公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証役場で公証人(法務大臣が任命する公務員)によって作成される遺言のことを言います。
公的機関である公証役場と認証手続きのプロである公証人が関与して作成する遺言形式ですので、自筆証書遺言のように、亡くなった後無効だと言われることの少ない確実で安心・安全な遺言形式といえます。
そのため、当事務所で遺言書を作成する場合は、公正証書遺言をおすすめしております。
実際にも、自筆証書遺言よりも公正証書遺言のほうが、ご依頼が圧倒的に多いです(当事務所にご依頼される80%-90%が公正証書遺言を選ばれています)。

また、家庭裁判所による検認が不要ですから、相続人の負担は軽くなります。
さらに、原本が公証役場に保管されるので、紛失・偽造のおそれがありません。

公正証書遺言作成のメリット

公証人の関与により形式不備の心配がない

自筆証書遺言の場合、法律で決められた形式と違っていたり、内容が不明確であったりすると、無効になる恐れがあります。
それに対して公正証書遺言の場合、その心配がありません。
公証役場で厳格な手続きを行いますので、形式不備や内容不明確で無効になることはなく、安心です。

裁判官・検察官等の法律実務に携わってきた法律の専門家である公証人が関与するので、遺言の形式・内容面・遺言能力などの有無について、トラブルはまずなくなります。

紛失、偽造・変造の恐れがない

公証役場では、公正証書遺言の原本を半永久的に保管していることが通常です。
そのため、うっかり紛失してしまったり、誰かに変造されてしまう心配はなく、安全です。
遺言書の原本が公証役場に保管されるので、遺言書の紛失・偽造のおそれがありません。
公正証書遺言が作成されると、正本は遺言者が持ち、原本は公証役場に保管されます。
したがって、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配はありません。

家庭裁判所での検認手続きが不要

自筆証書遺言および秘密証書遺言は、家庭裁判所において検認の手続きを要します。
遺言の中でも、公正証書遺言に限り、家庭裁判所での遺言書の検認が不要になります。
検認とは、遺言書を遺された方がお亡くなりになったあとに、家庭裁判所が遺言書の内容を明確にするために行う手続きです。
この手続きを行うには、必要書類もいろいろあり、面倒であることは否めません。
手続きに要する手間や時間も必要です。

検認については、こちら

遺言内容の早期実現が可能

上記に関連いたしますが、公正証書遺言なら、その手続きが不要になりますので、ご家族様のご負担を減らすことができます。そして、手続きが1つ無くなる分、遺言内容の早期実現を図ることができます。
公正証書遺言の場合、検認は不要で、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができるので、相続人にとって大きなメリットです。

字が書けない、言語や聴覚に障害がある方でも作成が可能

公正証書遺言なら、自書できない方でも遺言書を作成することができます。
自書が困難な方は、全文自書が求められる自筆証書遺言を作成することは難しくなります。
しかし、公正証書遺言では、この場合も遺言をすることができ、さらに署名ができない場合でも、公証人が遺言者の署名を代書できることが法律で認められています。
また、遺言者が体力的に公証役場に出向くことが困難な場合には、公証人が遺言者の自宅または病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。

家族に内緒に作成していても、見つけてもらえる可能性が高い

公正証書遺言であれば、お亡くなりになられたあと、ご家族様が、公証役場の検索・照会システムにて、遺言書の有無を確認することができます。
そのため、大切な遺言書の存在をご家族様に見つけてもらいやすくなります。
なお、生前は、遺言書を作成されたご本人様以外はこのシステムを利用することができません。
そのため、ご本人様の知らないところで公正証書遺言の内容が漏れる心配はありません。

公正証書遺言作成の注意事項

費用と時間が自筆証書遺言よりはかかります

公証役場を利用するので、ある程度の手間と費用がかかります。
証人を2名を用意しなければいけません。
遺言者の真意を確保するため、証人2人の立会いが義務づけられています。
適当な証人が見当たらない場合には公証役場で紹介してもらうこともできます。
たしかに、公正証書遺言を作成するには、上記について留意する必要があります。
しかし、これらは、遺言者の意思を確実に実現して、相続人の負担を軽減するために必要な経費、手間とお考えください。

公証役場に支払う費用があります


その費用額は、主に公正証書遺言にのせる財産の額によって決まります。
詳しくはこのページの「料金・費用」の項に記してあります。



書き直しが簡単ではない

公正証書遺言の内容を変更したい場合、すぐに書き直すことはできません。
再度、公証役場にて公正証書遺言の手続きを行う必要があります。
なお、当事務所にご依頼いただいた方には、このような事態が発生した場合、2万円で、再度の手続きを承っております。