髙尾
「今日、8月6日は広島に原爆が投下されてから68年となる『原爆の日』です。」
黒木
「広島では、今年(2013年)も平和への誓いを新たにする祈りが続いています。」
平和記念式典は、爆心地に近い広島市の平和公園で行われ、およそ5万人が参列しました。
原爆が投下された午前8時15分。
平和の鐘が打ち鳴らされると、参列者全員が黙とうし、原爆で亡くなった人たちを追悼しました。
参列者の中には、アメリカによる原爆投下の正当化に疑問を投げかけるドキュメンタリーを制作したオリバー・ストーン監督や、アメリカのルース駐日大使の姿も見られました。
広島市 松井一実市長
「無差別に罪もない多くの市民の命を奪い、人々の人生をも一変させ、また、終生にわたり心身を苛み続ける原爆は、非人道兵器の極みであり、『絶対悪』です。」
広島は今日一日、平和を誓う祈りに包まれました。
被爆者
「今の私は犠牲者の人の上にあるので、一日もむだにせず生きます。」
被爆者
「被爆者の思いを語らせていただいて、受け継いで、日本が平和になるように。」
髙尾
「広島に原爆が投下されてから今年で68年。
今、再び注目されているのがこちらです。
マンガ『はだしのゲン』。
原爆で家族を失いながらも、広島で力強く生きる少年の姿が描かれています。」
黒木
「少年雑誌で連載が始まったのは、ちょうど40年前。
ヒーローものが人気を集める中で、当時としても異色のマンガでした。」
「はだしのゲン」の作者は、去年(2012年)12月に亡くなった、マンガ家の中沢啓治(なかざわ・けいじ)さんです。
原爆で、父、姉、弟を失い、みずからも被爆した体験をもとに描きました。
中沢さんがこだわったのは、被爆直後の悲惨な光景をありのままに表現することでした。
爆風で全身に突き刺さるガラス。
熱線で皮膚が垂れ下がった人々。
建物の下敷きになり、火にまかれて亡くなる、主人公・ゲンの家族。
しかし、ゲンは、戦後の混乱の中でも、仲間とともに悲しみや困難に打ち勝ち、力強く成長していきます。
その姿が、読者の心をつかみました。
時を越えて人々に支持される「はだしのゲン」。
その作者、中沢さんの名前は、今年、原爆死没者名簿に記載されました。
中沢啓治さん
「戦争と原爆だけは絶対にしちゃいかん。
原子雲の下にいた人間が、どういう風になったか、これが『はだしのゲン』でいいたいことです。」
髙尾
「『はだしのゲン』は、現在、英語やロシア語などに翻訳され、こちらの世界20か国で出版されています。
発行部数は、国内外で1,000万部以上にのぼり、今もファンを増やし続けています。」
黒木
「そしてこちらは先月(7月)イランで出版された、『はだしのゲン』です。
本の中を見てみますと、このように吹き出しの部分の文字がペルシャ語で書かれています。
さまざまな国の人たちが読めるようになった『はだしのゲン』。
海外では、どのように受け止められているのでしょうか。」
髙尾
「国際世論を無視する形で核開発を進めるイラン、そして世界で唯一原爆を投下した、アメリカを取材しました。」