では、オリンピックが決まった後、どんなことが起きるのか。
1964年の東京オリンピックでは東海道新幹線が開通し、カラーテレビが普及。日本中がオリンピック景気に沸いた。今回の東京オリンピックは「コンパクト五輪」をコンセプトに、晴海に建設予定の選手村を中心に半径8km以内のエリアで競技と式典を行う計画だが、そこから得られる経済波及効果は大きい。
たとえば、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会と東京都スポーツ振興局の試算によれば、今回の東京オリンピックの経済波及効果は約3兆円というが、元東京都副知事で作家の青山やすし氏は「3兆円というのは直接的にカウントできる効果だけで、本当の経済効果は計り知れない」と語る。
「たとえば、'64年の東京オリンピックでは『道路の拡幅と立体交差』をキーワードに都市構造を改造しました。新たに作った首都高速道路はあらゆる道路と立体交差するということで、高架式かトンネルを掘って地下を通した。
実はこうした立体交差式の道路はニューヨークやロンドンなどの大都市にもほとんどない。東京も渋滞はありますが、ニューヨークやロンドンなどと比べればかなりマシなのは、そのおかげです。
もともと、オリンピックで選手団や観客をスムーズに運ぶことを目的に考えられた立体交差ですが、結果的に現在まで50年以上も、日本の経済成長に貢献したと言えます。その効果は3兆円とか5兆円といったオーダーではありません」
折しも日本はアベノミクスの真っ最中。一時期の勢いはないとはいえ、オリンピック開催による「オリンピノミクス」が加われば、再び株価も上昇気流に乗っていく。
現に「2020年東京オリンピック内定」のムードを察知した株式市場では「オリンピック関連銘柄」として、建築・運輸・観光関連企業の名前が挙がっている。意外なところではフィットネスクラブを経営する企業やスポーツ用品メーカーも関連銘柄と見られている。これは、前回の東京オリンピックで日本中にママさんバレーブームが起きたように、日本人のスポーツ熱の高まりが期待できるから。いかにオリンピック効果とそれに対する市場の期待が大きいかを物語る。
「オリンピックが行われる2020年頃までの経済状況を見通すと、アベノミクスが成功して、デフレから脱却できれば、日経平均株価は2万円を上回ってもおかしくありません。
オリンピックには消費を活性化させる効果が少なからずあり、開催直前がもっとも消費が増えるでしょう。デジタル家電を買い換えたり、観戦ツアーに行ったりという国内の需要が増え、外国人観光客もたくさん来ます。そのころまでにアベノミクスの効果が出ていれば、日経平均で3万円超えもあるでしょうね」(第一生命経済研究所・永濱利廣氏)
本誌は今回、東京オリンピックが決まってから開催までの7年間で、日本にどんな変化があるか、各界の専門家に話を聞いた。
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