的に、ベッドはたくさんあるものの、病院間で機能が重複し、効率が悪くなった。医師や看護師が手薄になり、当直勤務が頻繁になるなど、医療現場は疲弊した。

 そこで、「必要な時に必要な医療が受けられる」ことをフリーアクセスと考えよう、というのが国民会議の提案である。

 患者一人ひとりに必要な医療が何かを判断するのは、地域の「かかりつけ医」である。患者を診て、大病院で最先端の治療が必要なのか否か、リハビリや介護に重点を移すべきなのか、などを判断する。

 この振り分けが機能すれば、人材や設備が効率的に活用できるようになる。改革の成否は、かかりつけ医が住民に信頼されるかどうかにかかる。

 この責任を果たすには、患者のニーズにあった病院や施設の受け皿が必要になる。それらを整備し、連携・協力させる役目は都道府県が担う。消費増税分を財源とした基金も使いながら進めることになろう。

 一方、患者は病院を自分で選ぶ自由を制限され、かかりつけ医の指示に従う「我慢」が求められる。今でも、医師の紹介状なしで受診するのに5千円程度余分にかかる病院があるが、こうしたハードルはさらに上がる見通しだ。

 簡単に進む話ではない。混乱を招く恐れもある。

 しかし、急速な高齢化で、医療や介護の費用は経済の規模が拡大する以上に増える。これ以上、今の世代が使うサービスの費用を将来世代にツケ回しすることは許されない。

 医療の効率化は、国民全体の責任と考えるべきだ。

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米国とユネスコ―大国エゴに陥るな

 世界遺産で知られるユネスコは、正式には国連教育科学文化機関という。教育や文化の力で戦争の悲劇を防ごうと、大戦後まもなく創設された。

 途上国での識字教育から文化交流、ジャーナリズムの育成、津波警報システムまで、幅広い活動に取り組んでいる。

 そのユネスコがいま、資金難に苦しんでいる。最大の出資国である米国が、2年前から分担金の支払いを止めたからだ。

 理由は、ユネスコがパレスチナの正式加盟を認めたことだ。米外交政策に反するとして米議会が予算を認めなくなった。

 長い紛争にあえぐパレスチナを国家として扱う流れは、国際世論の総意に近い。国連総会も昨秋、「機構」から「オブザーバー国家」に格上げすることを圧倒的多数の賛成で決めた。

 そうした動きにあらがうように国連機関に「制裁」を加える米議会の姿勢は、時代錯誤の大国エゴといわざるをえない。

 ユネスコの予算の中で米国の分担は22%にのぼる。パリの本部は「危機的状況」と訴え、サウジアラビアやノルウェーなどが追加出資に協力した。

 それでも、広範な予算カットを迫られ、事業の縮小や延期、人員削減や出張の切りつめなどでしのいでいるという。

 オバマ政権は議会を説得しているが、打開のめどは立っていない。パレスチナが加わる国連機関への出資を禁じた90年代の法律を盾に、イスラエル寄りの議員たちが拒み続けている。

 これまでも米国は事あるごとに国連機関に対し、出資凍結や離脱などを繰り返してきた。

 ユネスコに対しては80年代、運営が政治化しているなどとして脱退し、20年近く復帰しなかった。また中国の妊娠中絶に関与したとして「国連人口基金」への出資を止めたり、平和維持活動の分担率を不服として支払いを滞らせたりしてきた。

 だが、もはやかつてのような米国一極支配の時代ではない。オバマ政権が国連など多国間機構との協調路線に外交のかじを切ったのは、「もう世界の警察官ではない」(オバマ氏)という冷徹な情勢判断からだ。

 ユネスコは、戦争で荒廃したイラクやアフガニスタンでも教育事業を手がけ、民主主義や人権など米国がめざす価値観の普及にも貢献している。それを妨げては、かえって自らの外交の影響力を損ねることになろう。

 米自身の威信のためにも、世界の途上国のためにも、米議会は早くユネスコへの出資の再開を承認し、国連へのむやみな圧力の行使を控えるべきだ。

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