福島第1原発:タンク漏水 東電が同型350基緊急点検へ
毎日新聞 2013年08月20日 20時15分(最終更新 08月20日 23時46分)
東京電力福島第1原発の地上タンクから高濃度の放射性物質を含んだ汚染水約300トンが漏れていた問題で、東電は20日、漏れが見つかったタンクと同型のタンク計約350基を緊急点検する方針を明らかにした。漏れる速度から、1カ月近くこの状態が放置されていた可能性があることも分かった。漏えいは続いており、東電は汚染水を別のタンクに移して漏れた箇所の特定を急ぐ。
東電によると、異常を見つけるためのパトロールは1日2回実施している。今回、発見が遅れた理由について東電は記者会見で「漏えいが少量で長期間続いていて、確認できなかった可能性はある」と釈明した。タンクからの漏えいは過去に4件発生しているが、量としては今回が最大。
漏れが見つかったのは、海から西約500メートルの場所に設置された、鋼製の板をボルトでつなぎ合わせた組み立て式の円筒型タンク(高さ11メートル、直径12メートル、使用容量1000トン)。漏れ出た汚染水からは、1リットル当たり8000万ベクレルの放射性物質が検出された。全体の放出量は約24兆ベクレルと推計され、7月22日に海洋への流出が発覚した汚染地下水と同規模の放射性物質が、再び漏れたことになる。
タンク内にあるのは、原子炉を冷却した汚染水から放射性セシウムを除去した汚染水。タンクに一時貯留した後、62種類の放射性物質を取り除く浄化装置に移送する予定だった。