本番に向けて確実に姿を変えていく東京に、どれくらいの数の外国人が訪れるのか。
日本政府観光局の統計では昨年1年間で日本を訪れた外国人観光客は約835万人。国交省は「観光立国」を旗印に、2019年までにこの数を2500万人に増やす計画を立てている。もちろん、ここにはオリンピック効果は含まれておらず、観光客に選手団やその家族、通訳や報道関係者なども含めれば、2020年の1年間で、3000万人ほどの外国人が日本に訪れることも想定される。
「ただでさえ、いまは円安で外国人観光客が増えていますが、観光地としての日本・東京をアピールするのに、オリンピックは格好の機会。それを一過性にせず、リピーターとして取り込むことが、ビジネス的には重要です」(経済評論家・山崎元氏)
せっかく日本に来たのに、空港は不便、道路は渋滞で電車は満員というのでは印象は最悪。現在の都内交通機関はオリンピックで外国人や日本人観光客が大量にやってくれば完全にキャパシティオーバーだから、交通インフラの整備は今すぐ手を付けなければならない課題となる。
まずは空港。航空ジャーナリストの坪田敦史氏は「北京首都国際空港もオリンピックに合わせて大きく変わり、便利になった。羽田もインフラ整備が行われるでしょう」と言う。具体的には国際線の深夜発着のため、滑走路を拡張。空港へのモノレールなども24時間化が検討されている。
次に都内の移動手段である道路。
「首都高には修繕が必要な老朽化部分が9万7000ヵ所もあります。そもそもコンクリート建造物の寿命は50~60年とされ、ロンドンでのオリンピックが1908年、1948年、2012年と開かれたように、道路を改修すべき時期と同じ間隔なんです。ロサンゼルスも1932年と1984年開催ですから同様。東京も前回オリンピックから56年ぶりになりますので、首都高の改修にはちょうど良いタイミングです」(モータージャーナリストの清水草一氏)
東京都は3・11を機に、建造物の耐震化を目標に掲げており、「復興オリンピック」というテーマ的にも、首都高の改修・耐震強化は防災都市・東京のアピールになる。同時に2014年には首都高中央環状線が全線開通し、現在は約40分かかる羽田-新宿間の所要時間も半分に短縮される見通しだ。
鉄道評論家の川島令三氏は「鉄道網も整備が進む」と語る。
「まず都営地下鉄の24時間化が本格的に検討される。また、都営浅草線の一部にバイパス線を新設することで、羽田-成田間を直通約50分で結ぶ計画にも弾みがつく。ゆりかもめは、東京駅まで延び、東京湾をぐるっと一周させる計画があり、これでお台場を訪れる観光客の利便性が格段に高まることになります」
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